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数日かけて家の内装を完成させて、ついに引越しの日がやってきた。車に荷物を詰め込み新居に着いたつぼ浦。
「アオセーン!!」
「ん?…呼んだー?」
「荷物運ぶの手伝ってくれ。」
「荷物ってかほとんど食べ物だろwこれって趣味なの?全部のお店の商品集めてるとか?」
「いや別に…気に入ったもんあったらその商品しか頼まないすね。」
「へぇ、1回今ある分消費してからまた買ったら?」
「いやそれはなんか違うだろ。この街の飲食物賞味期限長いから平気すよ。」
「それはそうなんだけどね?…まぁ良いか。」
冷蔵庫と車を往復しながら話す。全て運び終わると並んでソファに座った。茶色を基調とした落ち着いた色合いのリビングには大きなソファと壁掛けテレビ。キッチンは利便性を重視しつつシンプルな造りにした。リビングの一角に畳を敷いてコタツを置いたのは青井の案、空いていた1部屋にトレーニングマシンを置いて筋トレ部屋にしたのはつぼ浦の案だ。
「ふぅーやっと落ち着いた。…いよいよだな、改めてよろしく。」
「こっちこそ。で、一緒に住むって何すんだ?」
「え?w別に今まで通りで良いんだよ?一緒にいたい時はここにいれば良いし、1人になりたかったら部屋行けば良いし。筋トレするのもあっちの畳の上で寝てても自由。」
「自由か…アオセンは今何したい?」
「俺はー…疲れたからとりあえず休みたい。」
「じゃあ俺も。」
「じゃあはい、こっち来て?」
抱き締めながらゆっくりソファに寝た。青井の上に乗って優しく頭を撫でられてるといつの間にか寝てしまった。
「…ん、うぅーん…アオセン?寝てる…もう夕方か、今何時だ?」
窓から差し込んでくる西日に顔を歪めながら起き上がる。寝顔を見ながらサラサラ髪を撫でていると突然ガシッと手首を掴まれた。
「うぉっ!?…アオセン?」
「お前俺が寝てる間にこんな可愛い事してるの?ずるいよ。」
「ずるいってなんだよ…」
「なんでも。ずるいもんはずるいの。」
「なんだそれ。てかもう夕方すよ。」
「あーマジか結構寝たな。くっついてたから汗かいてるか、先に風呂入ろ。」
「じゃ先入っていっすよ。」
「え、一緒に入ろうよ。新居の1番最初に入る風呂だよ?」
「1番最初だから1人で広々と堪能したら良いじゃないすか。」
「お前分かってないなぁ、何の為に広い風呂にしたと思ってんの?とりあえず沸かすか、スマホでできるようになったの便利だな。」
起き上がりスマホを操作して設定を終わらせるとさて、と説得を始める。
「なんで今日はダメなの?」
「んー…なんか、今日は違う…」
「今日は、て事は明日なら良いの?」
「それは明日になってみないと分からん。」
「今日だって入ってみたら気分変わるかもしれないじゃん。だからお願い!」
「なんで今日そんなに?」
「だって何でも初めてって1回しか無いんだよ?その1回を愛してる人と経験したいって思うのはダメ?」
「……え?」
聞き慣れない言葉が青井の口から出てきて耳を疑う。一瞬時が止まった。
「ん?どうした?」
「アオセン…今なんて…」
「初めては1回しか無いよって。」
「いやそこじゃなくて…」
「?…あぁそうか、これも初めてか。こっち向いて。…愛してるよ、つぼ浦。」
暖かい笑顔で見つめ、両手を包み込みながら言った。つぼ浦は固まって目を見開き驚いた表情をしているが、胸がいっぱいになり自然と出てきた涙が頬を伝う。
「なんで泣く?wほらおいで。」
「いや…分からん…嬉しくて…」
「泣くほど嬉しく思ってくれてるんだよね、俺も嬉しい。」
「うん、ありがとうアオセン。俺も…その……はぁ幸せ…」
「つぼ浦は言葉より行動で示してくれるタイプだもんな、いつも愛受け取ってるよ。幸せだな、つぼ浦と出会えなかったら無かった幸せ。ありがと。」
「…なんかダメだ、この…嬉しすぎて気持ちの整理が…俺にはまだ早かった…」
「まだ早かったかwちょっと急だったよな、ゆっくり心落ち着かせて。…いや、逆にもっと泣いても良い。」
瞳を潤ませながら抱きついてくるつぼ浦に優しく話しかけながら背中を摩った。