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臣桜
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BrownSugar
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#オフィスラブ
猫塚ルイ

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早朝のファミレスで一人
改めて離婚届と向き合う
先日の離婚協議に進展はなかった
純也は離婚を渋っていた
最後にして最大の難関が立ちはだかる
全く以て上手く行く気がしない
それでも
ここで歩みを止めるわけには行かない
振るえる手で
私は離婚届に署名した
これで後はリュカの証人欄と
純也の署名を残すのみ
どう純也に離婚届を切り出そうか思い悩んでいた折
着信したリュカからのメッセージ
「——!?」
その文面を見て衝撃が走る
——旦那さんがファミレスの外にいるよ
「……」
(何で純也が——)
そう思ったのも束の間
すぐに察しがついた
いつもより早く家を出た私を
尾行したに違いない
咄嗟に外に目を移すと
私が振り向いたことに反応し
ガラス越しにそれらしい人影が動くのが見えた
偶然じゃない
純也は私を監視している
そして
そのことを伝えたリュカも
恐らくこの付近にいる——
未だ寝惚け眼だった目が
一瞬にして冴えわたり
全身に衝撃と緊張感が走る
私は
この状況下で
どうしたらいいのだろうか
どうするべきなのだろうか
このまま気付かぬ素振りでやり過ごす?
それとも……
考えどもそれ以外の案が浮かばない
しかし
リュカが入店して来れば
会社の男と会っている場面を目撃され
怪しんでいた純也の勘繰りを裏付けることになる
外にいた人影は
隠れて見えなくなった
しかし
純也はまだ付近に潜んでいるだろう
「……」
私は意を決した
席をそのままに
偶然を装い店外に向かう
チリンチリン♪
ファミレスの入口の扉を開けると
脇の物陰に立つ
純也の姿があった
「……」
「純也……どうしたの?」
「何でここにいるの?」
「え?……あ、ああ、偶然。たまたまだよ」
「……そんなわけなくない?」
「お前こそこんな早朝から何してんだ?」
「何って、出社前に立ち寄っただけに決まってるでしょ」
「ふ~ん……」
「何なのその態度」
白々しくも
煙に巻く純也に腹が立ち
不安定な情緒が顔を出してしまった
そして私たちは
言い合いの様相を呈してしまった
チリンチリン♪
その醜態が目に付いたのか
ファミレスの扉が開き
中から店員さんが出て来てしまった
「あのお客様……お会計はお済みでしょうか?」
「あ、いえ、済みませんちょっと出ただけでまだ……」
「すみませんが、会計のお済みでないお客様の外出は控えて頂くよう——」
と、
店員さんから
お叱りにも似た注意を受けている最中
偶然を装ったリュカが現れた
「あれ?水川さんじゃないですか!」
「おはようございます」
「……して、そちらはお知り合いの方か何かですかね?」
普通日本人ならば
それが知り合いなれど
深くは突っ込まない所だがそこはリュカ
グイグイと会話に割って入って来た
「はは……お見苦しいところをすみません」
「こちらは私の夫でして……」
リュカの意図も掴めないまま
流れでそう答えてしまった
「そうでしたか!それは失礼しました」
「初めまして、私は同僚のヴォルコフと申します」
「お店の方にも迷惑なので良かったら中に入りませんか?」
突如現れ
会話に割り込んできたリュカは
その場を諫めると
その場の雰囲気を物ともせずに
あっという間に
その場の流れを掌握してしまった
怪訝そうな顔でリュカを見つめる純也
後ろに立つ出て来た店員さんは
入口の扉を開けたまま待っている
結局私たちは
一旦店内へ入ることに
そこに
純也が
そして
リュカまでもが
一緒についてくる恰好になってしまった
図らずも
二人が鉢合わせてしまった
リュカの行動は
わざとに違いない
きっと
何か意図があってのこと
経験則からそう読める
しかし
今の私には
リュカが
一体何を考え
何をしようとしているのか
皆目見当がつかなかった
ただ
二人が顔を合わせてしまったことに
そして
その場に私も居合わせていることに
ただただ
心臓が飛び出るほどの
極度の緊張に襲われていた
私を先頭に
元居た席に戻って来た
純也は
気まずそうにしながらも
私の隣に腰を下ろした
そして
向かい側に座るリュカ
低音量のBGMが流れる早朝の静かな店内には
不穏な空気が蔓延していた
コメント
1件
おお、めっちゃ緊張感ある回だったな…! ファミレスの朝の静けさと、三者が鉢合わせた空気、地の文でひしひし伝わってきたわ。特に「振るえる手で署名した」シーンと、リュカがわざと割り込んできた感じ—あれ絶対計算だよね? これからどう転ぶかマジで気になる🔥 続き楽しみにしてます!