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清香は、テレビの前に置いたスマホの画面に美香が映っているのを確認してから、話し始める。
「前の会社の人が、美香に付き合ってる人がいなかったら、紹介したい人がいるんですって」
最初からハイスペックを売りにすると疑われるかもしれないので、美香の食い付き具合いで明かしていこう。
「それって何してる人?」
「お金持ちみたいだよ」
「本当に?絶対に紹介して」
「えっと、その情報だけでいいの?好きな人とかいないの?好きな人がいるなら、その人との恋を頑張った方がいいんじゃない?」
美香なら清香に悪いとも思わずに、好きな人、結ばれたい人がいると堂々と言うと思っていた。
「今は好きな人なんていないから、絶対に紹介して」
どう言うこと?たいして好きでもないのに、姉の旦那を寝取ったってこと?この女、マジで踏み潰してやりたくなってきた。
「うん、連絡しておくね」
「そうだ、友達にその人の好み分かったら聞いておいて。分からなかったら、清楚系お嬢様でいくしかないかな」
ああ、会う男でコンセプトまで変えられるのか。美香なら高級キャバでも上手くやっていけそうな気がする。
「美香、いい男紹介するんだから、飲み物くらい出してよ」
「今日だけだからね」
「ありがとう」
美香が台所に飲み物を取りに行った隙にソファから立ち、テレビの前に立てたスマホを回収した。
◇◆◇
美香がお金持ちなら男を紹介して欲しいと言っていたことを友美伝えると、週末に顔見せを兼ねてデートすることになった。
「はじめまして、秋山 美香です」
完璧な清楚系お嬢様に見えるのがすごい。
「僕は高塚 翔。高塚物産に勤めています」
「会社名の高塚物産って、同じ名前じゃありませんか?」
「ああ、祖父が創業した会社なので、僕は三代目なんですよ」
高塚 翔が、高塚物産の三代目と言うのは嘘ではない。
「まあ」
美香は目をキラキラさせて、高塚物産の三代目に狙いを定めた。光一との不倫は終わるはずだから、復讐の計画もここで終わらせるのが一番かもしれない。
◇◆◇
「コンビニ行くけど、買ってきてもらいたいものあるか?」
「お義兄さん、美香アイス食べたい」
「OK」
光一は仕事の息抜きに、コンビニに買い物に出かけた。
「紹介してもらった人と上手くいってるの?」
美香を探る為、光一が出かけたのを見計らって話しを持ち出した。
「まあね。彼は結婚相手として申し分ないわ」
「結婚相手として?それって好きな人とか恋人は他にいるってこと?」
「そんなの当たり前じゃない。好きな相手が貧乏だったら、結婚できないでしょ?」
「高塚さんと結婚を前提に付き合ったら?」
「今の話しの流れで分からない?恋人と結婚相手は別だよ」
つまり、美香は光一との関係を終わらせる気もないし、高塚とは結婚する気でいるわけか。
この復讐は、後戻り出来ないと分かった。
美香には高塚か光一のどちらかを選んで欲しいと思っていたが、自分の甘さを痛感した。
高塚は、清香に興味があると言った。だったら、高塚を美香に渡さなければいい。
玄関の扉が開いて、光一がコンビニの袋をぶら下げて帰ってきた。
「美香、ソフト買ってきたぞ」
光一が部屋に上がる。
「やったー。美香ソフトクリーム大好き」
その時、光一と美香の間に秘密の暗号でも決めてあるのか、視線で会話をしているのを感じる。
ソフトを手にすると、光一を見ながら下から上に向かって舌を出しソフトクリームを舐めまくる。
クズ男はゴクリと大きく喉を鳴らして、美香から視線を動かせなくなっていた。
「私のは?」
光一と美香の空気を壊したくて、頼んでもいないアイスを買ってきてくれたか聞いてみた。
「ちっ、何だよ。欲しいものがあれば言えって言ったろ」
光一は面白いテレビを見ている最中に、つまらない話しをするなとばかりに舌打ちした。
◇◆◇
美香は、金曜日の夜には三代目と会い、土日には光一に会いに来る。
姉の夫と浮気をしている妹は、姉の目が気にならないのか、信じられないほど大胆に振る舞う。
ハイスペックな高塚を美香なんかに渡してやるもんか。
「高塚さんに会おう」
仕事部屋にいる光一を気にしてトイレにこもり、スマホを出して、電話帳から友美の名前を出して電話をかける。
「友美、相談なんだけど」
「どうしたの?」
「美香がね、光一とも高塚さんとも別れる気はないって。高塚さんは夫で光一は恋人にする気みたい」
「さすがだね。必ず最悪のムカつく手を打ってくるんだね」
そうだ。美香は清香にとってだけ、いつも最悪な選択をしてくる。
「私、高塚さんに会ってみようと思うんだけど」
「いいね。妹からハイスペック君、奪っちゃおうよ」
「うん、高塚さんと結ばれて美香が幸せになるなんて許せない」
「そりゃあ、そうだよ。どうせ清香のことだから、高塚さんと幸せになってくれたら、旦那が帰ってきて円満解決とか思ってたんでしょ」
「何で分かったの?まさか監視カメラを見てるとか?」
何でも知っているかのような友美の発言に、小心者はトイレの中で監視カメラに視線を向けた。
「いや、私のスマホに清香ん家の監視カメラ映像なんて送られてくるはずないよね」
「だよね。はは」
友美の言葉で清香はやっと、ホッと出来た。自分で監視カメラを設置しておいて、それにビクビクするなんて、ほんと情けない。
「高塚さんの電話番号教えるから、今、かけてみなよ」
「い、今┅┅」
「美香が強行手段とかでる前に、早めに会っといた方がいいんじゃないかな」
友美の脅しのようなアドバイスに、清香も覚悟を決める。
「番号教えて」
「そうこなくっちゃ。言うよ」
「待って、待って、OK」
「090✕✕✕✕✕✕✕」
清香はスマホに番号を入力した。
「かけてみる。またね」
細くなった指で、スマホに高塚の連絡先を入れ「えい」と気合いを入れて、電話をかける。
「はい、高塚です」
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#復讐