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『春』
十四回目の春を迎えた
外に出てみると
新品のランドセルを背負った小学生が
汚れのない目で世界を見つめていた
私は
その目を今でも持てているのだろうか
わからないものを素直に認められなくなり
人が人を貶すことに慣れてしまうようになり
泣いている人を見て見ぬふりするようになり
好きなものを好きと言えなくなった
そんな私は
過去の私から見て
どう映るのだろうか
不意に桜が舞った
私は思う
大人になるということが
子供の頃の私に蓋をするということなら
私はまだ
大人になりたくない
十四回目の春を迎えた
私は揺らいでいる
もがいている
それを尊いと思える日が
いつか来たらいいなと思う
(了)
コメント
1件
読んだわ……「十四回目の春」って設定がもうグッとくるね。 子ども時代の自分に蓋をするのが大人になること、って表現、すごく刺さった。 「好きなものを好きと言えなくなった」と「大人になりたくない」の対比が切なくて、でも最後に「それを尊いと思える日が」って希望みたいなものが見えるから、余計に響くんだよな。 詩的な文体と等間隔の改行も相まって、心の揺れがそのまま伝わってきた。良い作品をありがとう!