「俺は、柚葉1人だけを愛する自信がある。柊が、本当に柚葉を好きなら……頼む、見守ってやってくれ。この先、俺が絶対に柚葉を守るから」
樹……
「……そうだね。柚葉を……幸せにしてあげて。柚葉、樹はいいやつだよ。いっぱい幸せにしてもらうといいよ。じゃあね、本当に、さよなら」
柊君は、そう言ってリビングを出ていった。
肩を落とす柊君の後ろ姿が、とても切なく見えて、すごくつらかった。
さよなら、私の大好きだった人……
ありがとう……
「下まで送ってくる」
樹は、柊君を見送りに後を追いかけた。
そして、20分くらい経った頃、部屋に戻ってきた。
「大丈夫?」
「ああ。柊はもう大丈夫だ。俺が話したせいで柊を混乱させてしまった。それは申し訳ないと思うけど、やっぱり俺達が柊の近くにいることは、柊にとって良くないことなんだ」
「……うん、そうだね。でも、樹は、毎日柊君と一緒だもんね」
「ああ、だから今、柊に言った。ISを辞めるって」
「え!? どうして? そんなことしたら……」
「柊には、柊の人生がある。あいつの人生には、俺がいたらダメなんだ。柚葉と一緒にいる俺を間近で見るのはキツいだろう。もし逆だったら、やっぱりつらい。本当なら、俺がそうなるはずだったから……わかるんだ」
「え……」
「もし柚葉と柊が結婚したら、俺は何も言わずずっと2人を見てただろう。でも、それは相当キツイはずだ。そんなこと、今の柊には耐えられないだろう」
樹さんの言葉に、すごく重みを感じた。
「それに、柊がもしまた柚葉に近づいたら……。柚葉は柊に戻ってしまうんじゃないかって……そんな不安も、正直あるんだ。情けないけど」
樹……
私が柊君に戻るなんて絶対無いのに。
でもそれくらい、私を想ってくれてることが嬉しい。
私、やっぱり樹が好き。
今、たまらなく樹の側にいたいって思える。
こんな気持ちになるなんて、出会った頃は全く想像もしてなかったのに……
あの最悪な出会いが、今は真逆の感情に変わっている。
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