テラーノベル
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ドタバタはあったものの、勉強会の成果もあって定期考査は無事終了した。
生徒会メンバーも全員、赤点を回避。
(よかったぁ……!)
私は心の底から安堵の息を吐いた。
(赤点を取ると、ペナルティとして攻略対象との交流時間が減るんだよね。しかも好感度まで下がる仕様だったし……)
自分で作ったシステムを思い出し、じわりと冷や汗が滲む。
(危ない危ない……!)
もしここで誰かが赤点を取っていたら、大切なイベントが消えていたかもしれない。
それだけは絶対に避けたかった。
さて、今日は学園が設けた部活動の活動休息日。
もちろん生徒会の活動もない。
(今日は絢とお買い物イベントの日!!)
以前交わした約束を果たすため、私は街へと繰り出していた。
待ち合わせ時間より少し早めについた私は、ドキドキと絢を待つ。
すると、絢は時間ぴったりに待ち合わせ場所に現れた。
普段は制服をきっちりと着こなしている彼が、今日は柔らかな色合いのニットに細身のパンツという、シンプルだけど彼らしい私服姿だった。
さらりと風に揺れる髪、整った横顔、落ち着いた物腰。
街を行き交う人たちが、男女問わず思わず振り返るのも無理はない。
(絢の私服イベント!! 公式イラストで何百回も見たけど尊い~~!!)
脳内の限界オタクが盛大に絶叫する。
「お待たせしました。」
穏やかな声に、私ははっと我に返る。
「……玲?」
不思議そうに首を傾げた絢が、こちらを覗き込んだ。
「どうかしましたか?」
「あっ、ご、ごめん。」
思わず視線を逸らす。
「ちょっと……見惚れてた。」
「……え?」
絢が一瞬だけ目を見開いた。
そして、ほんの少しだけ目を細めて微笑む。
「ふふ、それは光栄ですね。」
その柔らかな笑みに、今度は私の方が照れてしまう。
(人気投票常連キャラ、恐るべし!)
最初に訪れたのは、可愛らしい雑貨店だった。
店内には色とりどりの小物やアクセサリー、ぬいぐるみが並んでいる。
「わぁ……!」
思わず声が漏れた。
猫のキーホルダー、花柄の小物入れ、可愛らしいマグカップ――。
どれもこれも魅力的で、自然と頬が緩む。
(こういうお店、最近ゆっくり見て回ることできなかったもんなぁ……)
「玲は、こういうものがお好きなんですね?」
「好き! 大好き!」
即答だった。
棚から棚へ移動しながら、私は目を輝かせる。
夢中になってはしゃぐ私を見つめながら、絢はどこか満足そうに微笑んだ。
周囲では、女性客たちのひそひそ話が聞こえてくる。
「見て、あの二人……」
「モデルさんかな?」
「すごく絵になる……」
「恋人同士かな?」
ほう、と感嘆のため息が店内を満たしていた。
買い物を終えたあと、私たちは近くのカフェへ立ち寄った。
注文を済ませた私は席を立つ。
「ちょっとトイレ行ってくるね。」
#乙女ゲーム
結愛
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「ええ。ごゆっくり。」
微笑む絢に手を振り、席を離れる。
(男の子の体でのトイレって、未だに慣れないんだよね……)
転生して数か月。
だいぶ順応したつもりだったが、こういう時だけは未だに戸惑ってしまう。
(そのうち慣れるのかなぁ……。)
用を済ませ、席へ戻ろうとした――その時。
「ねぇ君、一人?」
「良かったら俺たちと遊ばない?」
知らない男たちの声に視線を向けると、数人の若い男性に囲まれている絢の姿が見えた。
「…………。」
困ったように微笑んでいる。
けれど、その瞳は全く笑っていなかった。
(うわっ!? ナンパ!?)
気づいた瞬間、体が勝手に動いていた。
「――俺の連れに、何か用かな?」
絢の前へ立ちはだかる。
生徒会長として培った、完璧な営業スマイル。
「あ?」
「連れ?」
「ああ。」
私は微笑んだ。
「大事な連れなんだ。」
男たちは顔を見合わせる。
そして、私と絢を交互に見比べた。
「なんだよ。連れいるなら先に言えよ。」
「行こうぜ。」
面倒事だと判断したのだろう。
男たちは舌打ちしながら、その場を去っていった。
「……っ」
姿が見えなくなった瞬間。
(こ、怖かったぁぁぁ……!!)
一気に力が抜けた。
心臓がうるさい。
手も少し震えている。
「玲。」
ふわり。温かな感触が指先に触れた。
「……絢?」
いつの間にか、絢が私の手を包み込んでいた。
「ありがとう。」
優しい声。
「無理をさせてしまいましたね。」
「え?」
「本当は、怖かったのでしょう?」
「…………。」
見透かされていた。
「最近のあなたは、なんだか目が離せません。」
静かな声。けれど――
真っ直ぐに向けられた瞳には、強い熱が宿っていた。
「あなたに何かあれば――」
包み込む手に、わずかに力がこもる。
「今度は、僕があなたを守ります。」
深窓の令嬢のような美しい容姿に、穏やかな微笑み。
けれどその眼差しだけは、誰よりも強く真っ直ぐだった。
その日の帰り道――
「あ、そうだ。」
絢は思い出したように紙袋を差し出した。
「これ、どうぞ。」
「え?」
中を覗いた私は、思わず目を見開いた。
「これ……!」
猫のキーホルダー。
雑貨屋で私が可愛いと言っていたものだった。
「売り切れてたやつじゃ……!?」
「玲が別の棚を見ている間に見つけたので。」
「絢ぁぁぁ!!」
感動のあまり抱きつきそうになる。
(絢………優しい……!! 好き……!! ……いや、違う違う違う!!)
ぶんぶんと首を振る。
(私はプレイヤー側!! 攻略する側!! される側じゃない!! 断じてない!!)
胸キュンイベントの連続に、危うく攻略されかけた自分を全力で引き戻す。
「ありがとう! 大切にするね!」
「喜んでもらえて良かったです。」
穏やかな声音。
けれど、その眼差しはどこか熱を帯びていた。
もちろん、そんな熱い視線には全く気づかず、満足げに頷く私。
(よーし! 絢ルートも解放できたし、順調順調!!)
一方、絢は静かに微笑んでいた。
その瞳に宿る想いを、誰にも悟らせないまま――。
嬉しそうに猫のキーホルダーを眺める玲の横顔を、愛おしそうに見つめていた。
コメント
3件
きゃーヤバい…尊っ!神、神神神神神神💘天才。尊すぎて死ぬ👼
絢ルートきたーー!!😭💕 私服イベントで雑貨屋デートとか尊すぎる…! 玲が「攻略する側!!」って自分に言い聞かせてるけど、もう完全に絢の優しさにやられてるじゃん(笑) ナンパ追い払った後の「今度は僕があなたを守ります」って台詞、マジ持ってかれた…キーホルダーのサプライズもズルいよ絢…! 次回も楽しみにしてるね!🌸