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2週間後、Fortress の閉店直後の店内。チバラキVの5人が沈痛な表情で話している。
智花「倫さん、やっぱりこのお店も無理そう?」
倫「もともと採算度外視の店だからねえ。戦隊の仕事がなくなると、正直厳しいだろうね」
瑠美「戦隊の方のバイト代が入らないと、あたしの生活もやばいわ」
沙羅「あたしも。別の仕事に移らざるを得なくなるよ」
玲奈がぼろぼろと涙を流し始める。
玲奈「そんな! もう終わりなんですか?」
倫「潮時かもしれないね。あんたたちの次の仕事はあたしが何とか探してみるよ」
突然、店のシャッターがガンガンと叩かれる。
男子学生B「みなさん! まだいますか? いたら開けて下さい!」
智花がシャッターを少し開き、下をくぐって芸大生が10人、次々に入って来る。芸大生の一人がタブレットの画面を倫に向けて見せる。
男子学生A「これを! これを見て下さい!」
倫「ああ、クラウドファンディングやってたんだね。すっかり忘れてた」
男子学生B「目標達成出来たんです。数字を見て下さい」
倫「どれどれ」
チバラキVの5人が画面をのぞき込む。画面に表示された数字は
「35,014,298」
5人一斉に
「さ、三千五百万円!」
女子学生「これだけあれば、チバラキVを存続させられますよね」
倫「ああ、そうだけど。どうしてまたこんな大金が集められたんだい?」
男子学生A「どうやら、このおかげらしいんです」
男子学生Aが別のサイトを表示する。アイドルグループの公式ブログ。そこにはこう書かれている。
「以前困っているあたしたちを助けてくれた、千原城市のご当地戦隊さんがピンチなんです。みなさん、少額でもいいから寄付をお願いします。クラウドファンディングのサイトは下のリンクから」
瑠美「ん? ここに映ってるアイドルの子たち、なんか見覚えがあるような」
沙羅「バスが側溝にはまってた、あのアイドルグループじゃねえか?」
智花「そうですよ。あの子たちが寄付を呼び掛けてくれたのね」
玲奈「でも、それにしても三千五百万って。新潟ってそんなに景気いいんですか?」
男子学生B「あれ、知らないんですか?」
倫「新潟市のご当地アイドルだろ?」
男子学生B「そうですけど、この子たちはアッカンベー48の姉妹グループでもあるんですよ」
玲奈「あの毎年紅白歌合戦に出場してる人気アイドルの?」
沙羅「めっちゃ全国区じゃん」
瑠美「海外進出もしてるぞ」
男子学生A「このグループのリーダーは、元は本家のメンバーだったんです。その縁で、本家のアッカンベー48のメンバーの中にも、寄付を呼び掛けてくれた子が何人もいたみたいで」
智花「だったらこれぐらい集まっても不思議はないのかもね」
倫「まさに情けは人のためならずか。人助けはしとくもんだねえ」
瑠美「玲奈、喜べ。あんたのお手柄だぜ」
玲奈「え? どういう事ですか?」
沙羅「あん時玲奈が手助けするって言い張ったからこういう結果になったんだろ」
女子学生「これだけあれば、戦隊は存続できます? 市役所と交渉して」
倫「いや、今まで通りじゃすぐにこの程度の資金は食いつぶす。ちょっと待ちな」
倫がスマホで電話を掛ける。
倫「ああ、田中税理士事務所さん? 弁護士の長谷川ですけど先生いる? あ、先生お久しぶりです。ちょっと税金関係で相談に乗って欲しいんですけど。ええ、はい、じゃあ、明日伺います」
電話を切った倫に学生たちが尋ねる。
男子学生A「どうするんですか?」
倫「この資金を元手にして社団法人設立するのさ。チバラキVの諸権利全部買い取って市役所とは縁を切る。そうすりゃ民間団体としてご当地戦隊を続けられる」
玲奈「市役所から独立するって事ですか?」
倫「そういう事。団体の目的はこの千原城市の地域振興。いわゆるNPOってやつさ。これであの市長の馬鹿息子も手出しはできないよ」