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「…ていうかさ!明日から三連休だよね!」
夕食中にらっだあがそう言った
「へ〜そうなんだ〜」
ご飯を口に運びながら喋った
「どっか行く?」
「う〜ん…」
考えてみても、思いつかない
「ま、思いつかないなら家でいいけど」
そう言われ、 心の内をらっだあに見透かされたようだった
「「ごちそうさま〜」」
食器をシンクに持っていき、 二人で食器を洗う
「…?」
「…そこ、怪我したの?」
「え、うん」
らっだあが俺の手の絆創膏を見ている
「…ならいいや」
ふいっと顔を食器に向け、泡のついた食器を水で流す
「…リスカだと思った?」
らっだあは、気にしないフリをやめて、こっちを見 た
「図星?」
らっだあは少し考えていた、数秒の沈黙が流れ、
沈黙の流れを断ち切るように
「べーつーにー」
と、いつも通りの口調に戻った
「だからなんだよそれw」
らっだあが部屋に戻り、食器も洗い終わったので風呂に入ることにした
…ふと洗面台の鏡に写る自分を見ると、 ずいぶん傷が 治ったな、なんて思う
「いっしょに逃げよう」
…そんな言葉、誰にも言われたことがなかった
助けてほしい、なんて言わなかったし
この人は、本当に助けてくれるかも…なんて、思ったんだけど…
「…あの」
「ん?なに?」
「俺をどうするつもりです…?」
彼に手を引かれて走りだした先は
「だってここ、風呂場ですよね…?」
そう、風呂場だった
「いや!だってなんか髪とか汚れてたし…」
「いやまぁ事実ですけど…」
「じゃあいいじゃん」
「…俺を野良犬かなんかだと思ってます?」
まさに、保護されている感じだった、
「髪とか洗ってあげるよ?」とか、「背中流してあげる」
とか、しばらくそんな事を言われて、もはや断るのも
めんどくさくなり、しぶしぶ了承してしまった
「絶対こっち見ないでくださいね!」
「はいはい」
でかいバスタオルをもらい、胸まであげて着た
「………はい、もういいですよ」
隠せるものは隠してしまいたかった、 だけど、
腕、首、手、隠せきれない傷が見えてしまう
「………」
彼の表情は、無表情のようで、どこか寂しげで、
哀愁を感じさせた、
「そっか…」
「…俺さ、まだ君のこと何も知らないんだ、」
懐かしさを感じたような、眉をひそめた顔
「だから…」
「ぺ〜んちゃ〜ん?」
「はっ…」
「大丈夫?」
ついぼ〜っとしていた
「うん、大丈夫」
「ならいいや〜」
風呂場のドア越しかららっだあの声が聞こえた
ずいぶん長く風呂に浸かっていたみたいで、
(心配かけちゃったな…)
少し申し訳なかった
「らっだあ〜?お風呂上がったよ〜」
「ん、おけ〜」
ソファーにらっだあが座っていたので、隣に座る
「うわっ…やめろよ」
らっだあが洗いたての髪を触ってきた
「ほんとぺいんとって髪きれいだよな〜」
「……」
「ん?もしかして照れてる?」
「照れてないわ!」
「ふふっ…本当…ぺいんとは…………な…」
「え?なんか言った?」
「…いや、何も〜」
君は何も知らないままでいい、そのままでいいんだ
「ふふっ…本当に、ぺいんとはキレイだな…」
初めて見たんだ、見ようともしなかったし、
ぺいんとの腕とか、首とか、手とか、
俺は本当に何も知らなかった、ぺいんとのこと。
悲しかった、でもそれだけじゃ申し訳なくて、
「…俺さ、君のことまだ何も知らないんだ、」
「だから…」
「もっと教えてほしい、言ってほしい、頼ってほしい」
君からしたら初対面なのに、こんなこと言われて訳が分からなかったと思う、でも…
「君を絶対救ってみせるから…」
これは、昔の君への恩返しのつもり
「………」
「俺の名前はらっだあ、君は?」
「……ぺいんと、です」
名前なんて、知っていたんだ
「…ぺいんと…会えてよかった、これからよろしくね」
だって俺は
別の世界線から来たから