この作品はいかがでしたか?
537
この作品はいかがでしたか?
537
吸血鬼の世界線マッシュル
フィンと友達になってから数ヶ月。
森の中には教会ができ、
修道士は協会の中で生活するためマッシュは毎日のように教会へ出向いていた。
「やぁフィン君。こんにちは」
「こんにちはマッシュくん今日もシュークリーム食べる?」
「食べる」
2人の仲はとても深まっていた。
微笑ましい光景に
そこへ、ある人物がやってきた。
重い協会の扉を開けて入ってきたのは
フィンと同じ髪色をした、男だった。
「おい、フィン。修道士の仕事はどうだ」
「あ……兄様……!」
そう、この男はフィンの兄だった。
すると、その男はフィンの隣にいるマッシュに目を向けた。
「……誰だこいつは…っ!お前、吸血鬼か!」
マッシュが吸血鬼だと知った男は懐から杖を取り出し、マッシュの方へと向けた。
「待って!兄様!マッシュくんは僕の友達なんだ!」
フィンは急いで弁解すると、男の眉間に皺が刻まれた。
「友達だと…?吸血鬼とか?
お前……忘れたのか?俺たちの両親は吸血鬼に殺されたんだぞ?」
そういった男の顔は怒りに満ちていた。
「で、でも!マッシュくんは他の吸血鬼とはなんだか違くて…!」
「吸血鬼に違いもクソもあるか。見てろ、
フィン。これが吸血鬼の醜い姿だ」
男はそう言うと、自分の腕をナイフで傷つけ、マッシュの方へと向けた。
「ほら、お前の大好きな血だぞ」
男の腕からはダラダラと血が流れ、
吸血鬼を魅了する独特の匂いを発した。
だが、
「…何してるんですか?痛そうですけど…」
マッシュには効かなかった。
「……!?なんだと?お前は吸血鬼だよな?」
「はい、そうですけど」
動揺する男にマッシュは淡々と答えた。
「じゃあなぜお前は血が欲しくならない」
「え…説明しなきゃダメですか?」
マッシュはあからさまに面倒くさそうにした。
そこへフィンが口を挟んだ。
「実はマッシュくん人間とのハーフかなんかで、血を飲むのは1ヶ月に1回程度でいいんだって。その影響かもしれないけど、
兄様の血にも反応しないんじゃないかな?」
「説明ありがとうフィン君」
「いや、そんな他人事に言われても…」
そんな会話をしていると
「…その話を本当だと信じよう……だが、フィンに何かしてみろ。その時は覚悟しておけよ」
そう男は言った。
「もちのろん。大切な友達に酷いことしないよ」
「そうか…」
腑抜けた声でそうゆう彼の声にさっきまでの緊張感は何処へやら。
「あ、名前教えてください。
僕はマッシュ・バーンデットです」
「……レインだ」
「じゃあレインくんだ。よろしく」
そう表情を変えずに言うマッシュは、
そっと手を差し伸べた。
だが、
「悪いが、まだお前を信頼している 訳じゃない」
と、その手を取って貰えなかった。
ガーン……と
マッシュは分かりやすく落ち込んだ。
「そうすか……じゃあ僕もう行くよ。
シュークリームありがとう、フィン君」
「あ、うん……」
そうフィンに手を振り、マッシュは行ってしまった。
「なんだか腑抜けたヤツだな」
「うん……僕もそう思う」
マッシュがいなくなった教会でそう2人は
言っていた。
コメント
1件