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「見つけた!!」
暗雲を消し飛ばすような声が、王室内に響き渡った。俺たち勇者組を含め、その場にいた全ての人が振り返った。
「あいつだ!!!」
とヴァルナは犯人を指差す。その犯人とは、王様の世話をする執事…ではなく、その隣にいる50代前半くらいの男。フェルディナンド家の当主、『グランヴェル・フェルディナンド』だった。
俺が読んだ漫画の中で、彼に関する言及は少なかったが、俺はその内容を覚えている。
[フェルディナンド家。ゼルヴァン1世の時代から、王への忠誠を誓っている一族であり、貴族社会の中で、王の次に高い地位を確立している。現当主はグランヴェルであり、ゼルヴァン13世とは幼い頃からの交流がある。今では王が病に伏せている間の政治を取り行っている。]
こいつの情報からして、見るからに犯人じゃねぇか。なんで1番最初に疑わなかったんだろ。
ヴァルナがグランヴェルを指差すと、グランヴェルは慌てて逃げようとした。
「無礼をお許しください!【チェイン・ロック】」
「ぐっ…!!」
ルークスそう言うと、グランヴェルの足元から鎖が現れ、そのまま彼をを拘束した。
「ルークス殿…?貴殿ら!!突然どうしたのだ?!このような場で何故ー!!」
ネドちゃんの治療のおかげで体調が良くなっている王様は、その様子を見て困惑している。そりゃ、ずっと信頼していた人間が捕まっていたら、誰だって驚くだろうな。
そんな王様に、ネドちゃんが札を見せる。その札とは、『免罪符』。勇者パーティにのみ渡される札で、“平和を守る”みたいな、ちゃんとした理由があれば、場所を問わず戦闘していい…つまり、何をしてもいいという許可証だ。
それを見た王様は、もう何も文句は言えない。例え王であろうと、守られる側なのだから。でも、王様の混乱はまだ収まらない。
「ネド殿…何故貴殿らはグランヴェルを捕らえておるのだ?」
王様はネドちゃんに縋るようにして説明を求めたその時。
「ー我に力をお貸しくだされ!!ー」
グランヴェルがそう叫ぶと、周りに鋭い嘴を持つ、鷹の様な魔獣が数百体ほど現れた。
「うわああ!!空穿ちだ!!!!」
「逃げろ!!死にたくない!!」
あたりは騒然としている。空穿ち?なんだそれ…。
と言いたかったが、そういえば漫画に説明あったわ。
正式名称は「ゲンティリス」。自身の体を高速回転させ、ドリルの様な状態で突進する鳥類型魔獣だ。それぞれが攻撃特化で、その威力は簡単に人の体に穴を開けることができる程。その攻撃の凄まじさに因んで、「空穿ち」って呼ばれているらしい。でも、弱点もある。突進以外に攻撃方法がないこと。攻撃までに溜めの時間があること。方翼が壊れれば戦闘不能になること。長距離の攻撃では威力が落ちること。直線勝負しかできない事。
つまり、適した戦闘方法は何か。そう。
すぐさまルークスが他の貴族たちを王室から出させた。
「ルークス!斧!!」
「りょーかい!!」
ヴァルナがルークスに斧を要求すると、ヴァルナの手元に大斧が出現した。ヴァルナは基本素手で戦うキャラだが、たまにルークスに武器を作ってもらい、それで戦う。
漫画で見たその連携を生で見れて、俺はめっちゃ興奮した。
そんな俺をよそに、ヴァルナは床が割れるほど踏み込み、目に負えない速度で空穿ちの元へ走っていった。そして大斧をぶん回した。回転し始めた空穿ちも含めて薙ぎ倒して行ったため、無傷で五十体は倒したかな。もうヴァルナが空穿ちだろ。
それに負けじと、ルークスも魔法で正確に空穿ちを追撃する。高速回転するため、どのタイミングでも空穿ちにさえ当てれば、大体翼は壊れる。それを狙ってか、ルークスは突進する空穿ちにも怯まず魔法を当て続けて、次々と墜落させ、ヴァルナといい勝負をしている。ルークス普通に賢いし、空穿ちのとんでもなく早い突進によく当てれるな?!
俺は何をしているかって?もちろん、逃げ続けているぜ!!だって仕方ないだろ!俺は別に剣道やってたわけでもないから、剣なんか扱えないし、弓だってそうだ!だから、取り敢えず逃げて壁にぶっ刺さった空穿ちをヴァルナとルークスに任せている!セコいって言ったって無駄だからな!!
…あ!そういえばネドちゃんは戦えない!!どうしてるんだ?…と思ったが、さすがルークスとヴァルナ。気が利く。ネドちゃんに背中を向け、守ってくれていたのだ。てかあそこめっちゃ安地じゃん。俺もそっち行こ〜っと。
「ヴァルナ!ルークス!すまん!俺も守ってくれ!」
「オーケー任せな!!」
「ユーヤ!ナイス囮だった!」
うわ〜。文句も言わないだなんて、いい奴すぎる。
「てかこれ、どんだけいるんだよ!!!」
「分からない!でも、倒しては再召喚されての繰り返しだ!ストックが大量にあるのか、復活しているのか…。とにかく、大元さえ潰せば何とかなる!」
ルークスはそう言うが、グランヴェルに近付こうとしても、大量の空穿ちが厚い肉壁を作るせいで中々近付けない。
こっちはこっちで大変な時、ネドちゃんの方も大変そうだった。
「なぁ、頼む。あやつに何があったんじゃ?なぜ魔獣を操っておる?なぜお主らはあやつを捕らえておるのだ?」
王様の動揺は未だに収まらない。ネドちゃんはこっちの戦いに参戦するために「説明は後でします」と言い続けている。話せば長くなるだろうし、王様の動揺を鎮めるには苦労しそうだから、説明を後回しにするにはいい判断だと思う。それでも王様は足を引っ張り続ける。
その時。
「ネド!!危ない!!!」
ヴァルナが叫んだ。
一匹のゲンティリスがヴァルナとルークスの守りをすり抜け、王様とネドちゃんに突っ込んできた。そりゃそうだ。2人だけで、大量の攻撃特化型魔獣から俺たち3人を守り切ることなんて難しいのだ。
俺は何を思ったのか、少しでもマシになれと、ゲンティリスの進行方向に左手を差し出した。俺の腕一本で、人の体に穴を開ける攻撃を止めれる訳がないのに。
肉が裂け、骨が砕ける音がした後、
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