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授賞式から数日後の夜。
天羽そなのインスタライブが始まると、通知を受け取ったファンの視聴者数は一気に跳ね上がった。
「こんばんは〜」
少し緊張した声で挨拶するそな。最初は日常の軽い話をしようとするが、コメント欄はあの“AirDrop”の話題で埋め尽くされていた。
「AirDropって何送ったの?」
「例のやつ説明して」
「写真?動画?」
視線を画面に落とし、そなは一瞬迷う。
コメントを無視することもできたが、ファンの不安を消すため、決心する。
「…あの、授賞式の件で、たくさん心配かけちゃって、ごめんなさい」
「コメントでも多いんですけど、AirDropで何を送ったのかっていうこと…」
スマホを手に取り、画面をカメラに向ける。
「これです」
映し出されたのは、隣に座ったジョンウォンと笑いながら撮った短い動画。
肩が触れそうな距離で、軽くチャレンジをして笑い合っただけの、ほんの数秒の瞬間。
連絡先の交換や継続的なやり取りは何もなかった。
「本当に、これだけで…その場で共有しただけで、他には何もありません」
コメント欄は一瞬止まったが、すぐに温かい声が流れ込む。
「普通に可愛い」
「安心した」
「勇気出して見せてくれてありがとう」
しかし、言葉を選びながら話すうちに、そなの感情は溢れそうになる。
「……ごめんね、なんか…」
目元がじわっと赤くなる。
「ほんとに、大したことじゃないのに…」
「こうなっちゃって…怖かったです、正直」
コメント欄もその涙目を見て、優しい言葉で埋まる。
「泣かないで」
「大丈夫だよ」
「ちゃんと伝わってる」
そなは小さく頷き、深呼吸をする。
「でも、ちゃんと見せられてよかったです」
涙目のまま精一杯の笑顔を見せるそな。
その表情は、数秒の動画よりもずっと、ファンの心に強く残った。
数時間後。
ジョンウォンもWeverseでライブを始める。
「みんな、今日はちょっと話したいことがあります」
少し緊張した声で、コメント欄の熱気を受け止める。
「AirDropって本当?」
「例の授賞式のやつ見せて!」
ジョンウォンは手元のスマホをカメラに向ける。
「はい、あの授賞式の件ですけど…実はこういうことでした」
画面に映ったのは、天羽そなとの短い動画。
笑いながら軽くチャレンジしているほんの数秒の瞬間。
肩が触れそうな距離で遊んだだけで、連絡先交換や継続的なやり取りは一切なし。
「見ても分かると思いますが、これはただのその場のノリです」
コメント欄には安心と喜びの声があふれる。
「安心した」
「普通に可愛いじゃん」
「そなちゃんもジョンウォンもちゃんとしてる」
ジョンウォンも少し表情を曇らせる。
「正直、最初は誤解されるかもって思って怖かったです」
だが、コメントを読みながら笑顔を浮かべる。
「でも、こうやって直接見せられてよかった」
「みんなも安心してくれたら嬉しいです」
ライブ越しの短い時間だったが、ジョンウォンの誠実さは伝わり、コメント欄は温かい言葉で埋まった。
「勇気出してくれてありがとう」
「本当に問題ないのが分かった」
「笑顔でいてくれるだけで嬉しい」
ライブを締めくくる時、ジョンウォンも深呼吸をし、少し大きく笑顔を見せた。
そなも、ジョンウォンも、
短い動画を共有したその瞬間以上に、ファンの心に安心と温かさを残すことができたのだった。
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