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第15章
神を壊すのは、誰か
第101話:初戦条件
戦場は、王都外縁。
避難は完了している。
――表向きは。
健は、空に浮かぶ光輪を見上げた。
「……来たか」
国家神アルケイオン。
神は、言葉を持たない。
命令と計算だけを、
奇跡として吐き出す。
エリナが低く言う。
「感情ゼロ。
躊躇ゼロ」
「最悪の相手ね」
第102話:勝てない理由
健は、踏み込んだ。
融合。
拳を振るう。
――通らない。
防壁ではない。
回避でもない。
“無視”。
アルケイオンは、
健を「処理対象」として
後回しにした。
「……は?」
次の瞬間、
別の地点が消し飛ぶ。
「優先順位……」
エリナが息を呑む。
「人命を、
“数”で扱ってる」
第103話:救えない計算
健は、叫ぶ。
「俺は、
ここだ!」
だが、神は振り向かない。
“より多く救える場所”
“より効率的な排除”
そこに、
健の感情は存在しない。
リュシアが、歯を食いしばる。
「……選別だ」
第104話:犠牲許容率
アルケイオンの光が、
一つの区画を覆う。
人影。
「まずい!」
健が、飛び込む。
融合――
限界出力。
だが、
演算が先だった。
光が、落ちる。
第105話:救えなかった名前
瓦礫の中。
健は、膝をついた。
「……くそ」
そこには、
かつて信仰を捨てた老人がいた。
「あんたは……
人だった」
最後の言葉。
健の手は、
震えていた。
(俺は……
神と同じ土俵に立ったのか)
第106話:英雄の敗北
映像は、拡散される。
「野山健、敗走」
「偽救世主、敗北」
民衆の声が、反転する。
「やっぱり、
国家神が正しい」
「感情より、
計算だ」
正義は、
勝者につく。
第107話:壊れる均衡
観測層。
数値が、
大きく振り切れた。
「均衡、
維持不可能」
ノクスは、
初めて眉をひそめる。
「……人は」
「神に勝てない」
第108話:残ったもの
夜。
生存者は、少ない。
健は、座り込む。
「俺が……
止めるって言ったのに」
リュシアが、そばに座る。
「一人じゃ、
無理よ」
健は、顔を覆う。
第109話:人間側の答え
エリナが、静かに言う。
「神は、
壊せない」
「でも、
神を“成立させる条件”は
壊せる」
健は、顔を上げる。
「条件?」
「信頼」
「依存」
「正しさの委託」
「それを、
人に返すの」
第110話:敗北宣言
健は、再び通信を開く。
「……俺は、
負けた」
正直な言葉。
「神には、
勝てなかった」
沈黙。
「だから――」
一拍。
「神と、
戦うのをやめる」
世界が、息を止める。
「次は、
“人”と話す」
第15章・了
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