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明日は誰にでも平等に訪れるものだと思っていた。
しかし当たり前の日常は簡単に瓦解する。
―――この世界は壊れている―――
目が覚めるとそこは酷く荒れた病室だった。壁はひび割れ、天井からは無造作に配管が垂れ下がっている。
そしてとても埃っぽい。
「ここ…どこだ?それに…」
隣に視線を移すと自身と同じように患者衣を身につけ横たわる少年がいた。
その少年の胸元にはネームプレートがついており、”まんじゅう”と記されていた。
同じように自身の胸元に視線を落とすと、”いぬいぬこ”と書かれたネームプレートがついていた。
「僕…俺の名前は、いぬいぬこ。」
そして隣で眠っている彼はまんじゅうという名なのだろう。
しかし、何も思い出せない。記憶が抜け落ちてしまったかのようだ。
必死に思い出そうとするも、頭を鋭い痛みに襲われ考え続けられなかった。
「ひとまずここから出たい…病院ならエントランスロビーに何かしら情報があるかもしれない。」
とその前に、
「隣の彼、起こすか…」
いぬいぬこはまんじゅうの体を揺さぶってみた。
しかしなかなか起きない。
「んぅ…あと5分だけぇ〜 え?」
しばらく揺さぶってみるとようやく起きた。凄く混乱した様子だがすぐに落ち着いて、自身の置かれた状況を理解しようとした。
が、やはり記憶が無いらしく。
「ここどこ?てかあんたは誰です?あれ俺も誰だ?」
「俺はいぬいぬこ。君の名前は多分まんじゅうだよ。ほら、」
そう言っていぬいぬこは胸元を指差す。
「あっほんとだ…」とつぶやき自身の身なりを確認し、次は周りを見回した。
「ここは病院なのか?」
「恐らくね…」
その後、お互い記憶がないことを確認したり病室内を探索したりした。
「この部屋には特に何もなさそうだね…」
「外に出てみる?」
そう言って扉に手を掛けるまんじゅうだが、開かない。扉がうんともすんとも言わない。
「まさか閉じ込められて…?」
いぬいぬこが扉を開けようとすると…開いた。驚くほどあっさりと。
「これ引き戸だわ。」
「あ。」
しかし扉を開くと同時に鼻を突く強烈な死臭に襲われた。
「なっなんだよ…これっ」
思わず声を漏らすまんじゅう。
廊下は凄惨な様だった。医者や患者達の死体とそこら中に撒き散った血痕。そして異形の化け物が一体横たわっていた。
「何なんだよこれ…一体何なんだよぉ!」