いつもありがとう。

今日母の日だね

ほぼ紫赤 兄弟パロ

俺たちに母は居なかった。

いや、居なくなったの方が正しいか。

俺たち6人をお世話するのに疲れたんだって、そりゃあそうだよな。

特に俺が1番迷惑かけただろうし。

そしていまは長男のななにぃが母親代わりに

毎日遅くまで仕事して、朝ごはん作ってくれて、さとみが休めなんて言っていたけどゆっくり寝ててといつも断れている。

今日は母の日。今日くらいはゆっくり休んで欲しいものだ。

赤）今日も仕事…？

紫）ん、ごめんねすぐ帰ってくるから

なぜ謝るのか、でも笑顔で行ってらっしゃいと言った。

さて、次男の俺が兄ちゃんに色々してあげないと

そう言ったものの、美味しい料理を作れる自信もない。いいプレゼントを買える自信もない。

ましてや手作りなんてもうそんな年じゃないし

それに昔、母にプレゼントを渡した時

いつの間にかゴミ箱に捨てられているのを見つけてしまって、それ以来誰かにプレゼントをする行為が怖い。

黄）あれ、ななにぃは、？

赤）兄ちゃんならお仕事だよ

橙）そっか…

下の2人は寂しそうに眉を顰める。

そうだこの2人はなにか準備しているのだろうか。

赤）そういえば今日なにか準備する？

黄）母の日、つまりななにぃにありがとう伝える日ですよね！もちろん準備してます！

橙）俺ら花屋さん行こうって話してた！

赤）そっか、それじゃあご飯食べたら行こうね

この2人はお花か

桃）兄ちゃんに？そんなの1日休む券だろ

青）僕は料理作る！

絶対に休ませたい三男と料理が得意な四男はこんな感じか

青）りいぬにぃは？

赤）俺は…悩み中

出来れば被らない方がいい、けど他にあるとすればなんだ？

疲れが取れる入浴剤とか、？

黄）このくまが乗ってるやつかわいい！

橙）紫色入ってるやつあった！

早速2人を連れて花屋にいる

周りはお父さんと子供が多く賑わっていた

少し羨ましいななんて思いながら2人があれこれ話しているのを眺めていた。

そしてカラフルな色のちゃんとくまが乗っているブーケにした。

赤）これお願いします。

）は~い！ぁ、良かったらこれ母の日なのでメッセージカードどうぞ！

赤）ありがとうございます、

1枚だけ貰ったメッセージカード、どうしよう

黄）りいぬにぃ書かないんですか？

橙）りいぬにぃちゃんが書いた方がいいと思うで！

手紙送るの、いいかもな

赤）2人がそう言うなら、笑

と言ったものの、何を伝えればいいか

いや、兄ちゃんに感謝はたくさんある

これまでのことだって、これからのことだって

でもこうして伝えるのなんて恥ずかしいな。

リビングに降りると、美味しそうな匂い

早速ころちゃんは色んな料理を作っていて、さとみも文句を言いつつ手伝っている。

じぇるもるぅちゃんもお皿を並べたり盛り付けしたり、ちゃんと手伝ってる。

黄）りいぬにぃお手紙書けた？

赤）ぅん、まぁ…

こんな文でいいのか不安だけど

桃）ねぇ、兄ちゃんって傘持ってたっけ？

赤）え、

確か見送った時、何も持っていなかったような

けど外は雨が降り始めていた。

赤）俺迎え行ってくる。

そう言って2人分の傘を持って駅まで走って行った

兄ちゃんを乗せた電車がちょうど到着して、改札の前で待っていた。

時々、走っているスーツ姿のお母さんを確認してつい目で追ってしまった。

紫）りいぬくん、？

ついぼぉっとしていて、いつの間にか兄ちゃんが目の前にいた。

赤）ぁ、兄ちゃんおかえり、！

紫）ただいま、どうして、？

赤）雨降ってたから、そういえば傘持ってないと思って…

紫）わ、ほんとだ雨だ、りいぬくんありがと~！

2人分の傘を持ってきたけど、1本の傘で2人で身を寄せあって帰った。

久しぶりに兄ちゃんと2人だけで嬉しい。

赤）兄ちゃん、

紫）ん？

赤）いつもありがとうっ、

紫）ふふっ、こちらこそだよ、笑

紫）弟たちの面倒任せちゃっててごめんね

赤）ううん、ご飯はさとみところちゃんがよく作ってくれるし、洗濯とかるぅちゃんとじぇるもお手伝いしてくれて、みんないい子だよ

赤）俺だけ、迷惑かけて…

よく体調崩したり、一時期荒れてしまった過去が蘇る。

たくさん傷付けた、自分も周りも

まだ傷跡が残る腕をぎゅっと握りしめた。

紫）いいんだよ、大丈夫。

紫）たくさん迷惑かけたって、いいの。

そう言って頭を撫でられた。

優しくて大きくて暖かい。

何度も撫でられてきた。

そして俺はいつも安心する。

助けられている。

赤）兄ちゃん、大好き、！

いっぱい気持ちが伝わるように、満面の笑みでそう言った。