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コメント
2件
続き早くみたいです。楽しみにしてます
ひかえめにゆってさいこうです
復帰に向けて、精神的に落ち着いている日々が続いていた。しゅーとが復帰するにあたって、YouTubeで生配信をすることになった。
生配信の前日。段取りをさらっと確認するためにメンバー全員集まった。1人を除いて。
f.o. あれ. しゅーとまだ来てない?
f.t. もう時間なのに.
h.m. なんか、嫌な予感がする. ちょっと俺、家行ってくる.
f.o. え、ちょ!もりぴ!
嫌な予感がする。大体の勘は当たる方だ。ただ、これに至っては当たらないでほしい。
(ピンポーン)
……
出ない。最終手段の時用にもらった合鍵。使う時が来るなんて。エントランスに入り、エレベーターが下りてくるのを待った。早く来ないか、と心臓をバクバクさせながら待った。玄関の前に着いた。遠慮なく玄関の鍵を開けて中に入った。
h.m. しゅーと. いるか. 居たら返事して.
……
返事がない。隅々まで探したけど居ない。とりあえず、お母さんに連絡。その後にふみにも連絡した。どちらも返事はすぐに返ってきた。実家には帰っていないらしい。ふみの方は、俺がしゅーとの家に向かっているときには段取りが終わっていて、連絡した頃に丁度終わったらしく、一緒に探してくれるっぽい。
しゅーとに連絡したくても、携帯は家に置いてあるから連絡できない。思い当たる場所を節々探しているがどこにもいない。もうすぐ日が暮れそうだ。ふみにも、『もしかしたら夜帰ってからかもしれない。帰ってくるの待っとこう。』と言われた。あと一カ所。思い当たる場所がある。念の為、ふみに家を任せた。
夕日が沈みかけている海辺。
昔、一回だけ家族と来たことがある。
h.m. しゅーと、
s.m. …ひで.
h.m. 心配した.
s.m. ひではすごいね. どこでも見つけてくれる.
h.m. 夜は冷えるよ. お家帰ろ.
s.m. …
h.m. しゅーと. 帰るぞ.
s.m. ひで、やっぱり、俺限界だ.
h.m. しゅーと、
s.m. 頑張ってるのに、頑張れてない.
h.m. そんなことない.
s.m. ひでには分かんないよ!
h.m. ッ…
声を荒げたしゅーとに驚いた。そんな弟をあまり見たことない。喧嘩したときだってここまでではなかった。
h.m. わかんないよ、だって、言ってくれないんだもん. 言ってくれなきゃ分かんないよ.
s.m. …ひで、もう、居なくなりたい.
かける言葉を迷った。こんなに弱ってるしゅーとはあの日以来。もしかしたらそれ以上に弱っている。あの日言った言葉、伝わってなかったのかな。
h.m. …
s.m. 自由になりたい.
h.m. とりあえず帰るぞ. ふみも待ってるから.
s.m. いやだ!ここで終わらせたいの!
h.m. しゅーと!!!!
s.m. !!!
h.m. 帰るぞ.
俺も久しぶりに声を荒げた。静かになった所で、重くなったしゅーとの体を思い切り引っ張ってタクシーに乗せた。帰ってる途中、しゆーとは遠くを見つめているだけだった。
帰宅後、ふみが勢いよくしゅーとを抱きしめた。なんか、ほぼ半泣き状態でちょっと笑い堪えた。笑 海辺であったことを話すと、ふみはしゅーとの頬を叩いた。
h.m. ふみ!?
f.o. バカなこと考えるな!……..痛かったよね.しぬことは、これよりも比にならないぐらい痛い.どんな死に方しても、いろんな人に迷惑がかかる. ていうことは、悲しむ人もいっぱいいる. しゅーとはいっぱい愛されてるじゃん. たくさんの人たちを悲しませるの?
s.m. ….ふみ…くん…..涙
f.o. ギュッ 叩いてごめんね. しゅーとはよく頑張ってるよ. でもね、弱い部分も見せてよ. じゃないと、寄り添うことしかできない. 手助けさせてよ.
h.m. ふみ、涙
結局、その日はふみと俺はしゅーとの家に泊まった。次の日の配信はしゅーと無しで行った。復帰することはまだ出来なかったが、次のライブでの完全復帰を目指して、という話になった。
ふみの言葉でしゅーとの心は変わったのかはわからない。でも、顔つきが変わっている気がした。兄の直感ってやつ?笑 復帰ライブまであと1ヶ月。長くも感じるし、短くも感じる。それまでにメンバーとして、兄弟として沢山支えると改めて心に誓った。