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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜2nd season
第1章 『閉ざされた部屋は何を語るか』
〜知恵と頭脳は紙一重〜
第4話 止められない苦しみ
俺は……生まれた時から人生は決まってた。
この家に生まれてから、俺は不幸なことばかりだった。毎日、跡継ぎになる為に父さんからは指導を受けた。必要な知識、マナー、会計学、歴史、地理、その他、社交界に出るために必要なことは、全て叩き込まれた。そして、1つでも出来が悪いと――。
ボキッ!ゴスッ!
『痛い、痛いですお父様…!』
『黙れ!!お前は何度言えば分かる!私の跡継ぎとしての自覚があるのか!?』
悪魔のようなお父様だった。振るわれる暴力で心まで傷付けられた。貴族のパーティに出る度に、寄ってくるのは俺の家の家柄目的の人ばかり。大きくなればなるほど、それがどういうことか解ってしまうのが本当に苦しかった。
自分の事なら耐えられた。どれだけ殴られても、罵られようとも。でも――お父様は、母さんにも暴力を振るった。
バチンッ!
『や、やめろよ!母さんは関係ない!』
俺は母さんの間に割って入る。
『関係ある。お前を産んだのはこの母親だからな。お前に似て愚図で馬鹿な所はそっくりだ。』
『っ……。』
腸が煮え滾る怒りが…沸いてきた。
俺の中にあるのは…殺意だ。
殺してやるという…憎しみ。
俺はギリッと歯を噛み締めた。
『あ、アリン、いいのよ…。下がってなさい。』
『母さん…。』
『お前はこっちに来い。指導し直してやる。』
『っ……!』
あぁ、この男がいる限り、俺達に自由は無い。
自由を手にするためには、この悪魔を――。
『開けるな!!!』
劈くような声が響き渡る。
『……何故でしょうか。ここを開けて、不都合でも?』
『もう、出ていけ。貴族の屋敷をむやみやたらに物色して楽しいのか。』
『私の仕事は探偵です。故人の無念と、遺族の悲しみを少しでも楽にするのが私の仕事です。』
『主様……。』
『このままじゃ埒があかないわね……。』
私は再びドアノブに触れる。
『やめろ…っ。開けるな…!』
ガチャッ。
扉を開く。
『監禁部屋…?』
監禁部屋と呼ぶにも相応しくない、その部屋は
鞭や紐などが散乱していた。
『監禁部屋…?そんなわけないだろ。
再教育部屋だよ。俺に対するあの悪魔のな。』
『再教育…?』
『期限を損ねさせれば鞭打ちされたり、磔にされたり…拷問のような教育を施されたんだ。だから――。』
『……もう、隠せないわね。』
『母さん……?』
『麻里衣さん。』
『っ、やめろ。母さん、言うな…!』
『…奥様。いいえ。リーシュバード・モルカさん。貴方が罪を被る必要はありません。貴方は…自分の息子を守ろうとした…そうでしょう?』
『え……?母さんが、俺を…?』
私は仮面を外す。
カチャ…。
『謎と闇は全て暴かれました。 さぁ。光の名のもとへ全てを明白に。』
『ドナルド様を殺したのはアリン様。そして、隠蔽工作を手伝ったのは奥様ですよね。』
『いつから…気付いていたのですか?』
『…職に慣れるというのは嫌というものです。変に周りに視線ばかりにいってしまう。探偵というお仕事は全てを見て謎を解きます。そう、私がこの屋敷に入り…遺体を見つけた時から。』
『…!』
『ドナルド様のポケットに入っていたのは寝室の本体の鍵。そして、鍵の予備の管理は奥様です。最初は…奥様が犯人だと疑っていました。痴情のもつれはよくある事ですから。でも、貴方ではなかった。紐が首に酷くくい込んでいた。それを表すのは憎しみの強さです。女性の貴方では男性であるドナルド様の首は締められませんから。だから男性の犯行だと考えました。そう、アリン様。貴方です。』
『……っ。』
『ドナルド様から暴力を受けていた貴方は――。母親にも暴力を振るうドナルド様を酷く憎んだ。殺してやりたい。と。だから、自分の手で…殺した。自分をよく縛っていた紐で…。 』
『うぐっ、ぐ、ぁ…っき、さま、なに、を…っ。ぐ……っ。』
『はぁ、はぁ、はぁ…っ!』
俺はドサッとその場に座り込む
『ざまぁ…みろ…っ。』
そして、自殺に見せかけるため、証明に紐を括り付けた。窓に鍵をかけ、再教育部屋に繋がっている部屋から出たあと…。廊下から部屋に入って鍵を閉め…。タンスをドアの前に立たせて…寝室の扉から出た。
『これが…貴方の計画です。でも、あなたは一つだけミスを犯した。』
『ミス…?』
『指紋です。殺すことが目的だった貴方は…
指紋を拭き取るのを忘れてしまった。』
『で、でも、お姉ちゃん、指紋は検出されなかったんだよね?窓からもドアノブからも…それに、紐からはドナルドさんのしか…。』
『え……?母さん、まさか…っ。』
俺は母さんを見つめる。
『…流石ですね。そうです…私は、主人が首を吊ってるところを一度見ています。でも…アリンのことです。焦って指紋を拭き忘れているだろうと…私は思い、手袋をして指紋を拭き取りました。』
『そんな…母さん……っ!!』
俺はその場に泣き崩れる。
『アリン…貴方は私の最愛の息子よ。
私の勝手なわがままで…貴方を傷付けてしまったわね…。』
親子2人は泣きながら抱き合う。
私はその場面を黙ってただ見ていた。
次回
最終話 抗えない罪と罰
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天樹
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