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モラクスは、子供用のスプーンを片手に、食後のデザートを食べるアヤックスを眺めていた。
デザートの半分くらいを食べ終えた頃に,目の前にある扉からノックとともに、おんなのひとのこえがした。
「帝君。失礼します」
そう言って入ってきたのは、水色の髪に角が特徴的な少女だった。
「甘雨か、そろそろか」
丁度デザートを食べ終えたアヤックスの頭を撫で、自分の膝から下ろした。そして、アヤックスと同じ目線までしゃがみ込んだ。
「俺はこの後少し仕事がある。しばらくの間は、俺の知り合いのところに居てもらうことになるが良い子にしているんだぞ」
アヤックスは小さく頷き、甘雨の手を取った。
それから長い道や高い山をしばらく歩き、頂上についた。ヘトヘトになり、息を切らしていたアヤックスは、その場にしゃがみ込んでしまいそうだった。そんなアヤックスを出迎える様に一瞬強い風が吹き、目の前には美しい鶴がいた。
「お待たせしました、留雲借風真君。」
と甘雨は一礼をし、それを真似てアヤックスも一礼をした。
「帝君から大方の話は聞いている。
つまりは、この童の世話をすれば良いのだな。」
「はい。突然の事で申し訳ありません。私は、まだ仕事が残っているので、失礼します。夕暮れ前には、お迎えにまいります。」
そう言い、甘雨はその場から立ち去った。
取り残されたアヤックスは、背を丸め小さくなっていた。
「童よ、」
急に話しかけられて、大きく飛び跳ねた。
「そう驚くな、この姿であれば良いか?」
また、少し強い風が吹くと、その風に対して目をつぶってしまう。風が落ち着き、目を開けるとそこには美しい女性がいた。