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夜の底、冷たい闇が圭吾の心を覆い尽くす。
鏡の中の影が囁く。
《そうだ……お前は弱い。
愛に縛られ、傷つき、裏切られ、何も守れなかった。
もうやめろ……その愚かな心を捨てて、俺と一つになれ。》
圭吾の瞳が血走る。
身体を震わせる痛みと怒り。
「……くそっ……こんなはずじゃなかったのに……」
彼の声はかすれ、叫びは空虚に響いた。
「俺は……何のために戦ってる?」
孤独と裏切りに胸が引き裂かれ、
やがてその痛みが、冷たい絶望へと変わっていく。
「もう、誰も信じられない……」
静かに、しかし確かに闇が彼の中に浸透していく。
「お前の言う通りだ……」
圭吾の声が震え、影がその身体を包み込む。
「俺は強くなる。
誰も裏切らないように。
だが、その力は……もはや光じゃない……」
影は彼の内側から解き放たれ、彼の瞳は漆黒に染まる。
「これでいい……これでしか、生きられない……」
闇に堕ちた圭吾は、もはや元の自分ではなかった。
愛と希望を捨て、冷酷な影の使徒となった。
彼の手には、かつての温もりは消え失せ、
代わりに暗黒の力が渦巻いている。
「俺を止められるのは……もう誰もいない……」
闇の囁きが響く中、
彼は闇の深淵へと、無慈悲な一歩を踏み出した。