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私立カントリーネーション学園。
小中高一貫のエリートな名門校で、生徒達は家柄の良い家庭の子もいれば一般家庭の生徒も、優れた才能がある生徒もいればこれから才能を見出だす又は見つける生徒まで様々。
成績が首席の卒業生が一度に複数人、ということも珍しくない所だった。
そんな学園には世界的に名前が知られている家庭の子ということもあり、特に注目されている生徒が数人いる。
取り分け毎日沢山の生徒達に引っ張りだこな人気者がいた。
彼は「アメリカ」、勉学運動力共に成績優秀。
この学園の成績優秀な卒業であり現在は世界に名を轟かせる大企業の社長イギリスと、同じくイギリスの同級生で成績も優秀だった現イギリスの社長秘書で妻のフランス、その夫妻のご子息の長男でもある。
つまり彼はとんでもない大企業の次期社長になりえる存在でもある。
本人の性格もフレンドリーで、大企業の息子という肩書きを感じさせぬように周りと接して友人を増やしていった。
そんな彼に求愛する女子生徒も多くて彼が女子に話しかけられない日は無かった。
もはや彼は学園で1番の人気者。
ある春、アメリカは12年生(高3)になった。
学園の門の正面に、まるで新車の様な光沢のある白いリムジンが停まっていた。
アメリカの従者が下校の迎えに来たのだ。
友人達やファンの生徒達に見送られながら、リムジンの後部座席に乗った。
窓際に肘を着き、流れる景色を眺めながらため息をついた。
従者「……ぼっちゃまがため息とは珍しいですね。どうかされましたか?」
アメリカ「あぁいや……最近退屈だなぁって。友人達に新しい趣味とか聞いて色々やってみたけど、どれもあんまりピンとこなくて………
新しい趣味を探す作業すらもなんか億劫になっちまって……」
従者「成る程、そういえば最近はお屋敷で色々となさっておりましたね。そういうことでしたか。
もしよろしければその試している趣味、私もご一緒できそうであれば致しましょうか?
種類にも寄りますが趣味は誰かとやると意外とハマれることもありますよ」
アメリカ「うーん…………いいや、最近色々やっててちょっと疲れたし、しばらくはぼんやりながら過ごすよ」
従者「かしこまりました。
………あ、そうだ!もし差し支えなければ私からシェフに申し出て本日のお夕食を普段は出さない珍しいものにしてもらうというのはどうでしょう?」
アメリカ「お、それちょっといいかも。たのむ」
従者「かしこまりました」(^^)
そうこうしているうちにリムジンは高級住宅街に入り、莫大な所有地と大きな洋風のお屋敷がとても目立つアメリカの自宅へと到着した。
白い石レンガの壁に美しい紫の屋根と、沢山ある大きな窓や整えられた植木や花々。
誰もが視界に入れれば足を止めて眺めてしまう、イギリス夫妻ご自慢の立派なお屋敷だった。
夕食時、 出された料理はまさかのカレーだった。
アメリカの様な家庭では滅多にカレー等は出ない。
離れた所でアメリカの従者がアメリカにウインクをする。
アメリカ (おぉ………確かに珍しい)
食後、アメリカは何となくでイギリスの居る書斎へ向かった。
折角12年生になったのだし、何か話したいと思った。
イギリス「私も暇ではないのですよ?」
アメリカ「いいだろ別に~、何か面白い話とかないかぁ❓️」
イギリス「うーんそうですね……先程の食卓の席で言いそびれていたことなんですが、実はとある会社と契約したんですよね 」
アメリカ「ふーん、どこの会社?」
イギリス「前から交流があったあの方の会社です」
アメリカ「あー、あのヒトか」
イギリス「えぇ。たしか貴方の同級生にあの方の息子さんがいらっしゃいましたよね」
アメリカ「え、そうなのか⁉️知らなかった……」
イギリス「……………情報収集能力を鍛えなければですね」
アメリカ「えぇーオレけっこう人脈広げれてるんだぜ~?」
イギリス「………となれば、ご本人が意図的に隠しているのでしょうか」
アメリカ「なんでだ❓️あの学園の生徒な以上注目はされるってのに、態態(わざわざ)隠すだなんて……苦労してるんだろうなぁ~」
翌日
アメリカは登校して早速取引先の会社の息子さんを探してみたが、本人が隠しているのであろうだけあってそれらしき人物は見つけられなかった。
しかし、教室に入った時に直感でピリッときた。
まだ人数が少ない教室で、いつも自分より先に席について誰かと話している人物がいた。
時々同じクラスの友人の3人で揃って登校している。
教室の隅っこの席で、その友人達意外とは滅多に関わらない。
放課後や部活の時間は全くと言っていい程見かけない。
でも成績表でちらほら見かける。
名前は確か「日帝」
アメリカ「、おはよう❗」
ナチ「……おはよう」
日帝「……………」ぺこっ
アメリカが挨拶すると、ドイツ家の長男が少し警戒気味の顔で返し、日帝は会釈だけして2人は会話を再開した。
そのだいぶ後にいつも一緒のもう1人の日帝の友人、イタ王が駆け足でやって来ていつもの3人が揃った。
イタ王も名が知れている名家の長男だったはずで、彼も日帝とナチとずっと話している。
アメリカ (今はよそう……)
直感と見覚え、聞き覚えのある彼があの会社の社長の息子さん(長男)だと察知した。
真相をはっきりさせる為にもアメリカは彼と話そうとタイミングを伺っていた。
しかし休み時間も昼休みも、ほぼ常に日帝の周りにはナチやイタ王がいて近づけなかった。
そして部活の時間、アメリカは部活を休んで日帝を追跡した(そのうちにアメリカは従者に迎えに来なくていいように知らせた)。
どうやら日帝は部活をやっていないらしく、図書室で本を借りると下校した。
日帝も名家の者の筈なのに、彼は徒歩でたいして護衛等もつけずに帰っている。
アメリカ (……大丈夫なのか?)
とアメリカが物陰から日帝を尾行していると、日帝が路地裏に入った。
アメリカが路地裏の入り口前に隠れて覗くと、奥では野良猫を撫でてスマホで撮影している姿があった。
アメリカ (なにやってんだあいつ……可愛いな。ちょっと写真撮ってやろ)📱
その頃アメリカの少し後ろには、珍しく迎えはいらないと言われ様子を見に来たアメリカの従者がいた。
従者 (ぼっちゃまッ……心配して来てみれば……まさかストーカーだなんてッ、ぼっちゃまとて犯罪行為は見過ごせませんっ!証拠写真をおさえさせていただき旦那様にご報告させていただきますッ!!)📱
その時の日帝は、カメラを自撮り機能に切り替えて……
日帝 パシャッ(………………や、やっぱりなんかめっちゃ撮られてる……
学校からついて来てるのってアメリカだよな?朝珍しく挨拶してきたし、休み時間とかも寄ってきてたけど………なんなんだ?その後ろの人はアメリカの従者か?)
その図はさながらSNSで投稿された某写真のパロディの様になっていた。
日帝が様子を見ていると、スマホ画面に黒い車がアメリカの近くに停まったのが映った。
車から降りてきた男は黒い服装をしていて目が血走っている。
手には刃物が握られており、ボソボソと「もう……お前でいいっ………ぉ前の父親が悪いんだからなッ……」と言っている。
アメリカは瞬時に戦闘態勢になって構え、不審者を気絶させようと足を動かした時……
アメリカの背後から突風が吹いたかと思うと、不審者のナイフが宙を舞っていてその間に不審者は日帝に背負い投げをされており黒い車のボンネットに叩き落とし、ボンネットをグニャリと凹ませた。
アメリカ「は……えっ!?」
アメリカが目の前の光景の情報を解読した時に地面にカランと刃物が落ちた。
日帝「大丈夫か!?」
アメリカ「え、あ、おう……ありがとう…… 」
従者「ぼ、ぼっちゃまァーーーー!!!!
ご無事ですか!?!?今警察を呼びましたからッ!!」
アメリカ「え!?なんでじっさんがここに!?」
数分後、警察が来て不審者は逮捕。警察署で全員事情聴取された後アメリカと従者と日帝は解放された。
警察署の前には日帝の家の使いのとアメリカ達の使いの迎えが各々来ていた。
従者「日帝様、この度はぼっちゃまを護ってくださり誠にありがとうございます。このお礼は後日必ず致します!」
日帝「あ、ぃっいえ、咄嗟に体が勝手に動いてしまっただけですし……」
従者「……ぼっちゃま………帰ったらお話があります!💢」
アメリカ「え?あ、おう………てかなんかじっさん怒ってる?」
従者「当たり前です!!💢」
アメリカ「ご、護衛を着けなかったのはわるかったよっ❗ただ今回は1人で行動したかったからで」💦
従者「言いたいことはそれだけではありません!💢とりあえずお話は帰ってからです!! 」
アメリカ「あ、ちょっちょっと…… 」
日帝「……………………」💦
従者はアメリカを迎えに来たリムジンに詰め込むと、日帝に向き直り再度お辞儀とお礼を言って従者自身もリムジンに乗り込んだ。
日帝もアメリカ達を見送った後、自分の迎えの車に乗り込んだ。
日帝「……………なんだったんだ……」ボソッ
アメリカは帰宅後、従者によって日帝をストーカーしていたこと、その際護衛を着けていなかったせいで不審者に襲われかけてストーカー対象にしていた日帝に護られたことをイギリスやフランスに告げられた。
アメリカはただただ日帝という人物がどんなヒトなのか気になって、行動を観察したりして声をかけるタイミングを見計らっていただけだと弁明した。
しかし従者が、アメリカが日帝を盗撮している決定的場面の証拠写真を突きつけ、イギリスとフランスには冷たい目で見られていた。
アメリカは可愛い場面を見て反射的に撮りたくなってしまっただけと言うが、それがダメなことだろうとイギリスに返され後日しっかり謝罪するようにと命じられた。
翌日、アメリカが教室に入ると敵意で満ちた顔で睨むナチと、珍しいことにもう教室にいてナチと同じくアメリカを睨むイタ王と、席について困惑した顔でアメリカをちら見する日帝がいた。
ナチ「貴様ァ……昨日のはどういうことだぁ?
日中はえらく日帝に何かしようとして……挙げ句俺等がいなかった下校中に日帝をストーカーしていただと?」ゴゴゴゴゴ
イタ王「何のつもりなのか吐いて(教えて)くれるよねェ?」(^^)ゴゴゴゴゴ
普段は口数の少ないナチがスラスラと言を発し、よく喋るイタ王が逆にあまり長く喋らないのが余計に怖い。
日帝は変わらず2人の後ろで席に着いたまま困惑している。
アメリカ「ぁ、あの……そのことで日帝……さんに言いたいことがありまして………」
日帝「………?」
ナチ「まずは俺らが聞こう」
アメリカ「いえその先日のことはちょっとした誤解でしてその……」
イタ王「ハッキリ喋れ」
アメリカ「ストーカーじみたことをしてしまい申し訳ございませんでした」m(__)m
日帝「………ぁ、あの……それは、どうして俺のことをつけていたのかの理由を教えてもらえないか?」
アメリカ「えっと実は……かくかくしかじかというわけでして……それでこれをきっかけに折角ですから少しでもお近づきになれたらなと……」
日帝「あぁ……成る程、確かにうちの会社は最近そちらの会社と契約したが………」
イタ王「どうする日帝?コイツ普通に危ない感じもするし、よく色んなやつと話しているし口も軽そうだし 」
アメリカ「え?話す?」
ナチ「お前が気にすることじゃない」
日帝「……………いい、どのみちこいつと交流するのは時間の問題だろうし……
ただ………アメリカには約束してほしいことがあるんだ……」
アメリカ「なんだ?」
日帝「その………今までの俺の行動からしても目立たないように過ごしているのは気づいていると思うんだ。
俺もそれはわざとやっていて、俺は注目されたりするのが苦手なんだ。
お前と関わるようになると周りは俺にも注目するだろうから、このことは周りには言わないでほしいし、周りに人が居る時もあまり俺に接触しようとしないでほしい」
ナチ「もし何かあればなるべく俺らを通してからにしろ」
アメリカ「わかった」
日帝「ありがとう……」
あれから数日、アメリカは今まで通りに過ごしていた。
そういえば撮ってしまったあの写真はどうしようかと思っていた。
あれからアメリカはスマホにあの写真を残したままにしていた。
今日は休日なので、サングラスをかけたりして変装をしたアメリカは町中を何となく歩いていた。
すると人混みの中にロリータ服姿の人物がいた。
前にもちょくちょく見かけたが、可愛いと思う以外には今まで特に気にせず過ごしていた。
薄い黄色で先が少しクルリと巻かれた金髪に、ある日はフリフリのドレス、ある日は可愛いリボンが沢山あしらわれたワンピース、ある日は花柄がチャームポイントのエプロンドレスを、その他にも色々なロリータ服を着こなしているのをこの辺りでよく見かけている。
そのロリータ服のヒトとアメリカがすれ違った時、アメリカは少しドキッとした。
珍しく近距離ですれ違ったからか、その人物の顔がよく見えたのだが………
その人物は、日帝とよく似た顔をしていた。
振り返ったアメリカはそのヒトを少しおいかけて着いていった。
そのヒトは手に、最近人気なカフェの薔薇柄のケーキボックスを持っていた。
アメリカ(………っていけねぇ❗これじゃまたストーカー扱いだッ❗)
アメリカは日帝らしき人物をおいかけると、肩をポンポンと叩いた。
相手は無言で振り返るとぎょっとした。
日帝「?……っ!?!?」
アメリカ「あ、やっぱり(小声)」
日帝「ぁ、ぁ………そ、の……(小声)」カタカタ
日帝もアメリカに気づくと、青い顔をして震えだした。
アメリカ「!?ちょ、どっどうした!?(小声)」
日帝「その……こっ、これ……このとはっ(小声)」カタカタ
アメリカ「あ、あぁ、このことは誰にも言わないつもりだ。安心しろ(小声)」
日帝「……………………ッ」カタカタ
アメリカ「ほ、本当だ❗だからそんなに震えないでくれ(汗)
……ご、ごめんな?オレ思わず声かけちゃって。
ば、場所変えるか? (小声)」
日帝「……………」コクッ
🏫つづく