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救急隊への挨拶が終わり、レギオンに来たぺいん。
ホットドッグの屋台はなかったが、立ち話をしているグループはいくつあり、この後開くミンミンボウの宣伝や街の情報を聞いたり、連絡先の交換を行った。
一通り話を聞いた後、ぺいんはすぐ近くのカフェへやってきた。
「こんにちは〜」
「あーい。いらっしゃいませ〜」
男性の低い声で応えがあり、目を向けるとそこには、熊の被り物にメイド服を着た男性がいた。おそらく店員なのだろうが、体格が良すぎてメイド服ははち切れそうだし、服から覗く腕や足のタトゥーも相まっていかつい印象だった。
「すいません、カフェに来たんですけど、店間違えました」
一目見たぺいんは回れ右をして店を出ようとした。
が、素早く回り込まれドアに鍵をかけられてしまった。
「お客さ〜ん。カフェならここであってますよぉ。うち、いかがわしい店じゃないし、ちゃんとコーヒーとかドーナツもありますよぉ」
「………ぐっ」
「スペシャルメニューもあるんですけどね、店長ともう一人の店員がいないからできないんですよ」
「………はぁ」
「で、どんなご用件で?」
「………まずは、おすすめのは飲み物と食べ物ください………」
「毎度ありー」
「まぁまぁ、ここに座りなよ」
ぺいんは店員に促されカウンターの椅子に座った。初対面のインパクトは凄かったが、話してみると気さくな熊の店員だった。
「これ、サービスね」と差し出された可愛らしい熊のラテアートが施されたカフェラテを飲みながら、街に来た時期や店を開くことを話していた。
「………んじゃぁ、白市民で中華料理店しかやらない予定?」
「はい。家族との時間優先なので。アクティビティとか知っていたら教えてもらえると助かります」
「海のヤツかなぁ。ボートいるけど、バナナボートとパラセーリングができるはず」
「それ絶対楽しいヤツですね!やってみます!」
「あと、明日のピーナッツレースは聞いた?他にも市でやるイベントがあるみたいなんよ」
「へぇー。そしたらまたお店に来るので、その時に話を聞かせてください」
「まぁ、俺もこんななりだし、客に警察もギャングもいるけど、店の中は平和にしているからな。時間できたら寄ってきな」
ぺいんは店員との会話の中で、少し不穏な言葉があったことに気づいた。
「あ〜。やっぱりギャングは多いです?」
「多いね。必要以上に怖がることはないんだけど、『店の中で揉め事すんな』とか、巻き込まれないように最低限の武装はしておいたほうがいいかもね」
「なるほど?」
「正直、ギャングも飲食店と揉めて食料売ってもらえなくなる事態は避けたいはずだから、くそ面倒な事はないと思うよ。まぁ、俺の方で中華料理店には手を出すなって言っとくわ」
(ギャングに言えるほどの人物?)
この店員は何者なのだろうか?ぺいんは前の街の癖でそのような考えがよぎったが、深く追及することをやめた。
「ありがたいっすね。家族でやっているので良かったら店に来てください」
ぺいんがカフェを出ると、大分日が傾いていたため、店に戻ることにした。
「………なぁんか、この街も治安悪そ」
原付バイクはミンミンボウへの道を進む。
「でもまぁ、公務員やるつもりはないし」
ミンミンボウが見えてきた。明かりが点いている事から、既にミンドリーとさぶ郎は戻っているようだ。
「家族優先だし。でも今日会った人たち、おもろい人いたなぁ」
バイクを店の前に停め、ドアを開けて入る。
「お帰りなさーい」
「お帰りぃ」
(………この街ではここが家だ)
「ただいま」
店内ではミンドリーとさぶ郎が待っていた。
さぶ郎は見てきた事聞いてきた事を早速話したそうで駆け寄ってきた。
「一旦座って話しようか」
さて、互いにどんな話が聞けるだろうか。