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#長編
結愛
329
#地雷系
#夏休み
トド村
44
◆◆◆◆
その後、木曜日、家に帰るとミィは当然のごとく家にいた。この日は回鍋肉を作って待っており一緒に食卓を囲んだ。
金曜日は「お給仕があるため一旦帰る。」とのことであり、家に帰ってもミィはいなかった。しかし深夜1:00過ぎ――歯を磨き寝る準備をしていると、おもむろに家の扉が開きミィが入ってきた。
「ただいま~。」
お前の家じゃねえから……。そう思ったが、疲れているミィの顔を見ると「まあ良いか……。」と思いミィを招き入れる。
ミィは手洗いとうがいを済ませ、歯磨きをして化粧を落とした後、シャワーすら浴びずにパジャマに着替えて俺のベッドに潜り込んできた。まあ、パジャマと言っても俺の使っているTシャツなのだが……。
翌朝、目を覚ますとミィはシャワーを浴び終えたところだった。ミィは俺の家の衣服やタオルをしまっている場所を把握しているようで、Tシャツ姿のまま、勝手に俺のバスタオルで頭を拭きながら出てきた。
「おはよ~。今日は休みでしょ? 早起きなのね。」
「おはよう。朝から編集者さんに新作の構想についてメールを出そうと思ってね。ある程度、新作の構想が固まったんだ。もし編集者さんが土曜日でも仕事をしているのなら今日の内に返信が来ると思うし、もし土日休みでも、週明けの早い時間に連絡をもらえれば昼休み中に編集者さんの意見を見ることが出来るからね。」
ミィはニンマリと笑う。そして、ソファーに座る俺の後ろに回り、俺の両肩を揉み始めた。
「メールを送ったら今日は暇ってことだよね! じゃあ、今日は朝から買い物に行こうよ! せっかく早起きしたんだからさ~。」
「嫌だよ。このクリスマス前の街は人が多いだろ。そんなことをするくらいなら二度寝をするよ。」
今日はクリスマス前、最後の土曜日。巷ではカップルがデートに出かけ、夜はホテルか自宅でしっぽりと過ごす日なのだ。俺のように彼女もいない独身男は家でゆったりと過ごすべきだと世間が言っている。
「ふ~ん。つまり私と一緒に寝たいって事かしら? 『ミィちゃんの体温を感じながらミィちゃんの胸に抱かれて眠りたいです。』っていう事?」
「俺は、お前を午前中に追い出して、このベッドを独り占めして眠りたいって言っているの!」
「そんな――強がっちゃって♡」
ミィは憐れむような馬鹿にするような表情を浮かべながら、俺のベッドに寝そべる。
「ほら、来ていいよ♡ クリスマスも近いのに彼女もいなくて寂しいんだよね♡ もしかしたら、男女でクリスマス前にお買い物をするなんて、ラブコメのアイディアにつながるかもしれないのに、ユウト君は寂しさを紛らわせる方が重要なんだもんね♡ ミィちゃんは優しいから、可哀想なユウト君を慰めてあげまちゅよ♡」
相変わらずムカつく表情を浮かべながら、ベッドの上で手招きをする。童貞だった頃の俺でもお断りの表情と態度だ……。しかしミィの言う通り、クリスマス前に男女で出かけるシチュエーションはラブコメに使えるかもしれない。
俺は観念してミィの手を掴み立ち上がらせる。
「分かったよ……15:00頃までなら付き合ってやるよ。どこに行きたいんだ? メルラブの関係者にはバレない場所にしてくれよ……。」
ミィは満面の笑顔を浮かべ俺の手を両手で握る。
「さすがユウト君! えっと……私の行きたいところは……。」
◆◆◆◆
木造の丸テーブルの前にある、ソファー席に俺とミィが二人で並んで座っていると、注文をしたサンドイッチが届く。ミィはハムチーズサンド、俺は卵サンドを注文した。
二人ともモーニングセットを注文しているため、既にテーブルに置かれたコーヒーで口を潤わせる。コーヒーは熱々で香りが強く、コーヒーの甘みと苦みがしっかりと分かる。
二人で「頂きます。」と手を合わせ、俺は卵サンドにかぶりつく。パンはバゲットで堅めだが、中はモチモチとしており卵の甘味が引き立っていた。さすが「たった一杯で、幸せになるコーヒー屋」と言われるだけのことはある。コーヒーもサンドイッチもレベルが高い。
ここは吉祥寺――井之頭公園に近い有名なカフェ。時刻は午前10:00を回ったところ。今朝、編集者さんにメールを出した後、ミィに連れられて吉祥寺へとやって来た。ミィの話によると、
「吉祥寺は新宿と逆方向なので、メルラブのお客さんとエンカしにくい場所なんだ。」
とのことだ。まあ場所はどこであれ、これ程美味しい朝食を食べられるとは――朝から出かけた甲斐がある。これに関してはミィに感謝だ。
俺がサンドイッチにかぶりついていると、ミィの視線を感じる。どうやら俺の食べている卵サンドも味わってみたいようだ。
ミィの目の前に卵サンドを差し出すと、ミィは大きな口を開けてかぶりつき「美味し~♡」と唸った。そして、今度はミィが俺の前にハムチーズサンドを差し出す。ハムの厚さが市販の物とは比べ物にならないくらい分厚い。スパムサンドと勘違いをしそうだ。
ミィは自分が齧った部分を気にせず俺の前に出し「早く食べて。」と急かすように、手を少しだけ上下させる。まあ、ミィも俺も間接キスなんかを気にするようなタイプではないか……。そう思いながら、ハムチーズサンドにかぶりつく。肉厚なソーセージの触感とスモーキーな香りがたまらない。ミィは嬉しそうな表情を浮かべながら、
「ねえ、これめっちゃ美味しくない? 美味しいよね!」
と興奮気味に意見を求めてくる。
「めっちゃ美味い。」
ミィは勝ち誇ったように言う。
「私と一緒に出かけて良かったでしょ。」
何となく、心の中をミィに見透かされている気がして少しだけ悔しい思いを感じたが、美味しいコーヒーと一緒に飲み込んだ。
コメント
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うわっ、この2人、もう完全にデートじゃん……!ユウトくんが「付き合ってやる」って渋ってるフリしながら、結局ミィに合わせてるの、ツンデレ過ぎて笑った💙 でも卵サンドを差し出し合うシーン、めちゃくちゃ甘くて尊い……。間接キスなんて気にしない関係性、最高です。ミィの「私と出かけて良かったでしょ」に悔しがるユウトくん、もう認めちゃいなよ〜って思っちゃいました(*´ェ`*)