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それから先生は、きっと、私がまだ帰りたくないのを察してくれたから
このまま、レストランに連れていってくれた。
「何食べる?」
『んー、なんだろ』
こーゆーのって、食べ方とかで汚く見られちゃうよね。
「俺ハンバーグ」
『ハンバーグ好きなんですか』
「あれ。言ってなかったっけ?」
『聞かされてませんけど』
「オレ好きなのよ。ハンバーグ」
ハンバーグ まるで子供みたい
とも思ってしまうけど、それは秘密。
『私もハンバーグで』
「いや、好きなの食べなよ 笑」
『ハンバーグが食べたいんです !』
嘘。
そりゃあ、嫌いなわけないけど
私は、先生の…翔太くんの好きな物が食べたい
翔太くんと、同じもの…
お揃いがいい
ハンバーグが届くと、2人でいただきますをした。
『⋯あ』
「うん?」
『ニンジンあんまり好きじゃない⋯』
って言ったら、
「好き嫌いすると成長しないよ?」って胸元を指さしながら言うから思わず『ばかっ!』って言っちゃった。
「しゃーないなぁ」
私がちょっと拗ねたら先生は食べてくれた
で、セクハラ発言も許しちゃう。
・
「んじゃ、気をつけて帰りなね?」
『あとはエレベーターだけですよ』
「エレベーターも密室。」
なんて、ちょっとドキドキする言葉を先生は使う。
「あ、〇〇」
『はい?』
振り返ると、頭を引き寄せられて先生の唇が私のと触れ合った。
「忘れもの」
『⋯また、悪魔みたいな笑い方』
「ん?」
『いや!何も』
忘れもの って言った先生の笑った顔があまりにも微笑ましくて
口に出てしまった。
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