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「ち、ちなみにどんな絡みされられたの? すっごい気になる!」
「言うわけないだろ! それがバレたく無くて美桜に言わなかったんだから!」
「えぇ〜いいじゃんよっ! 教えて!」
「絶対に教えない」
「ちょっとでいいからっ」
「ちょっとも、少しも教えないからな?」
「ちぇっ、じゃあ玄関で抱き寄せられてたのもお姉さんの指示だったのかな?」
「そうだよ、あれには驚いた。アパートの外はやめてくれって叫びたくなったよ」
あの驚いた表情はそう言う事だったのか! と納得できた。
「……でも、この一週間美桜の事全然構ってやれなくてごめんな。寂しい思いさせてたよな」
私の頭を撫でる温かな掌。この掌が大好きだ。
「ううん、そりゃ大切なお姉さんの頼みだもん。断れる訳がないよ。でもやっぱり嘘つかないで教えて欲しかったな、っても私も最初から嘘ついてたんだけどね」
「今回はおあいこって事で!」
いつもの優しい表情に戻った隆ちゃんは私をギュッと抱き寄せて少し苦しいくらいに抱きしめた。
「これからはもっとお互い素直に言い合おう。それがちょっと言いづらい事とかだったらメールとかでもいい。言わないで隠すと今回みたいなすれ違いが起きるかもしれないから……俺は美桜が腐女子だろうが何だろうが、美桜は美桜で好きなのに変わりはないよ。それに美桜にまた悲しい思いなんてさせたくないからさ。本当にごめんな。これからは俺の目の前でも堂々とBLでもなんでも読んで良いからな」
涙ってのは流しても流してもなかなか枯れる事がないのか、今度は悲しい涙ではなく、嬉しい涙が頬をつたる。彼はいつだって私を大切にしてくれ、私の欲しい言葉をくれる。それなのに少しでも不安に思った自分を懲らしめてやりたい。
「うぅ……好き。隆ちゃん好き。大好き。」
「俺も、どんな美桜も好きだよ。BLが好きな腐女子の美桜も、鈍臭い美桜も、小動物みたいな美桜も、エロい美桜も全部好き」
「ちょっと待って? 鈍臭いのは確かに認めるけど、え、エロいって何っ!」
「だって美桜エロいだろ、俺いつも耐えるのに必死だよ」
「んなっ……」
涙が引っ込み、そのかわり恥ずかしさで顔がみるみる赤くなるのが分かる。え、エロいって……無意識無自覚恐ろしい。
「美桜、好きだよ」
私の大好きな低くて優しい声。お互い疲れ切ってボロボロの顔を見合わせ、吸い寄せられるように軽いキスをした。
その日は興奮状態で、ベッドに入ってもBLについての語りと、私の推しの高森亜也先生(隆ちゃんのお姉さん)の漫画の素敵なシーンについての喋りが止まらない私の話を「うんうん」と相槌を打ちながら彼はいつの間にか穏やかな顔で眠りについていた。
次の日から私の部屋の棚には綺麗にBL漫画が並んだ事は言うまでも無い。