テラーノベル
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木曜日。
昨日。
玲と星羅は付き合い始めた。
そして――。
翌朝。
「……」
星羅は教室の自分の席から。
少し離れた玲の席を見つめていた。
目が合う。
「……!」
星羅が慌てて逸らす。
数秒後。
また見る。
また目が合う。
「……」
玲が小さく笑った。
星羅の顔が真っ赤になる。
――無理。
昨日までとは何も変わっていないはずなのに。
玲を見るだけで。
胸が苦しいくらい嬉しい。
「おはよう、星羅」
「……お、おはよう」
「どうした?」
「なんでもない!」
「顔赤いぞ」
「玲くんのせい!」
「俺?」
「そう!」
星羅はぷいっと顔を逸らす。
でも。
口元は嬉しそうに緩んでいた。
昼休み。
二人はいつもの屋上へ。
扉を閉めた瞬間。
「……」
星羅が玲を見る。
「どうした?」
「……彼氏」
「?」
「玲くん、私の彼氏なんだよね」
「ああ」
「……」
星羅は嬉しそうに笑う。
「もう一回言って」
「俺が?」
「うん」
「星羅の彼氏」
「……!」
星羅は両手で顔を覆う。
「無理……」
「何が?」
「嬉しすぎる……」
そのまま玲の隣に座る。
「じゃあ私も」
「ん?」
「玲くんの彼女」
「ああ」
「……えへへ」
星羅は肩を寄せる。
「昨日までと同じ場所なのに」
「……」
「なんか全部違って見える」
「そうか?」
「うん」
星羅は玲の手を取る。
指を絡める。
「だって、今は堂々と好きって思っていいんだもん」
「……」
「昨日までは我慢してたから」
「我慢?」
「うん」
星羅は笑う。
「本当は毎日こうしたかった」
握った手を離さない。
「毎日玲くんの隣にいたかった」
「……」
「毎日玲くんのこと考えてた」
「知ってる」
「じゃあ――」
星羅は少しだけ顔を近づける。
「これからは、もっと近くにいてもいい?」
「いいよ」
「……!」
星羅の頬が赤くなる。
「じゃあ……」
玲の肩に頭を乗せる。
「こうする」
「好きにしろ」
「ふふっ」
午後。
授業が終わる。
星羅は玲のところへ駆け寄った。
「玲くん!」
「ん?」
「帰ろ!」
「ああ」
二人で廊下を歩く。
すると。
「天城さん!」
女子生徒が声をかけてきた。
「今度の休日、一緒に買い物行かない?」
「ごめんね」
星羅は笑顔で断る。
「休日は予定あるの」
「そっか。また今度ね」
「うん!」
女子生徒が去る。
玲が尋ねる。
「予定なんてあったか?」
「あるよ」
「何?」
「玲くんとデート」
「……」
「昨日約束したでしょ?」
「ああ」
星羅は嬉しそうに笑う。
「彼氏と過ごすの」
その言葉を口にするだけで。
胸がいっぱいになる。
帰り道。
星羅は玲の手を握る。
「ねえ」
「ん?」
「私、彼女になったんだよね」
「ああ」
「じゃあさ」
「?」
「玲くんのスマホに、私の写真入ってる?」
「ある」
「どれくらい?」
「……結構」
「見せて」
「なんで?」
「彼女だから」
「関係あるか?」
「ある!」
玲は苦笑しながらスマホを見せる。
星羅は写真を眺める。
文化祭。
水族館。
一緒に撮った写真。
そして。
星羅自身が知らない写真まであった。
「……これ」
「ん?」
「私が寝てる写真?」
「ああ」
「いつ撮ったの!?」
「授業中」
「もう……!」
星羅は恥ずかしそうに笑う。
「でも」
その写真を見つめる。
「……嬉しい」
「そう?」
「うん」
星羅はスマホを返す。
「玲くん」
「ん?」
「私もね」
自分のスマホを取り出す。
「玲くんの写真、いっぱいあるよ」
「……いっぱい?」
「うん」
画面を見せる。
そこには。
教室で寝ている玲。
廊下を歩く玲。
窓際にいる玲。
弁当を食べる玲。
笑っている玲。
「……」
玲は絶句する。
「いつ撮ったんだ」
「秘密♪」
「……」
「怒った?」
「いや……」
玲は少し困った顔をする。
「ちょっと多いな」
「彼女だから」
「便利な言葉だな」
「ふふっ」
星羅はスマホを胸に抱える。
「でもね」
笑顔が少しだけ変わる。
「これからは、ちゃんと本人に許可取る」
「そうしてくれ」
「うん」
そして。
星羅は玲の腕に抱きつく。
「だって……」
「?」
「今は玲くんの彼女だから」
その声には。
以前より強い自信があった。
夜。
星羅は自室で今日撮った写真を整理していた。
玲の写真。
二人の写真。
全部、大切。
「……」
以前なら。
玲に嫌われるのが怖くて。
自分の気持ちを隠していた。
でも今は。
違う。
自分は玲の彼女。
玲も自分を好きだと言ってくれた。
「……だったら」
星羅はスマホを見つめる。
「もっと甘えてもいいよね?」
もっと会いたい。
もっと話したい。
もっと一緒にいたい。
もっと自分だけを見てほしい。
「……もっと」
星羅は笑う。
「私のこと、好きになってもらわないと」
もう。
「一番」では足りない。
玲の中にある。
すべての「好き」の中で。
自分が一番でありたい。
いや。
「私しか、いらないくらいに」
星羅はそう呟いた。
そして。
玲から届いたメッセージを見る。
『おやすみ、彼女さん』
「……!」
星羅はベッドに倒れ込む。
「……ずるい」
枕を抱きしめる。
「そんなこと言われたら……」
顔を埋める。
「もっと好きになっちゃうじゃん……♡」
その夜。
星羅は幸せそうに眠った。
玲の彼女として。
そして――。
玲を誰よりも愛する少女として。
#恋愛
まり
40
奇蹟あい
1,760
#一次創作
コメント
1件
うわあ、もう幸せすぎて胸が詰まりました……!「彼氏」「彼女」って言葉を一つ一つ噛みしめるように言う星羅ちゃんが、あまりにも可愛くて。特に「彼女だから」って言い訳みたいに甘えるところ、すごく好きです。玲くんが困りつつも受け入れてる感じも伝わってきて、二人の距離がぎゅっと縮まったのが嬉しい回でした。最後の「私しか、いらないくらいに」ってところ、星羅ちゃんの強さと愛の深さが現れててドキドキしました……!