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プロローグ
眩しかった、ただひたすら光に包まれたような丘だった。
その果てしなく、鮮やかに広がる緑の果てに、小さな桜の木が一本。
あぁ、ずっと会いたかった…
私の世界で、人生で一番大切な人。一番愛しい人。
「春海…」
「あなた…」
その声は、あの日々と全く変わらない。暖かくて落ち着く静かな声。
涙が止まらない、目から溢れる大粒の雫で彼の顔がよく見えなかった。拭っても拭っても、キリがない。
それでも私は笑顔を取り繕って彼に向けて見せた。
やっと顔が見れた、やっと会えた
私は、走った。重い体でできなかった時の分まで全力で。
彼が腕を差しのべる。
私は全身で想いを伝えるように彼を抱きしめた。