「古い文献通りね」
呉林が呟いた。
「これから、どうするんだ呉林?」
私は呉林とジュドルの間に割って入った。
「うーんと。カルダの木が私たちの仮説のウロボロスの大樹かも知れないわ……」
「ここで、少し休ましてもらってはどうじゃ。何か作戦が必要じゃし。この7人で戦っても勝ち目がないじゃろ。相手は大勢いる。まずは、この村で情報を集めよう。わしらの持っているのはみな仮説じゃ。この辺で確かなことを知った方がいい」
ディオは険しい顔でみんなに言う。
「そうしよっか。私はお風呂に入りたいわ。森を抜けたから枝や草木で、すごく服が汚れちゃったわ」
…………
二グレド族の村で、呉林姉妹と安浦はお風呂が無いことに怒りだした。
「近くの川で洗うのです」
ジュドルは平静と言う。
7人は長老らしい老人のコニーデのような使い古した天幕で休ませてもらった。
「夢の旅人よ。よく来なさった。わしはあなた方のような方が来るのを待っていました」
長老は禿頭で、渋柿のような皺くちゃの顔だった。
疲れ切った顔だったが、表情に明るさがほんのりと芽生える。
長老は私たちを火のあるところへと囲むように座らせ、みんなに挨拶と、貴重な果実酒と果物、そして猛獣の肉を御馳走してくれた。
その長老の隣に座っている男は、シャーマンらしい服装の、痩せ型で神経質そうな顔をしている少年だ。
少年が微笑んで、
「よくご無事で。私は二グレド族の巫女。バリエ」
「男なのに巫女なのですか?」
渡部は腰をおろして、首を傾げている。
「ええ。私はこの村で唯一の武器を持たない男」
バリエは頭を下げる。ここ南米でも頭を下げる風習があるようだ。
呉林は細い体のバリエを見つめて、
「私と姉さんの不思議な力のようなものをこの人も持っているのかしら……?」
しばらく、バリエを見ていた。
呉林は長老へと視線を向け、
「で、長老。カルダってどんな人なの。出来るだけ詳しく教えてほしいわ。私たちははそれを何とかしないといけなくてここまで来たのよ」
呉林は早速、本題に入る。私たちも緊張のために青い顔で身構える。
長老は敬語を使わない呉林を気にせずに、