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あれから俺は仕事に戻ったが、全く集中出来なかった。頭の中で先程のクロコダイルとのやり取りを思い出しては悶絶するというのを繰り返していたからだ。
「なんなんだよ本当にさぁ……」
頭を抱え、机に突っ伏してぼやく。
すると、 コンコン とノックの音が聞こえた。俺は慌てて姿勢を正して、狐の面をつけ直す。それからドアを開けると、そこに立っていたのはロビンだった。
「お、オールサンデー…」
「エメリヒ? なんだか疲れた顔しているけれど、どうかしたの? 大丈夫?」
俺は咄嵯に言い訳を考える。
しかし、上手い嘘が思いつかず、 あー、うー、と意味のない言葉を発することしかできない。それを見た彼女は何かを悟ったようにふっと微笑む。
「Mr.0に何かされたのかしら?」
ロビンにそう言われ、俺は顔が熱くなっていくのを感じる。
何も答えられずにいると、肯定と捉えられたようで、ロビンはくすくすと笑った。
「何か見ました…?」
「いいえ、でもあなたは分かりやすいから」
まじかよ。恥ずかしすぎる。穴があったら入りたい……。
「……ミス・オールサンデー、質問してもいいですか…?」
「私に答えられることなら」
「………その、俺って男受けしそうな顔してます…?」
俺は意を決して聞いてみた。
自分で言うのもなんだが、俺はそこそこ整った顔をしていると思うけど、あまりにも同性に可愛がられることが多すぎる。それが気になって仕方がなかったのだ。
「顔を見たことがないからわからないわ」
「あ、そ、そっか。じゃあちょっと外すので審査お願いします」
狐の面を外し、目元だけを彼女に見せる。
「……とても整った顔ね。どちらかと言えば可愛い系じゃないかしら」
「ミス・オールサンデーに整ってる、って言われると照れますね」
「それにあなたは気遣いだって出来るみたいだし、男性に限らず女性にもモテるんでしょうね。あ、あとこれは私の個人的な意見だけど、あなたの瞳の色ってすごく綺麗な色をしているわ。私は好きよ、そういう目」
「あ、あわ、ありがとうございます…??」
ロビンにべた褒めされて、俺は更に赤くなる。てゆうか最後の方の言葉めっちゃドキッとしたんですけど。
「…オールサンデー、もしかしなくても俺って人たらしってやつですか?」
「そうかもしれないわね」
「俺いつか誰かに刺されませんか…?」
「あなたは簡単に刺されるような人間じゃないでしょう?」
そうかもしれないけどさぁ……。でもあまりにも俺は多方面に色々なフラグを立たせ過ぎている気がする。
「あぁ、そうだ。忘れるところだったわ」
突然思い出したかのように、ロビンは手に持っていた紙袋を俺に差し出す。
「なんです? これ」
「頼まれたたもの。あなたが欲しがっていた本よ。昨日たまたま書店で見かけたので買ってきたの」
俺はその言葉を聞いて嬉しくなって、思わず紙袋を掲げてしまう。
「ありがとうございます、オールサンデー!」
俺は早速中身を確認する。そこには確かに探していた小説が入っていた。でも何故かもう1冊入っている。
「こっちは?」
「私のオススメの小説よ。良かったら読んでみてちょうだい。感想聞かせてくれると嬉しいわ」
「オールサンデーのオススメなら間違いないですね!」
俺は笑顔で礼を言う。
すると、彼女も優しく笑ってくれたので、俺の心はとても満たされた気持ちになった。
「……それはそうとして、さっきの俺のことは忘れてもらっていいですか?」
「ふふ、善処するわ」
にこにこしながらロビンは言った。これ絶対忘れてくれないやつです。
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