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そして、紫陽花の会の前日、エアリス様からドレスが召使い部屋に届いた。
ピンクのシフォンドレスで、腰には大きなシフォンのリボンが付いていた。
うーん…
私には可愛い過ぎやしないだろうか…?
そうは思ったが、エアリス様のご好意を無下にする訳にもいかず…
その時、セリーヌが仕事から帰ってきた。
「あらぁ?
何よ、そのドレスは?
まさか…
あなたが着るの…!?」
セリーヌは妬みのこもった目で私を睨みつけた。
「いいえ、これはエアリス様にお届けする物でございます。」
私は言った。
ドレスを破かれでもしたら、大変だからだ。
「あぁ…
そうよねぇ、召使いのあなたにそんなドレスが着られる訳無いものねぇ。」
「では、今からエアリス様にお届けしますゆえ。」
私はそう言ってドレスを薬部屋に持って行った。
これは、当日の化粧と髪結いもここでせねばなるまい…
まぁいいか。
道具は一色揃っているし、セリーヌに睨まれながらやるのは生きた心地がしない。
次の日、ドレスに着替え、ファスナーをあげようとすると、シャルルダルク様が入ってきた。
「なっ!
着替え中にございます!」
「す、す、すまぬ!
わざとでは無いのだ!」
そう言いながらも、シャルルダルク様は私の背中を見つめていた。
「見ておるではありませぬか!
出て行ってくだされ!」
「あ、あぁ…
すまぬ…」
やっとシャルルダルク様が出ていき、私は自分で何とかファスナーをあげた。
「もう良いか?」
外から声が聞こえる。
「えぇ、どうぞ。」
私は言う。
「ほぉ…
桜の姫のようなドレスだな。
そなたのローズクォーツの瞳と良く似合う。」
「世辞いただきありがとうございまする。」
「世辞などでは無い。
心から言うておるのだ。」
「…ありがとうございまする。」
そして、薄く化粧を終え、髪を結い上げた。
「…かんざしはせぬのか?」
「コレに似合うかんざしは持っておりませぬゆえ。」
「俺が買ったチューリップのさざれ石のがあろう。」
「………」
私は黙った。
アレを付けると言う事は、愛の告白を受け入れるという事にはなるまいか…?
けれど、そんな事はシャルルダルク様に言えない。
「深い意味は無い。
それに似合うと思ったのだ。」
「深い意味…とは…?」
「そ、そ、それは…
あれだ…
その…」
私はその慌て様に可笑しくなって笑ってしまった。
「付けさせていただきまする。
このドレスに似合うゆえ。
深い意味はございません。」
私は言った。
「俺をからかうとは良い度胸だ、全く。
そろそろ、俺も用意せねばならぬ。
紫陽花の会でまた会おう。」
そして、シャルルダルク様は去って行った。