テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
昨夜の瞬くんは、まるで私のすべてを自分の色で塗り潰そうとするかのように激しかった。
目覚めると、カーテン越しに差し込む柔らかな光が
首筋や腕に残された数々の「独占の証」を照らしている。
私はベッドの中で、自分の手のひらを見つめた。
かつては男性に触れられること
ましてやその熱を感じることに、得体の知れない恐怖を抱いていた。
宏太に植え付けられた「支配される恐怖」が、心の奥底で澱のように沈んでいたから。
(……でも、今は……)
隣で眠る瞬くんの、規則正しい寝息が聞こえる。
私はそっと手を伸ばし、彼の頬に触れた。
その瞬間、指先から伝わってきたのは、恐怖ではなく、言いようのない「安らぎ」だった。
「……ん、……凛さん、起きたんですか」
瞬くんが微かに目を開け、私の手を自分の大きな掌で包み込んだ。
そのまま私の指先を一本ずつ、慈しむように口づける。
「……昨夜、少しやりすぎました。すみません、痛くなかったっすか?」
「全然……むしろ、あなたが私を求めてくれるのが、今は一番の安心になるもの」
私は自分から彼の胸に顔を埋めた。
彼の心音、肌の匂い、そして私を包み込む逞しい腕。
それらが、私の中にあった過去の傷跡を
完全に「温かい記憶」へと変えてしまったのだと確信した。
「瞬くん。私、もう大丈夫。…怖くないわ……今、私の心にあるのは、あなたへの愛しさだけよ」
「……凛さん」
瞬くんは目を見開くと、愛おしさに耐えきれなそうに私を強く、強く抱きしめた。
それはリハビリの「終わり」であり、二人の「真の始まり」を告げる抱擁だった。
「……嬉しい。…本当に、良かった。……これからも、あんたの心と体は、俺だけで満たしてあげますから」
リハビリを通して触れてきた、彼の優しさと強さ。
私はもう、過去の暗闇を振り返ることはない。
この温かな「光」が、私の世界のすべてだから。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
おまる