テラーノベル
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はっと目が覚めた。
見覚えのない天井が視界に広がる。
身体を起こそうと手をつくと柔らかくふかふかした感触。
「…ここは、どこだ、?」
ここが病院であることを理解するのに時間を要したが、なぜ?
あれ?確か、新しい事件が起こって、…それで?
状況を飲み込めない樹が頭を抱えていると横からよく聞く声が飛んできた。
「おはよう西ヶ谷君、大丈夫?」
そこには椅子に座る東屋と刑事が居た。
「東屋さん…なんで僕はここに?」
「ごめんね西ヶ谷君。私がここ数日事件捜査で連れ回っちゃったから、疲れちゃったのかな?昨日急に倒れちゃってたけど。」
「お前大丈夫か?思いっきりコンクリートに頭打ってたぞ。」
確かに昨日の被害者情報からあとの出来事がすっぽり記憶から抜け落ちていた。
疲労で倒れることなど人生で初めてだった。だからこそ不思議な感覚である。
「いや、僕の体調管理のせいです。こちらこそ申し訳ない。」
するとふと違和感を覚えた。
「…やけに明るいですね。」
「そりゃ朝だからね。今日は27日の木曜日だよ。」
「え。」
丸一日寝ていたとは、当前のことだがその間のことは記憶にないからどうも信じ難い。
が、頭上にある時計は確かに午前7時を指していた。信じる他ないだろう。
「…一日ここにいてくれてたんですか?」
ふと思いついて聞くと
「うんそうだよ?さすがに一人しかいない会員が倒れたとなっちゃね。」
と返ってきた。
自分のために付き添ってくれていた東屋には感謝しているが…
「あ、学校は…」
すると刑事が答える。
「欠席連絡を入れといた。頭に包帯巻いた日に学校行こうとするな。」
「そしたら昨日お前が倒れた後に分かったことも含めて事件全体をまとめるぞ。」
1つ、多種の殺害方法で短時間に5名死者が出ていること。
2つ、いずれも成功して富豪になっていること。
3つ、犯人は同一犯という見込みであること。
4つ、お金は全く抜き取られていないこと。
「どうだ陽。」
「さすがにこれだけじゃわかることないね。お金が目的っていうなら腑に落ちるんだけど。」
「…革命。」
気づいたら口からこぼれ落ちていた言葉。
2人がキョトンとした顔でこちらを見た。
「あっ、いや。なんか貴族が殺されててお金が目的じゃないって中世の革命みたいだなんて思って。」と慌てて説明すると2人はなるほどと言う。
「革命か…お前なかなか良い例えするじゃねえか。」
思ったよりも評判が良かったため少し照れていると刑事は驚くべき発言をした。
「よし、今回の事件は革命事変と名付けよう。事件捜査官にもそう伝えとくぞ。」
「いやいや待ってくださいよ!?そんな軽い決め方で!?」
「良かったじゃない西ヶ谷君!5人も死んだんだからニュースでその名前流れるかもよ!」
「不謹慎!」
さっきまで静かだった病室は活気を取り戻した。
当然これだけ騒いでいたら看護師も黙っているはずなく、樹の様態が安全と確認されるやすぐに病院から追い出された。
病院の入り口。
「取り敢えず今日はお前らは現場に来るなよ。」
思いがけない言葉が突然刑事から飛んできた。
「え?なんでなんで。私が居なきゃ解けないでしょ。」
「そうじゃなくて西ヶ谷の体調心配しろよ。さっきまで気絶してたんだぞ?見るやつが居ないから陽がしばらく付き添ってやれ。俺は捜査行かなきゃなんねえからな。」
申し訳なかった。
自分のせいで事件捜査が遅れてしまったこと。
それも居てもなんの役にも立たない「モブ」のせいで。
その間にも犯人は逃げの準備を整えているかもしれない。
下町で起こった殺人事件の時も僕はずっと棒立ちだった。
何か役に立った試しがあっただろうか。
人を救えた試しがあっただろうか。
僕は探偵同好会にいる意味があるのだろうか。
東屋さんと、そのお姉さんが作った大事な居場所を汚しているんじゃないか。
「さ、ケチな刑事さんもこう言ってるし帰ろっか。」
「誰のことだてめえ…。」
Y字路で刑事と別れるその時。
「あの、すみません!」
後ろから突然声が響いた。
「おお、どうした木村。」
そこにいたのは事件の現場にいた捜査官だった。
「刑事、事件の被害者について調べていたら気になることがあって。」
「なんだ。言ってみろ。」
「はい、被害者は共通して何らかの理由で過去に『干されている』んです。」
「…ほぉ?詳しく聞かせろ。」
情報の糸は複雑に交差し、今、絡み合った。
#ミステリ
楽観的な脳みそ
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コメント
3件
中世の革命、なんか関係がありそうですね。 陽さん不謹慎なこと言わないでくださいw
ああ、面白かったです。樹くんが「革命」ってぽろっと言っちゃうところ、自然な発言なのに事件の核心を突いてる感じがしてゾクッとしましたね。それにあの刑事さんが即座に命名しちゃうテンポの良さ、会話のやりとりが軽快で読んでて気持ち良かったです。「モブ」って自分を卑下する樹くんの内面も気になるし、最後の「干されている」って新情報が来たところで終わるから、続きがすごく気になります。小間結びってタイトルも、まだ結び目がほどけてない感じがして良いですね。