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荷物を持って、走っていく車が見えなくなるまで見送る。
そんなエンジン音も聞こえなくなると、一気に夢の世界から現実へ戻ってきたみたい
めちゃくちゃ楽しかったのに、溜息がでる
でも、嫌では無い
この気持ちは、何だろう。
恋人が別れる時にはみんなこんな気持ちなんだろうか
先生も、なってくれてるの…?
1人、空を見上げる。
神様が、決めてると思ってた陽はもうない
家に帰って、部屋に篭もる。
全部⋯夢じゃない?って本気で思う。
だから、ベッドに座って今日撮った
花の写真、海月の写真、
隠れてとった先生の横顔。
『夢じゃ⋯ないよ』
朝、迎えに来てくれて
お花を買って
深澤先生の旅館に泊まって
呼び方も変えて⋯〇〇って呼ばれて
水族館、動物園に行って デートっぽくなって
夕焼けを見て
夢なんかじゃない
でも、また溜息が出てしまう
きっと、これを名前で表すなら「恋の病」
・
お風呂に入って、ポカポカしてたら思い出した
『そういえば、深澤先生何くれたんだろう』
深澤先生の旅館に泊まって、帰ろうとした時、深澤先生が呼び止めてきて
「〇〇ちゃん、これ」
『なんですか?』
「まぁ、帰ったら開けてみて。」
『えー今じゃダメですかぁ?』
「だめだめ 笑 ひとりで見てね」
『はぁーい』
って、なんか封筒に入ったものをくれた。
外からじゃ、何が入ってるか分からない
何も気にせず、中身を出してみた。
「⋯え」
カシャ と小さなもの音を立てて出てきた中身に息が止まった。
中に入ってたのは、1枚のCD
「恋愛革命」とメモ書きされていた
間違いない。これは
先生の字だ。
恋愛革命…って、前に深澤先生が言ってた。
「ミルクティー」の前は「恋愛革命」だったって
じゃあこれは…
急いで、ノートパソコンにCDを入れる
焦っていたからか、2回くらい落とした
イヤホンを繋ぐのもソワソワしちゃった。
耳に流れ込むのは
ギターだけで歌う先生の歌声。
甘いような、柔らかいような、優しいような
私の、大好きな声。
【僕の真っ白な唇と
君の赤く染った唇を 繋ぐものがほしい】
【いつかその唇に触れさせて】
初めて、キスをした時のことを思い出した。
私に、語りかけてるような歌声に私はどんどん惹かれていく。
【自分だけのもの、にしたくて】
【俺の、ってわかってほしくて】
1度、歌詞を読んだのに
【想いが伝えられないのは、この関係のせい】
先生の声で歌っているこれは 知らない歌で
【君を俺で伝染できるなら】
【君は いいよ って言うんだろう】
気がつくと、涙もでてて
でも、今日たくさん笑った先生の顔も思い出して
笑いながら、泣いて。
何回も、先生の歌声を耳に響かせる。
何回も、何十回聞いたって
もっと聞いていたい。
気がついたら、私は眠りについていた。
先生、貴方は私を伝染してくれてますか
先生、私はいいよ じゃなくてしてほしいって言う。
先生のものに なれてますか。