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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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土曜日。
文化祭当日。
校門には大きな看板。
校舎中から聞こえる笑い声。
普段とは違う、特別な一日。
「玲くん!」
「おはよう」
「おはよう!」
星羅はいつも以上に楽しそうだった。
「今日、一日一緒だよ!」
「ああ」
「約束だからね?」
「分かってる」
その瞬間。
「天城さん、受付お願い!」
「はーい!」
星羅が駆けていく。
「……」
玲はその姿を見送った。
人気者だ。
誰からも頼られている。
それが少しだけ誇らしい。
そして。
少しだけ寂しい。
午前中。
玲はクラスの出し物を手伝っていた。
星羅は受付。
「いらっしゃいませ!」
「こちらにどうぞ!」
笑顔で客を案内している。
そんな星羅を見て。
「天城って、本当に可愛いよな」
「分かる」
「彼氏いるのかな?」
男子たちが話している。
玲は聞こえていないふりをした。
けれど。
胸の奥が少しざわつく。
そのとき。
「玲くん!」
星羅が走ってくる。
「ちょっと休憩!」
「大丈夫か?」
「うん!」
星羅は玲の隣に座る。
「疲れた……」
「お疲れ」
「玲くんは?」
「普通」
「つまんない」
「何が?」
「もっと労ってよ」
「……お疲れ」
「ふふっ」
星羅は満足そうに笑う。
そして。
小さな声で。
「玲くん、午後空いてる?」
「ああ」
「じゃあ――」
星羅は耳元に近づく。
「一緒に文化祭回ろ?」
「……分かった」
「やった♪」
午後。
二人で校内を歩く。
模擬店。
ゲーム。
展示。
「玲くん、これやろ!」
「射的?」
「うん!」
星羅が銃を構える。
「……」
「……当たらない」
「貸して」
玲が銃を受け取る。
一発。
景品が落ちる。
「えっ!」
星羅が驚く。
「すごい!」
「普通だろ」
「普通じゃない!」
景品は小さなぬいぐるみ。
「はい」
「え?」
「星羅に」
「……!」
星羅はぬいぐるみを抱きしめる。
「……大切にする」
「ああ」
「一生」
「大げさ」
「大げさじゃないよ」
星羅は笑う。
その後。
二人は校舎裏のベンチへ。
人が少ない。
「……疲れた」
「座るか」
「うん」
星羅が玲の肩に寄りかかる。
「……」
「今日は楽しい?」
「楽しい」
「私も」
しばらく二人で黙っている。
すると。
「玲くん」
「ん?」
「今日、他の女の子とあんまり話してないよね?」
「……?」
「ずっと私と一緒だった」
「ああ」
「……嬉しい」
星羅は笑う。
「昨日、ちょっと不安だったんだ」
「何が?」
「文化祭って、人いっぱいだから」
「……」
「玲くんが誰かに取られちゃうんじゃないかって」
「取られないだろ」
「……うん」
星羅は玲の手を握る。
「でも、怖かった」
「……」
「私、思ってるよりずっと重いのかもしれない」
玲は星羅を見る。
「知ってる」
「……え?」
「なんとなく」
星羅は一瞬固まる。
そして。
「……嫌?」
「別に」
「本当に?」
「ああ」
星羅は安心したように笑う。
「よかった……」
夕方。
文化祭の終了時刻が近づく。
校内放送が流れる。
『文化祭終了まで、残り三十分です』
「もう終わりか……」
星羅が寂しそうにする。
「楽しかったな」
「うん」
校門へ向かう。
そこで。
「天城さん!」
男子生徒が声をかけてきた。
「今日、一緒に回れて楽しかった!」
「うん、ありがとう!」
「よかったら――」
男子が何か言おうとする。
その瞬間。
星羅が玲の腕を抱きしめた。
「ごめんね」
笑顔。
「私、玲くんと帰るから」
「……」
男子は少し驚く。
「あ……そうなんだ」
「うん♪」
「じゃあ、また明日」
男子が去っていく。
玲は星羅を見る。
「……さっき」
「ん?」
「結構強引だったな」
「……嫌だった?」
「いや」
「じゃあいいよね?」
「まあ」
星羅は笑う。
「よかった」
そして。
玲の腕を離さない。
「今日は……絶対離したくない」
「……」
玲も何も言わなかった。
ただ。
そのまま隣を歩いた。
夜。
文化祭が終わった学校。
誰もいない教室。
星羅は一人、窓から校庭を見る。
「……終わっちゃった」
でも。
手元には今日の思い出。
玲からもらったぬいぐるみ。
そして。
スマホには今日撮った写真。
「……幸せ」
星羅は笑う。
けれど。
写真の中の玲を見つめる目は――。
少しずつ、熱を帯びていく。
「もっと欲しい」
今日より明日。
明日より、その先。
「玲くんの隣を……」
誰にも渡したくない。
「私だけの場所にしたい」
その言葉を。
今度は笑って誤魔化さなかった。
文化祭は終わった。
けれど。
二人の恋は――。
ここから、さらに深くなっていく。
コメント
1件
文化祭の甘い一日かと思いきや、星羅さんの独占欲がひたむきでドキドキしました。射的のぬいぐるみを「一生大切にする」と抱きしめる姿も、ラストの「私だけの場所にしたい」という熱を帯びた目も、笑顔の裏にある執着がゾクッとするほど美しい。「今日は……絶対離したくない」と腕を離さない星羅さんが忘れられません。文化祭が終わっても深まっていく二人の恋、この先が楽しみです。