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#うりさん
ろのみ🩵🫧
43
19
#年上彼氏
おうか

252
午前中にお弁当を持ってピクニックに出掛けた。公園の芝生に、レジャーシートを広げる。
日向。太陽ガンガンの。もうすっかり夏だなぁ。天気がいいとより一層。簡易テントがあちこちで開く……家族連ればかりだ。
紫外線対策で木陰へと行く。すみません、日向とか言いながら、日陰入りまーす。
二宮くんの話が出るとなぜか、しばらくそっぽを向かれていた。
だけど、お弁当は完食してくれた。優しいんだから。
「湊、温泉でも行かないか? 」
「……」
「海外とか、アクティブな旅は行くだろ?」
「……」
あの時は果たせなかった。本気で言ってくれてたんだな。
温泉なんて、不倫の聖地じゃないか。
※湊の偏見です。
「取るから。休みも宿も。移動に時間かけたくないから、近場ね」
「遠くが定番じゃないの? 誰にも会わない」
……つい、言ってしまった言葉に、彼が苛立つのが分かった。冗談でその場に倒される。
「……まだ言う?」
「……ごめんなさい」
嬉しいんだよ。本当は。でも、上がって、また落とされるのが……つらい。
じんわりとまた涙が出そうになった。そんな私の頬にそっとキスをくれる。
優しいキスを。この人は……そんな人じゃない。
……信じてないわけじゃないんだけどな。
「何、食べたい?」
「出世……舟盛りとか?」
出世魚……未だ、目指せ、大きい魚。
清水部長の浴衣。社員旅行で接待されてそう!ホステスさん、呼んでそう!
「それも含めて、楽しみ」
ある意味、似合う。
「そうだな」
そう言うと、私を抱き寄せる。
「泣き虫」
「……だってさ。笑わすんだもの」
「露天風呂付きの部屋ね」
「うわー……」
それって、とってもアダルト。
「あんなこと、こんなこと、しような」
抱き締めて耳元で言ってくる。
あっちこちに口付けながら……。
その日、清水部長は身体中にキスの雨を降らせただ、抱き締めくれた。
……別に、いいんだよ。しても。私、だけなら。
まぁ、でも……ただ抱きしめられて眠る。いいか、こんな日も。
清水部長は約束通り、休みを取って温泉へと連れて来てくれた。
宿に荷物を預け、散策に出た。
遅くまで日も高いし、半袖で十分だった。川辺の風を受け、微笑み合う。風がくすぐったい。平日とあって、温泉街は人も少ない。
「まぁ、若い奥様ですね~」
お土産屋さんのご婦人にそう言われ
「いや、4つしか変わらないんですよ」
だなんて、真面目に言い訳してる。
可笑しい。
「パパ活~!」そう言ってふざける。
「そこまで、若く見えないし、俺もそこまで老けてない!」
ま、10歳若くは、厚かましいか。彼は10歳上に見えるけどね。でも……すっごい素敵だけどね。
切れ長の目が、優しく綻び、私の手を取った。
……恥ずかしい。けど、嬉しい。彼の手、熱いな。
「今日、ありがとうね。ここ、連れて来てくれて」
暮れかけた日を顔に浴び、その色に染まった彼にそう言った。綺麗だな。夕日も、映る彼も。不意に抱き止められる。
「わ、どうしたの」
少し泣きそうな彼に思わずそう言った。
彼は、一度強く抱き締めた後
「まずは、1回目の風呂に行こうか」
そう言った。
「露天風呂!」
「あー、だな。部屋でもう1回ね」
と、言われて、未だ慣れない、あんなこと、こんなこと、想像してしまい、恥ずかしい。
凄く……いい部屋だった。オーシャンビュー。それに……それを見ながらの露天風呂。何と言うか……何と言うか……照れる。そんな感じ。きっと奮発してくれたんだろうな。
彼氏と旅行に来るのさえ、初めてだった。こんなに甘やかされていいのだろうか。
先に大浴場の露天風呂へ。
お風呂は大好きだ。全部洗い流せば、スッキリする感じも、温まってる間にボーッとするのも好き。
露天風呂は空いていた。この時期だからか、貸し切りのようだ。
「露天風呂、すっごい良かった~」
……だいぶ待たせたかもしれない。
微妙な顔でスマホを弄んでいる彼を見てそう思った。確かに、男女で温泉に来ても別々になるもんね。
……あ……部屋にあったんだった。
って、浴衣!浴衣だ。駄目だ。想像より……そこから、汗をかくほど笑った。ああ、苦しい。
部屋食の舟盛りをメインに沢山の料理が並べられて行く。日本酒と。浴衣と。ぶっ、まだ笑っちゃう。
日本酒を彼に注ぐと、私にも注いでくれる。湯上がり……浴衣……料理に……お酒。
いつも、美味しい物を食べさせてくれる。お行儀の悪い迷い箸をしていると
「……好き嫌いしない」
と、注意されてしまう。
湯上がりで、乱れたままの髪、袖口が捲られた浴衣。お猪口というオプション。
うっとり見ていたら、太ももに、彼の熱い手の感触。固まる私の耳元で
「後で、な?」
……ですから、色気を……しまってください。
食べられなくなるから。でも気持ちいいのだ、彼に触れられるのは。
「もう少し、飲むか」
そう言って、注いでくれる。日本酒は、結構まわる。デザートを最後に酔った私を見てだろう。
「直ぐにお布団、ご用意致しましょうか?」
中居さんがそう言った。
「お願いします。」
彼が即答した。
あっという間に食事のテーブルが片され、あっという間に布団が二組敷かれた。
ドアが閉まると同時に、彼が口を塞ぐ。
「せっかちだなぁ。清水部長」
いつかのセリフも……こうも違うものか。
そうは言っても、私も早く……触って欲しかった。
お酒入ると気持ちんだよね。あの日も、気持ち良かった。凄く。お酒のせいだけではなかったけど。
「もっと、気持ちよく……」
そう言いながら、探る様に手を動かす。
「……せっかち」
「そらね。後で、風呂入るから……」
「うん」
「気兼ねなく、舐めまわせる」
それは、いつも。と、遠くで思った。
「もうね、何されても気持ちいいの。何でだろ」
身体の力がどんどん抜けて、何も考えられなくなる。
「……愛だろ、愛」
そっか、愛があれば、こんなに気持ちいいんだ。高等なコミュニケーション、なんだもんな。
……露天風呂の岩上に座って空を見ていた。真っ黒な海。室内の電気を消すと、薄暗いライトだけ。
月も星も……綺麗。私の前にいる人も。
あの日と同じように、濡れた髪を後ろに流し、熱っぽい、深い色の瞳。真っ直ぐ私を見る瞳。
あの日と……同じ。なんて、綺麗。
「夢を見ているみたい」
「それ、嫌いだ」
ああ、そっか。
「ごめんなさい」
「夢は、こんなに熱くはない。」
そう言って、唇と、ほんの少し出した舌で私の首をなぞって軽く吸い付く。
「ちょ、そこ……」
「愛してる、湊」
「うん」
「そろそろ一緒に住まないか?」
「ぶ、そろそろの使い方おかしい。まだ、こんな関係になって日も浅いよ」
「こんな関係って?」
「……恋人」
私がそう言うと、彼は凄く凄く凄く……嬉しそうに、笑った。
じわりと滲む涙に
「泣き虫だなぁ、湊」
そう言って、優しいキスをくれた。出逢ったあの日と同じ、優しいキスを。
コメント
1件
読ませていただきました。温泉旅行のエピソード、ふたりの距離感がじんわりと縮まっていくのが本当に美しかったです。特に「夢は、こんなに熱くはない」という清水部長の台詞に胸がぎゅっとなりました。湊さんの「泣き虫だなぁ」と言われてしまう弱さと、それを受け止める清水部長の優しさの対比が印象的です。浴衣姿で笑い転げるシーンも、ぎこちなさと愛おしさが混ざって、思わずこちらまで笑顔になりました。お互いを「恋人」と呼べるまでの距離を、一歩ずつ丁寧に描かれていて、とても温かい気持ちになりました🫶