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41 ◇後悔
結論から言うと、なんともすべからくマヌケな話になる。
前の妻との結婚生活よりも長いこと一緒にいる今の妻。
お互い燃え上がった時期を過ぎ、恋愛だけではなく生活を共にしていくうちに、
子供まで手放し離婚までしても今の妻と再婚したことが、本当に良かったのか、
自分の望んでいたものだったのか……今の自分には分からなくなっている。
振り返れば前妻の亜矢子はできた妻だったと思う。
◇ ◇ ◇ ◇
離婚後、同じ職場なので定期的にちら見する機会があった。
離婚後も亜矢子はいつも明るく快活で、華やかさをなくさず輝いて見えた。
あちらでの様子を同僚から聞くにつれ――――
俺がさっさと乗り換えし景子と再婚したにもかかわらず、賢母として今だ
再婚もせず、息子を溺愛し大切に育ててくれているようだ。
不倫という名の甘美な関係に酔い、恥知らずな行いの数々の上に
俺は妻と息子の元から去った。
俺の実家は貧しているとまでは言わないが、医大に通わすほどの甲斐性
はなかった。
そして、働きながらの学生生活で結婚を急いだのは俺なのに、生活費は
亜矢子におんぶで抱っこ状態だった。
医師になってからも自分の奨学金の返済があり、やはり亜矢子に随分
助けてもらっていたのだ。
41-2.
そんな妻に対して糟糠の妻と称するのが妥当ではあるが、糟糠という言葉が
こんなにも似合わない女性も珍しいとも思う。
現役で医大に入りきっちり6年で卒業、就職もなんなくこなした女性で、
実家がこれまたかなりの資産家ときている。
亜矢子自身の収入からも助けられていたと思うが、当初の1~2年はきっと
義父のほうからも援助があったに違いない。
俺は生活費は1円も出していなかったから。
それなのに離婚もしてないうちから外に女を作りいいかげんな俺に、
亜矢子も義両親も……俺にそれまで掛かった金の話は一切してこなかった。
今更ながら俺はクズだと思う。
不倫をしていたこともクズだが、あれだけの恩を受けておきながらの
仕打ちだからなぁ。
そんな俺に……目には見えないけれど、何やらそのような見えぬ存在からの
ターンが始まったとしか思えないほど、周囲の状況は変化し、俺の気持ちは
日増しに沈んでゆくばかりだった。