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#長編
結愛
329
#地雷系
#夏休み
トド村
44
「でもミィちゃん、肉じゃがって味付けが難しいよね。もっと手間がかからない料理でも良かったのに――例えばカレーとか。」
「……カレー…………。」
ミィは突然目を伏せて、全てを諦めたかのように遠くを見つめてつぶやく。
「カレーは……もう飽きた……よく行くネカフェでカレーが食べ放題なの。初めの頃は私だって『カレーを毎日食べられるなんて最高じゃん!』って思っていたわよ。でも、1週間……2週間……と続いていくと……もう、カレーの香りを嗅ぐのも嫌になってきて……。」
ミィはどんどんとヒートアップをしていく。
「もう、カレーなんて嫌! ネカフェ以外のカレーを食べても、やっぱりカレーなのよ! カレーはカレーなの! もう、しばらくはカレーなんて食べたくない!!! インドカレーもお家カレーもカレーはカレーなの!!!!!」
ちょ……そんなに飽きるほどカレーを食べるくらいなら、別のお店に行けば良いだろう……などと考えたが、今のミィに言っても意味はないだろう。
「ご……ごめん。無神経なことを言って……。ちょうど、ミィちゃんがカレーに飽きていたから、こんなに美味しい肉じゃがを食べることができるんだもんね。感謝するよ。」
半泣きで訴えるミィの頭を撫でながら言うと、ミィは鍋の中の肉じゃがを味見をする。
「やっぱり、日本人はこの味付けよね。肉じゃがなら、毎日だって食べられるわ。」
こいつ今度は肉じゃがばっかり食べ続けて、日本的な味付けの料理全てに飽きた……なんてことにならないよな……。ミィは2つの皿に完成した肉じゃがを盛り付けた。俺はそのミィの姿を見て即席の味噌汁にお湯を注ぎ、炊飯器を開けてそれぞれの茶碗にご飯をよそう。元カノや博己が来た時用に、皿や茶碗、箸などを2セットずつ準備しておいて良かった。
ミィはテーブルにお皿や箸を2セットずつ並べ、エプロンを脱いでテーブルの前のソファーに座る。俺もお茶碗をテーブルに並べてミィの隣に腰かけた。
2人で手を合わせて「頂きます。」と言ってから肉じゃがを食べる。味見した時よりも食材に味が浸み込んでいて、より美味しい。ご飯によく合う味付けだ。ミィも満足なようで、顔を蕩かせながら「ん~♡」と唸り、「私って天才かも!」なんて言いながら肉じゃがとご飯、そして味噌汁を巡回している。
美味しそうに食べるミィの姿を見てふと思った。ミィはごく自然にお皿を並べ、俺もごく自然にミィと並んで食事を始めたが、この数日でミィと一緒にご飯を食べることに慣れてしまった気がする……。俺の視線に気が付いたミィが眉を潜める。
「もしかして、肉じゃが嫌いだった?」
「いやそんなことはないよ。むしろ好き。ただ『ミィちゃんは美味しそうにご飯を食べるな~』って思っただけかな。」
ミィは顔を赤くしながら頬を膨らませる。
「私の事、食いしん坊だと思ったんでしょ。私、食べても太らないタイプだから大丈夫だもん。」
言われてみると、確かにミィは沢山ご飯を食べる方だ。今食べているご飯の量も俺と同じくらいだし、この前食べたハンバーガーもジュニアサイズではなく、男性でも大満足と言われている通常サイズをペロリと平らげていた。
「小食な女の子よりも、沢山食べる子の方が気楽だよ。」
ミィは顔を赤くしてチマチマとご飯を食べた。そんなミィの姿を見ていると「時々ならミィと食卓を囲むのも悪くはないか……。」という気分になる。因みに、結局ミィは、俺と同じ量のご飯を同じくらいのタイミングで食べ終わった。
◆◆◆◆
ミィは結局この日も俺の家に泊まった。朝起きてから、俺が朝食をスムージーで済ますとミィは不満そうな顔をしながらも俺の事を送り出してくれた。
「ミィちゃん、鍵の事は保留にするけれど、家を出るときに鍵をかけ忘れないでくれよ! あと、俺が帰るまでには自分の家に帰るんだぞ!」
「鍵はかけるわよ。安心して頂戴。それに、今日はお給仕があるんだから、夕方には出て行くわ。」
”帰る”では無く”出て行く”か……つまり、家に帰るつもりはない……と……。俺はミィに釘をさす。
「”時々”だからな! 時々なら来ても良いけれど、毎日は勘弁してくれよ。」
「私だって暇じゃないわよ。通い妻じゃないんだし、毎日来てあげるわけないじゃない。」
ミィはヘラヘラと笑いながら話す……。こいつ分かっているのか? 不安な気持ちを抱きつつ会社へと向かった。会社へと着くなり先に出社している樋口さんが、相変わらずポヤポヤとした舌足らずなしゃべり方で話す。
「今日も人間の目をしていますね~夏目さん。2日連続とは……もしかして、彼女でもできたんですか? それとも、あの可愛い男の子のお友達とついに結ばれたんですか?」
以前、樋口さんに博己の写真を見せたことがあるのだが、それから樋口さんの中では”博己×俺”のカップリングが出来ているようなのだ。決して”俺×博己”ではなく”博己×俺”らしい。彼女は「夏目さんは他の人を振り回すより、他の人に振り回されるのが似合っていますよ~。」と言っていた……。
「博己とは、本当にただの友人です。」
「この会社はLGBTに寛容なので、恥ずかしがることはありません。でも、これ以上言うと”何とかハラ”で訴えられかねないので我慢します。」
樋口さんもハラスメントを気にするのか……樋口さんはしゃべり方と見た目で許されているが、話の内容だけを聞くと意外とデリカシーの無い……何というか、令和の時代にそぐわない事を言ったりするタイプだから意外だった……。
「私もたまには配慮をするのです!」
まるで俺の脳内を読み取ったのかと思うような言動に、一瞬ピクリと反応をすると樋口さんはまるで「私だって出来るんだぞ。」とでも言いたげに、テストで満点を取った小学生のような笑顔を浮かべていた。
コメント
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第18話読んだよ〜!😭💕 ミィちゃんのカレー絶叫マジで笑ったww「カレーはカレーなの!!!!」って、どんだけ飽きてたんだよ…でもその後の肉じゃがの「ん〜♡」で全部チャラになる可愛さずるくない?!🥺💖 主人公との距離もじわじわ縮まってて、食卓囲む日常が染みる…「時々なら」って言いながらもミィちゃんの食べる姿見てる時の主人公の眼差し優しすぎて悶えたわ!樋口さんの博己×俺カプ推しにも草ww 次はどんな飯テロ回が来るのか楽しみすぎる〜!!また読みに来るね⋆♡