コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今回で第三話です!それではどうぞ!!
✦︎注意書き
︎︎✦︎原作ガン無視スタイルなので、原作終了後の世界線になります。
︎✦︎黒の組織解体してあります。
︎✦︎最終的は降谷さん予定です。たどり着いたらいいな…
︎✦︎妄想の詰め合わせ
︎✦︎受け入れてくれる優しいお方はスクロールをお願いします。
✄——————-‐✄
目が覚めるとふわふわのベッドの上だった。車に乗せてもらったとき、寝てしまったのだろう。多分ここは降谷さんが言っていた阿笠邸だ。
少し横を見ると大人っぽい幼児化した私より幼いような少女と降谷さんが居た。
「どうやら目覚めたみたいね
で?その子がアポトキシン4869らしき毒薬を飲まされた被害者かしら?」
「び、」
「……なに?」
「美人さんだ……!」
「……この子、工藤くんみたいに頭を殴られたのかしら?」
「……一応、外傷はなかったよ……」
と苦笑いする降谷さん。
この少女は今の私よりも二歳ほどお若いだろうか、推定八歳の美少女さんは私を元に戻す解毒薬を作れる唯一の人物らしい。
小学生なのに……?!と思わずにはいられないが、世の中には成長する人工知能を作った十歳の少年もいたらしいのだから、まぁありえないことでもないのだろう。
すごいな、天才科学者ってことじゃん……とメロメロしていると、横から頬を緩く摘まれた。
「そろそろ本題に入ろうか」
クラスメイトの顔から警察に切り替わった降谷さんは、私の証言から掻い摘んで、特に麻薬や毒薬に関する情報を提供していく。
「そう……青いカプセルだったのね。確かに、アポトキシン4869にしてはあなたの縮み具合はおかしいわね」
「そうなんですか?」
「ええ、あの薬を飲まされた人は五十代で十三歳程度、十代後半で六〜七歳程度、三十代前半のあなたなら八歳くらいかしら。もう少し若いはずよ」
なるほど、確かに十歳くらいとは思っていたが、言われてみると十一に近い見た目かもしれない。
「飲まされてからどのくらいで症状が出たかわかる?」
「数分のうちに激痛が始まったと思います。それに体が燃えるように苦しくて…毒を飲まされたのはわかっていたので、痛み始めるまでは正直思考停止状態で走馬灯に埋もれていたので、正確な時間までは……」
カルテだろうか、器用にブラインドタッチで打ち込んでいく。すごい、目で追えない。理系?はすごい……
「その辺りの症状はほとんど変わらないわね……とりあえず採血と皮膚の採取ね。お風呂貸してあげるから、綺麗にしてから始めましょう」
「えっ、あの、着替えないんですが……」
「おろしてないのを貸してあげるわ、着てた服も貸してちょうだい、洗ってあげる。」
「め、女神様……?!」
「灰原哀よ。」
彼女からすると厄介ごとでしかないだろうに、見知らぬ他人にお洋服を貸してくださるとな……?!
輝かせて目を開く私をまたもや横から頬を摘まれる。邪魔をしないでいただきたい。
「まったく……学生の頃からきみは変わらないな……ほら、コインケースは預かっておくから、早く行っておいで」
はぁいと軽く返事をして、お風呂場を案内してもらい入った。
お、重い……
当然急に小さくなった体でお風呂に入るのは難しい、シャワーを持つことさえ重いと感じた。
数秒後手首に水が当たると痛さでシャワーを落としてしまったが、片方の手でキャッチした。
きっと怪しい男に手首を掴まれた時に出来た痣や傷が染みたのだろう。
ため息をついてお風呂に入り、出ると服を着てさっき皆が居たリビングに戻る。
お風呂から上がったものの、入浴直後は血流が早くて採血はできないらしい。先に皮膚の採取だけ行うそうで、爪の一部と、ちょっと左の二の腕あたりからメスでほんの少し切り取っていく。
あまり痛くはないが、物珍しくてじっとみていたら 横から物好きな……と視線が刺さる。悪かったな、変人で…!!
灰原ちゃんは手首の傷に気付いた様子で、すぐに手当てをしてくれた。
灰原ちゃんは検体の保管やら培養やらがあるらしく、しばらくゆっくりしてて、とのことで裏に引っ込んでしまった。
そんなわけで、十二年ぶりに会う同級生とソファーに座ってテレビを見ている。正直結構気まずい…そんな空気の中降谷さんは口を開いて
「まさか十二年ぶりに会う同級生が毒殺されかけていたとはな……」
降谷さんはコーヒーを片手に頭が痛い、という様子で空を見上げている。
「私もまさか降谷さんが命の恩人になるとは思いませんでした」
採血があるため私はただの白湯だが、もう時期年末のこの寒空の元だと暖かいだけでなんでも美味しく感じるのだから不思議なものだ。
「七徹とか言ってたな、なんの仕事だ?警察でもなかなかないぞ」
「ああ、今の時期だけですよ、パティシエなんで」
「なるほどクリスマスか」
「いえすいえす」
「もう少しマシなダジャレはないのか」
「てきびしい」
と言うと降谷さんと目が合い、2人で笑った。
そうそう私 は公務員以外でブラック率ぶっちぎりの飲食業、さらにいえば局所的に過労死ラインをぶっちぎるパティシエだった。
今日は二十七日、ようやくクリスマスムードが終わり、二週間ぶりの休みだった。
「そういえば仕事どうしましょう、明日からまた仕事なんですけど」
「社畜だな」
「社畜ですね」
「事後報告になって申し訳ないが、僕たちの方できみの失踪届を出してある。今頃警視庁の人間がその旨を職場に報告に行っているはずだ」
「わーお…、じゃあしばらくおやすみですね。私」
結構嬉しかったことは否定できない。パティシエの仕事が嫌いなわけではない、むしろ好きまであるけどこの疲れのまま明日も仕事だとぶっ倒れそうだったからだ。
「……しばらくで済めば良いんだが」
「まぁー、毒飲んで命あるだけラッキーなわけだし、これからのんびり考えますよ」
と呑気に言うと、降谷さんは何故か険しい顔でこう言った。
「そんなきみに残念なお知らせがある」
「…エッ……。」
どうしよう嫌な予感しかしない…
コトリ、とマグカップを置いて、居住まいを正した彼に、つられるように私もマグカップ置いて姿勢を正す。
「きみは麻薬の取引現場に居合わせた目撃者であり、彼らの中できみは死んだことになっている。つまり、きみはきみ本来の橘 雛という名で活動はできない。それはわかるな?」
流石にその程度は理解はしている。すでに失踪届も出されているのだから。
「きみが生きているとバレたら、まず間違いなくもう一度殺しにくるか、あるいは毒薬から生き延びた症例としてモルモット行きだ」
モルモット…ってなんだ?
あの可愛い動物になるのか?
という顔をしていると降谷さんが簡単に説明してくれた。
モルモットとは簡単に言えば実験体。解剖されたりいろんな毒をお試しされてしまうらしい……
もちろん絶対それは避けたいところだ。
「おそらく解毒薬も一朝一夕にはできないだろう。彼女曰く、どうやらオリジナルの毒薬の成分をベースに作られた紛い物らしい。変に手が加えられている以上、オリジナル用の解毒薬そのまま使うわけにもいかない」
な、なるほど?…よく分からないけれど元の体に戻るのには時間がかかるというのは分かった。
「つまり、きみは今の肉体年齢のまま、組織に隠れて一生を過ごさなければならない可能性もある」
こくり、とひとつ頷く。
ボストンバックに入ってから、寝るまでずっと考えていたことだ。正直戻れない可能性の方が高いだろうということと、事件が解決するまで警察の保護下で生活しなければならないのだろうということ。
────きっと、第一発見者である降谷さんには、大変迷惑をかけるであろうことも。
「先にも伝えていたが、その毒薬のオリジナルに関しては表沙汰にはなっていない。警察内部でも把握しているものはごく僅かだ。そしてそれはこれからも変わらない、知られてはいけない毒薬だ。本来なら麻取とも協力しなければならない案件だが、これが関わっている以上、それも難しい」
こくり。もう一度しっかり頷いてみせる。
「組織の割り出し自体は毒薬のことを伏せて、幼い目撃者がいるという体で進める事ができるが、摘発の段階まで進むと毒薬の情報を把握している限られた人員のみで動くことになる。押収物の中に毒薬の取り引きの記載もあるだろうからな」
こくり。
「……まぁ、まだ始まってもいないことだ、今頭を悩ませたところでしょうがない。とりあえず目先の課題はきみの生活だ」
確かにそうだ。大人の橘 雛は死んでいることになっている。家も仕事も、なんなら口座なんかも、失踪届がでた時点で警察からの手続きで凍結されているだろう。つまり私は今、無一文の戸籍もない小娘なのだ。
「そこで、だ。警護の面もあるきみは当面の間僕が預かることになった 」
「うんうん…、うん…?」
私の聞き間違えだろうか、僕が預かることに…?いや、聞き間違えだ。きっとそうだ、絶対…多分……
「新しい戸籍は手配済み、書類上、きみと僕は血の繋がりのない親戚ということになっている。交通事故でご両親を亡くし、独り身の僕が引き取った、とね」
どうやら聞き間違えでは無かったようだ…空いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
オメーこれから偽名で生きていけよ!というのは想像していたけど…
私、昔の同級生と一つ屋根の下で生活することになりました…、、