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ずっと昔の話です。私がギリシャさんの助手になってからまだ三年目のことでした。その時の私の愚問….不安を、愛なる読者様に少し、話そうと思います。
どうか、最後までお付き合いください______
_____今、私が思うのはただ一つ。“私自身が居ていいのか”と言う疑問だけ
この疑問を持ったきっかけ…と言えども、しょうもない。本当にしょうもない。ただの戯言です。それでも、こんなしょうもない戯言は私の中でグルグル頭を巡っていた。
いつのまにか、ギリシャさんのあの言葉が私の精神を、心を不安にさせた。
「神(私)は思います。きっと、世界はとても暖かい。変な罪悪感があるほどに優しいのです。だって、貴女のような可愛い仔がこのように神の目の前にいるのですから」
そう言ってギリシャさんは私の頭を撫でた。その手は妙に暖かくて好きだった。きっと世界もこんな感じなんだろうと心の中で思いつつ、ひっそりと安堵した。
でも、それでも、私には疑問と恐怖があった。
だって、皆等しく不幸があるはずだから。
苦しみがあるはずだから。
きっと苦しいのは私だけじゃない、ならば、皆と手を繋いで一緒に走り抜けたい
でもそこに私は居ていいのか
走り抜ける最後尾に居ても私はきっと拒む
苦しみから脱することすら“苦しい”
そのように感じる自分すらも見るに耐えないほどだった。私の全てを否定するような目で見てくるのはいつだって“世界”だけど、今は自分自身が自棄とになっているのだろう。周りの人々の温もりは私にはどうやら冷たく感じさせるみたいで、自然と一歩踏み出すことも恐れた、怖かった。
そして、私は悶々と考え事をしていたら地上に来た。
ギリシャさんと私の住まいは天界です。いや…正確に言うと“あの世のギリギリの境目”。大神殿で私とギリシャさんは生活をしています。正直住むにあたって死ぬほど不便です。特に買い物に行くときなんかめんどくさいの極みみたいなものです。
そして私は自分の本来の目的地へ歩を進める。場所は行き慣れた王城。この国の王様がいらっしゃって、世界の情報や戦力が全てある。そしてギリシャさんの頼みで私はその“他国の人気なアイスの情報“を見てこいと言われました。はい、死ぬほど興味が無い上に今冬である事に気づいて欲しいと思っています。ついでに買い物もして帰りましょう。
「あの…アメリカさん、少々良いですか?」
アメリカさん、この人は国唯一の”この世全てを見渡す能力(目)“を有していて、この情報機関の核です。とってもすごいお方なのですよ!イギリスさんとは良く啀み合っていますが…
そうするとアメリカさんはこちらを見下ろして丁寧に対応してくれました。私は要件を言い吹き出して笑うアメリカさんに少し腹が立ちました。確かに笑う理由はわかりますけど!!
「いやっwwwしょうもねーーっwwマジかよあの自称神サマww!!こんなので助手を遣わすのかよww今冬だぜ?!」
私の思ってる事を全て代弁してくれました。とても嬉しいですね、ハイ。
そしてしばらく笑っている彼に、早く帰りたいなぁと言う視線を送っていると、漸く気がついてくれたようで、簡潔に言ってくれました。ですがどうやら一番などと決めるのも中々無謀なようで、大体のアイスはぜんぶ美味しい、と言う結論に至りました。
返して私の労力。
「んじゃ、気をつけて帰れよ。最近誘拐とか多いらしいから夜道には気をつけるんだぜ?万が一、億が一、キプロスちゃんが誘拐でもされt____
いや、なんでもない。気をつけて帰れよ」
と、言っていました。なんだか最後の言葉の続きが気になりますが、早いうちに買い物を終わらせて帰りましょう。
アメリカさんにはお礼を言って手土産のクッキー菓子を差し上げました。喜んでくれたようで、頭をポンポン、としてくれました。軽いような手でも、大切に扱ってくれてるようでなんだか嬉しかったです。
そして買い物をおわらせ、空を見ると星が綺麗に浮かび上がっていた。
____なんだが怖かった。
変な冷や汗と共に突然と視界が暗くなって後から身体の自由が効かなくなった。
あゝ、私、今から連れていかれるんだ。
絶望と後悔と苛立ちが私の思考を鈍らせる。
嗚呼!なんでもっと早くに気づけなかったのか!何故周りの警戒を怠っていたのか!
足掻いて泣いて叫んで、でも口の自由すら無くなって。
急に身体に痛みが走った。乱暴に投げ捨てられたのだろう。いや、投げ捨てられたのではなく、入れられた。多分車に詰められ遠くへ逃げるつもりだ。
心の中で何度も何度も、何度も何度も何度も何度も『あの人』の名前を呼んだ、叫んだ。それでも私の叫びは虚しく、車が進んでいく感覚がする。私は爆破系統の魔法を使えるが、手を封じられては小細工さえもできない。
身体が動かされる感覚がした。多分、抱き上げられている。生憎誰の助けも来ず誘拐犯に触られている。気色悪い、気持ち悪い。性的な行為をする前に、念には念を入れて手足を切断しておきたいらしい。私は謎の袋に入れられている。そして手足の自由は愚か、口と視界すら効かない。
_______要するに、拷問の始まりだ。
でも、上半身の自由はまだ辛うじてある。思いっきり誘拐犯に頭突きしてやった。後の事を考えずしてしまった事に絶望をまた覚える。でも今は何が何でも手を離して欲しかった。でも、手離すどころか物騒な金属の音が鳴り肩に激痛が走った。刺された場所は左鎖骨の下。そもそも貧弱なこの身体で抵抗もクソも無いのだろう。筋肉の少しでもつけておけばよかった。だが、そんな事を考えてるうちにナイフを刺したまま回された。流石に失神しかけた。いや、失神しないほうがおかしいのかもしれない。精神性で言えば全てギリシャさんのおかげだろう。なんとか耐えたのちに、足の腱を斬られた。完全に逃げることが不可能になった。
そして度重なる痛みに泣き叫ぶ気力も失い、朦朧とする意識の中で最後にもう一度、『あの人』の名前を呼んだ。
そして、帰ってこないであろう返事が、小さく聞こえた。きっと幻聴だろう。
そこで私の意識は終わった______
「はーぁーい」
そう答えたのは他の誰でも無い俺だけ。
さて、まさかうちの助手がこんな目に遭わされているとは。まぁ、全部知ってたし気づいてたが。正直全然見えてた。キプロスちゃんが地上に降りてめんどくさがってたところもアメリカに頭を撫でてもらえて嬉しがってたところも誘拐されて必死に俺の名前を呼んでた事も全部全部“見えてたしわかってた”
本当自分の悪癖には困る。可愛い仔にリョナとか最高かよ誘拐犯共。そこだけ気は合うようだな!本当俺はカスだと思う。だってわかってて行かしたんだから。でも殺す勢いだったからついつい来ちゃった。流石にそれは神の逆鱗に触れる。神の大事な愛し仔を殺すとか頭狂ってんじゃねぇの?いや色々と矛盾してるな…これは俺が悪いのは知ってるけどでもなんか興奮するくない?愛しい自分の仔が泣いて叫んで元凶である俺を求めてるんだぜ?嗚呼、今にでも笑みが溢れそうだ。でもまぁ、赦さんけどな。この世に不要な存在として俺は最後にこの誘拐犯共を使ったんだ。後に始末する予定だったし、有効活用した方がいいだろ?それでまぁ、蛆が骨の髄を喰らうときまで苦しんでもらう事にした。いやー、満足満足。大収穫だ。
そして神はキプロスちゃんを壊れものを扱うように、大事に、そーっと、抱きしめた。可哀想に、こんなに傷ついて!大丈夫だからね、もう怖い思いも痛い思いもしないよ!なんてったって俺がいるからね!
そして回復魔法を使用してキプロスちゃんの寝息がスヤスヤと聞こえてくる。嗚呼可愛い、本当可愛い。
無論こんな傷並大抵の回復魔法で癒えるはずがない。これは神である俺だからできる神技だ。
まぁ、とっとと家に帰ってキプロスちゃんのお目覚めをじっくり愛でながら待とうかな!
え?人でなしだって?心外だな、俺はキプロスちゃんに対してこんな感じであって、他の奴らは普通だぜ?まぁこれも全部キプロスちゃんが可愛い所為だし、仕方がない仕方がない。
ふと、意識が戻る。あれ、私、生きてたのか。よかった…あぁ、良かった….!!
嬉しさと喜び、安堵のあまり泣き出してしまった。慌てた様子で背中を摩りながら抱きしめてくれるギリシャさんがいる。とても心地いい、この感覚は大好きだ。きっと、ギリシャさんが助けてくれたんだろう。価値の無い己を助け出してくれた、その事実で私は気づいた。
これが、幸せか。
皆平等に得る不幸せと同時にくる幸せ。
漸く私は理解した。
嗚呼、私はまだ生きる価値があるんだ。ここにある。ギリシャさんがきっと神らしく導いてくれたんだ。いや、神でもなく親として手を引っ張ってくれたのかもしれない。私はきっと、ここに居ていい。ギリシャさんが、他の友人達やイギリスさんがきっと、赦してくれる。背中を押して前へ進ましてくれる。私は多分、今本当に幸せなんだと思う。
これが。私の愚問、、、不安でした。一連の出来事で解消されましたが、今思うと何かと恥ずかしいです…
そして_____
愛してくれるギリシャさんや他の皆さん方(世界)が、私は大好きです。これからもきっと、ずっと大好きです。
【終】
自己満のギリシャ×キプロスでした。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
表紙の絵は出来次第に投稿させていただきます。
それでは、また次回で。