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🩷「ここから先は──俺の仕事だ。」
その言葉を残し、勇斗はゆっくりと黒い影へ歩き出した。
💛「待って!」
思わず伸ばした手は届かない。
足が震える。
逃げた方がいい。
頭ではそう分かっているのに、目が離せなかった。
黒い影は人のようで、人ではない。
輪郭は揺らぎ、闇そのものが立っているようだった。
勇斗は制服のポケットへ静かに手を入れる。
取り出したのは、小さな銀色のペンダント。
月明かりを受けて淡く光る。
その瞬間だった。
黒い影が苦しむように後ずさる。
低いうなり声を上げながら、廊下の奥へと逃げていった。
💛「……何?」
思わず声が漏れる。
何が起きたのか分からない。
ただ一つ分かるのは、目の前にいる勇斗が、俺の知っている勇斗ではないということだった。
勇斗は影を追おうと一歩踏み出す。
その腕を、俺は反射的につかんでいた。
💛「!」
勇斗が振り返る。
その瞳は相変わらず静かで、冷たかった。
💛「何なの……?」
震える声で問いかける。
💛「今の影は?」
💛「何をしてるの?」
矢継ぎ早に質問をぶつける。
勇斗は少しだけ目を伏せた。
そして、小さく息を吐く。
🩷「……知らなくていい。」
その一言だけだった。
💛「よくない!」
気づけば声を張り上げていた。
💛「なんで何も言ってくんないんだよ!?」
静かな廊下に、俺の声だけが響く。
勇斗は何も答えない。
しばらくの沈黙。
やがて、小さく口を開いた。
🩷「……知らない方がいい。」
それだけだった。
どうして。
どうしてそんな悲しそうな顔するんだよ。
聞きたいことは山ほどあるのに。
何一つ教えてくれない。
その時だった。
──ゴーン。
時計が一時を告げる。
冷たかった空気が少しずつ和らぎ、点滅していた蛍光灯が元に戻る。
窓のきしむ音も止んだ。
まるで何事もなかったかのように、校舎は静けさを取り戻す。
🩷「……終わった。」
勇斗が小さく呟く。
その横顔は、少しだけ昼間の勇斗に戻ったように見えた。
💛「勇斗。」
俺はもう一度だけ呼ぶ。
💛「お願い、教えて……?」
勇斗は困ったように笑った。
その笑顔は、俺の知っている勇斗に少しだけ似ていた。
でも。
どこか寂しそうだった。
🩷「……ごめん。」
その一言だけ残し、勇斗は歩き出す。
💛「待って!」
俺は追いかける。
でも。
角を曲がった瞬間。
そこには、誰もいなかった。
◇
翌朝。
🩷「おはよう、仁人。」
教室で笑う勇斗は、昨日の夜とはまるで別人だった。
🩷「昨日の宿題、ちゃんと持ってきた?」
いつも通りの笑顔。
いつも通りの声。
昨日の出来事なんて、最初からなかったみたいに。
💛「……勇斗。」
聞きたい。
昨日のことを。
でも。
結局、何も聞けなかった。
その日の放課後。
教室を出ようとした俺は、ふと勇斗の机に目を向けた。
机の中から、小さな紙切れが落ちている。
何気なく拾い上げる。
開いた、その瞬間。
そこには、たった一行だけ書かれていた。
『次の巡回 深夜0時 旧校舎 三階』
💛「……巡回?」
思わず顔を上げる。
その紙を探すように教室を見回した勇斗と、一瞬だけ目が合った。
勇斗は驚いたように目を見開き、すぐに駆け寄ってくる。
🩷「……それ、返して。」
その声は、昼間の勇斗とは思えないほど冷たかった。
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もう巻き込みたくない。
そう思っているのに。
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運命は、
少しずつ仁人をこちら側へ引き寄せていく。
コメント
1件
第2話、一気に闇の匂いが濃くなってきた…!勇斗の「知らなくていい」って冷たい声、すごく刺さった。昼間の笑顔とのギャップが怖いのに、仁人の気持ちになって「教えて」って思わず叫びたくなるよ。最後のメモで“巡回”って、やっぱり勇斗は何か特別な役割があるんだね…。二人の距離がすれ違うもどかしさ、すごく響いた。続きが気になる…!