2日、寝たきりの両親は何だか臭い。お風呂に入ってないからだろうか。身体も黒い。
親が寝たきりでも、これがいるから全然寂しくない。
時計を見ると、「花に水をやる時間だ。」気づいて部屋に行く。
親が寝てから花が少し黒みを帯びたような気がして、少し残念だった。
本を読んだ。また読んだ。その時だけはあの子は静かで姿も見せない。
殺 という言葉を見つけた。生き物が動かなくなることらしい。それに気づいてふと親を見る。黒く熟れているその身には、虫がたかっている。
本には書いてある。神はいらぬ殺生を好まぬ、と。少し怖くなったけど、「私は神に従った。そうだよね。」「うん、そうだ。悪いことはない。」神様は私が正しいと言っている。そうなんだ。
突然、悲鳴が聞こえて驚いた。隣に住んでいるマーシーさんの悲鳴だった。マーシーさんは、そこに立っていた。「マヤちゃん…?ドレイスさん達は…なんで死んでいるの…?」「この子がやれって」とまで聞いて「キャアアアアアアアアアアアアアアッ」と悲鳴を上げるマーシーさん。
「貴女、殺したの?両親を?この子って誰よッ、気持ち悪い!」電話を掛けるマーシーさん。
話すマーシーさんはとても緊迫していてうるさい。「ほら、やっちゃえ」神様は言った。
正直者の神様。
バァァァン
大きな音がして、受話器を落としてマーシーさんは死んでしまった。
お花は、更に黒くなっていた。
それを眺めていると、お巡りさんがやって来て、優しいのかどうかわからない笑顔を見せられて車に乗せられた。
夕方頃に車の中で私、マヤ・ドレイスが思ったのは、
お花、置いてきてしまったであった。
そして私は治療を受けた。なんのかは分らないが。
そのままあの子と一緒に大人になっていった。
孤児院で寝て、食べて、遊んで、学んで、病院で治療を受けて。
それでも本は、読み続けた。
みんなとも仲良く何も不自由がないから、文字通りとても幸せだった。
気がかりなことといえば、この子のことはみんな見えていないようだったけれど。
コメント
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イマジナリーフレンド?なのかな····· とても面白いです!