テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
119
257
157
「…干されてる?」
「はい、城川令嬢も過去に文夏砲を喰らっていたらしく、」
週刊文夏という雑誌。いわゆるスキャンダルを狙う記事が有名である。
その名前と突然前置き一つなくぶっ放される情報から通称「文夏砲」と呼ばれている。
この雑誌は数多の有名人の地位を奪っているがため、最も恐れられているものだが…
「城川さんは何の内容で干されたんだ?」
「はい、正確にはお父様、城川誠さんが炎上したらしく。どうも脱税をしていたらしくて、それが報道されるやすぐに有名だった城川グループは廃れていったそうです。」
「なるほど、捕まっちゃったりしたの?」と東屋が割り込んだ。
「いえ、調べた限りそのような情報は一切なく。お金で何とかしたんでしょう。」
「わかった、取り敢えず現場にまた向かうことにしよう。」
刑事は軽く別れを告げると捜査官を連れて現場に行った。
時間は10時頃。
まずは家に変えるのが優先だ。
これ以上彼女の手を煩わすわけにはいかない。
「西ヶ谷君はどう思う?」
突然かけられた東屋の声に驚いた樹は「何がですか」と聞き返した。
「犯人の目的。お金じゃないならなんだろうって。」
「共通点があるんだったら誰でもよかったわけではないでしょう。となると怨恨じゃないですかね?」
「そりゃそうだよね。現場検証してるけど今のところは何も見つかりそうにないってさ。」
事件の証拠が見つかるまでは名探偵であろうとも動きようがない。
彼女は鑑識ではないのだから。
世間話をしながら歩くとあっという間に家についた。
まだ短い付き合いながらも話してて嫌さがない。相手が恐ろしいほどに空気を読めないからこそ、こちら側も話すのが楽である。
部屋に入りお茶を出して向かい合った。
「さあ、今日は自粛命令出されちゃったけどどうする?」
「…すみません。」
「ん??」
「僕のせいで、」
涙がぽつりと落ちた。
「え!?ど、どうした!?まだ体調悪かった?」
「そうじゃなくて、いても何の役に立たない人間のせいで…東屋さんにも、刑事さんにも迷惑かけちゃってるから…。本当にすみません。」
自分でも信じられないくらいに全て言ってしまった。
悪い空気が身体からごっそり抜けていくような気がした。
放火事件からずっとしまい込んでいた涙は止まることを知らない。
それを東屋はずっと見ていた。
ずっと向かい合いながら声をかけることもなく。
泣き疲れてしまったのだろう。
樹は眠ってしまっていた。
東屋は近くにあった毛布をかけると西ヶ谷宅を出た。
事件に向かわなければいけない。
あの日西ヶ谷君が倒れた時泣きついて事件捜査を止め、救急搬送を頼んだのは私だ。
迷惑をかけたのは私もだ。だからこそ私が解くんだ。
解かなきゃいけない。
コメント
1件
第9話読み終えたよ…。樹くんが「役に立たない」って自分を責めて泣くシーン、胸がぎゅーってなった。ずっと抱えてたものを吐き出せたのは良かったけど、東屋さんが何も言わずに見守ってたのも泣ける。東屋さんも自分のせいって思ってるんだよね…。お互いに責任感じてる2人が切ない。次の展開が気になる🌙