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苗→→十
色々まずい、今の状況を表すのならこれの一言に尽きる。いや、状況というか感覚でもあるかもしれない。苗木は少しお腹が空き食欲が湧いた。その為苗木自身で料理しようと思い、食堂に向かい料理をした。が、出来はとても悪かった。見た目は美味しそうとは言えないがまぁ普通。それを口に含めば普通、という言葉は崩れていった。普通から不味いとなったのだ。これでも超高校級の幸運なのか?と疑うほどに不味い。幸運ならば不味い料理も何故か美味しくなってもおかしくはないだろう。なのに普通に料理は不味い。残すわけにもいかないので苗木は鼻を摘み味覚を消しながら料理を食べ終わると図書室の資料室へと足を運ぶ。
「 あ、十神クン。居たんだね」
苗木はそうは言うが十神がここに居るのは知っていた。知っていたからこそ図書室に行ったのだ。
「…苗木か」
十神は少し沈黙すればそう苗木の方に首は動かさずに瞳だけ一瞬向けてすぐに本へと視線を移し替えた。まるで会話はしたくない、とでも言うように。
「あはは、ところで十神クンは何を読んでいるの?」
苗木は十神にそう質問した。正直答えてくれる気はしないが。今は十神の鼓膜を震わせ苗木の声が聞こえていればそれでいい。それだけで心は満たされる。
「………」
案の定返事はしてくれなかった。が、先程と同じように一瞬だけ視線を苗木に移した。それが苗木にとってはとても嬉しかったし十神が苗木のことを少しは意識をしてくれている。そう思えばとりあえず今日は満足だ。
「ごめんね、邪魔だったかな…。今日はこれでお暇するね。」
「……ああ」
十神はもう視線を移してもくれずに返事は「ああ」の一言。まぁ先程苗木の声に対して反応を示してくれたのでいい。苗木は図書室から出て扉の音を立てずに、十神を邪魔しないようにして静かに閉めた。
「ああ……まずいなぁ……」
苗木は図書室から出て少し経てば壁にへたるようにしゃがみ込み腕に顔を沈ますようにし、そう小さな声で言った。本当に小さな声で。
「やっぱり、ボク十神クンのことが好きなんだな…」
少しだけ顔を赤らめて先程と同じ声量で言った。
そう、苗木はこんなにも歪な学園…否、コロシアイ生活の中で超高校級の御曹司、十神白夜のことが好きになってしまったのだ。
初めはただの好奇心からだった。それは不二咲が死んだ時のこと、十神は大和田が去った後コンセントや不二咲の血をつかいまるでジェノサイダー翔が殺したように見せかけた偽装工作を行った。それは学級裁判の中で明らかになったが。最初は苗木も、何故そんなことをするんだ。本当にありえない。という考えだったがそのことをどんどん考えていくが.本当に理解ができなかった。本人は折角ならば楽しみたいから、という趣旨の内容を言っていたがね。理解できないものは理解したくなる。そうやって十神のことをずっと考えていく内に好奇心、興味へと、そして好意へと進化した。
苗木は十神のことを理解しようとしていくうちに様々な魅力に気づいてしまった。一つは女性の指とは違うけどスラ、とした細長い指。男…否、誰が見ても綺麗な指だ。爪も伸びていて。かといって伸びすぎているわけではない。二つは切れ長な目。言い方を少し悪くするなら目つきが悪い。瞳はとても綺麗な青色だ。彼に恋する人がいたとして、その瞳で見られたらドキ、と胸が高まってしまうだろう。実際苗木もそうだった。そのくらい綺麗な瞳だ。
苗木は十神のことを考えていくうちに下半身に何か違和感を覚えた。下着当たりが膨らんでいるのが感覚的に分かる。軽く痛い。勃っているのだ。このままここに居たとして、誰かにこんな様子を見られたらたまったもんじゃない。苗木はもぞ、と下半身を隠すようにできるだけこの狭い学園、隔離生活の中で人目に付かない所を選び、自室へと向かった。
自室に着けば扉を閉めた。そしてベッドへと向かい腰を掛け座る。ズボンを下ろし、下着も軽く脱ぐ。下半身のものは勃ったままだ。苗木はそれを手に持ち軽く上下に動かす。ぐちゅ、と卑猥な音が苗木しかいない静かな部屋に鳴り響く。
「…んっ……」
少しだけ声を上げる。本当に少しだけ。耳を澄まさないと聞こえないくらい。今の苗木の顔は酷く十神に対して罪悪感を感じているのか物凄い顔をしている。快楽により、顔は顰め、罪悪感により、酷い顔。その二つが合わさった顔をしている。
段々息が荒くなっていく。十神クンごめん、ごめん、と掠れた声で言いながら自慰を続けていく。やがて苗木は達しそうになったのかティッシュを手に取りモノを包む。そうすれば白い液体がモノから出る。苗木はそれを確認すると一旦ベットに倒れ込むように横になる。まるで脱力したように。片腕を動かし額の上に軽く置く。目を細めてはー…と軽く溜息を吐いた。同時に呼吸も整えているのかもしれない。溜息を吐かながら酷く罪悪感に襲われる。