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「せんぱぁい、ランチ一緒に行きましょうよぉ♪」
「あ、ごめん、俺仕事あるから無理!一人で行ってきて!」
「えーっ、けちぃ」
先日、新田健介の前で、私が恋人だと説明したせいで、日下は結城にべったり絡みついている。結城は相変わらず日下には関心がないらしく、振り払うのに苦労しているようだ。
「チーフ、サイトのスクロールの件なんですけど、やはりここはプロに任せた方がいいと思います。社内のSEでは、なんていうかセンスがちょっと…」
「結城君もそう思った?わかった、少し予算が膨らむけど外注に出してみよう。お昼休みが終わったら、検討会をやって意見をまとめよう」
「それから、歩美ちゃんの…」
「わかってる、場所は私が手配しておくから」
街コンで知り合った、三木優の娘、歩美の誕生日パーティーの場所は、個室があるファミレスにすることにした。歩美には、招待したい友達がいれば誘っていいよと伝えたのだが、“同級生の友達は幼稚だから面白くない”とかで、誰も誘っていなかった。
優と歩美、結城と私の4人で予約を入れようとサイトであちこち検索していた。
「チーフ!あの、プレゼントを買った歩美って子の誕生日パーティーなんですよね?」
日下がスマホを覗いてきた。
「そうよ、この前はありがとう。素敵なプレゼントを選んでくれたんだって?」
「それはもう、結城先輩の彼女として、その友達の誕生日プレゼントはしっかりと選ばせてもらいましたよ」
日下が選んだペンダントは、やたらにキラキラ光る星がモチーフの、とても子どもっぽいデザインだと結城が言っていた。
歩美の年齢も結城との関係もなにも知らないのに、そういうものを選んだ日下はきっと、自分なら買わないものを選んだのだろう。結城が誕生日を祝うほどの友達だと聞いて、日下が嫉妬したと感じられる。でも、小学生へのプレゼントだからそれはそれでまた、日下のグッジョブなのだけど。
「あのぉ、私も行っていいですか?」
「え?でも全然知らない子なのに?」
「これから知り合いになっておかないと。結城先輩の友達なら私にも友達になるので」
「わかった。賑やかなほうがいいだろうし。でも、お願いだから、主役を食わないでね。主役は歩美ちゃんなんだから。おかしなことをしたら、追い帰すから」
「わかりましたぁ、じゃあ、場所とか決まったら連絡くださいね」
やった!と言いながら、離れていった。
「チーフ、誘っちゃったんですか?日下さん」
「うん、よろしくね、恋人の結城くん」
「もう、それ、やめてくださいって。俺が好きなのは森下チーフだけなんですから」
「あ、そ。ありがと」
私は書類をまとめて席を立った。
「えーっ!もうっ、なんでチーフには届かないのかなぁ?」
結城の大きなため息が聞こえてきた。