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目「…平…、」
目「…亮平…、」
目「亮平…。」
…
ガタンゴトン、ガタンゴトン
ラ「めめ!起きて!もう着くよ!」
目「…んん…、」
向「も~、いつまで寝とんねん!」
目「…おはよ…?ラウ、康二…?」
向「寝ぼけてんな…。」
ラ「いつも通りだね…、」
向「そやな…、」
ラ「てゆーか、めめまた寝てる時、阿部ちゃんの名前呼んでたよ、」
目「嘘…、まじ?」
向「ずっと「亮平…、」って名前呼んでんで?」
目「まじか…、」
ラ「…まだ忘れられないの?」
目「…ずっと亮平の夢を見るんだ。しつこいのは分かってるんだけど、亮平が頭から離れない。」
向「でも、もう別れて6年やろ?」
目「そうだよね…、」
そう、俺、目黒蓮と阿部ちゃん、亮平こと阿部亮平は6年前まで付き合っていた。高校生の時から大学生前半位までの約4年間。周りからも「ラブラブ」だと噂されていて、特に今、横に居る俺の高校時代からの友達、ラウこと村上真都ラウールと、康二こと向井康二によく茶化されていた。
この世界には性別とは違って第2性が存在している。俺はα、ラウと康二はβ。αはだいたいΩと付き合って番になるけど、俺が付き合っていた亮平はβだった。でもそんな事なんて気にしない位、俺と亮平は愛し合っていた。お互い大好きだったはず。…なのに、亮平はある日忽然と俺を振って姿を消した。
何で亮平は急に居なくなったんだろう。正直振られるなんて思ってなかった。このままずっと一緒に居ると思うくらいには大好きだった。あの頃に戻って何かしたら今、何か変わったのだろうか。
亮平との出会いを思い出す。あれは、俺のごく普通な高校時代…、
頭が特別良い訳ではなかった俺は、普通に受験して地元のごく普通の高校に入学した。やっぱり入学したての高校には最初は慣れなくて、緊張していたけど、そんな時にまるで元々の知り合いかのように話し掛けて来たのが康二。
向「目黒…これ何て読むん?」
目「…れん、だけど…?」
向「じゃあめめやな!宜しく!俺、向井康二!」
目「え、下の名前、聞いた意味あった?笑」
向「そこは気にせんでええねん!笑」
目「何だよ、それ。笑」
入学初日に笑い合える友達が出来て、正直ホッとしていた。
最初は学校のオリエンテーションや決め事が多かった。初日なのにクラスで委員会決めがあって、よく分からないし、手を挙げてなかったら図書委員になった。「めんどくさいな」、とか思ったけど、決まってしまった物はしょうがないので、渋々当番の日は図書室に向かう。
そこで、亮平と出会った。
…
目「図書室、広すぎだろ…、」
俺の通っていた学校はめちゃくちゃ本が揃っていて、図書室がバカ広かった。入学したばかりの俺にはそれぞれの本の場所を覚えるのが難しくて、苦戦していた。
目「どこだよ…、辞典って…、こんな厚いの借りんなよ…、重いし、」
グラッ
目「うわっ、」
ガシッ
本を棚に戻す作業中、躓いて転けそう…だったけど転けなかった。
目「…え?」
阿「大丈夫?怪我は、ない?」
見た事ない人が俺の腕を掴んで転けるのを防いでくれた。
目「怪我…、ないです。」
阿「良かった…、この辞典重いよね。大丈夫?」
目「…大丈夫です。あの…、えっと、」
阿「あ、俺、2年の阿部です。…君、は、校章が青いから、1年生?」
目「そうです。1年の目黒蓮です。さっきは、助けて下さってありがとうございました。」
阿「いやいや、全然。良かった、怪我無くて。」
目「本当にありがとうございました。…では、」
…阿部亮平さん。優しい人だな、…てか、やっぱりこの図書室広すぎ。全然仕舞うとこ分かんないんだけど。
阿「あの~、」
目「…へっ?」
阿「もしかしてだけど、本、仕舞うとこ、迷ってます?」
目「…はい。」
阿「その仕事してるって事は図書委員だよね。」
目「そうです。」
阿「俺も図書委員なんだ。良かったら、手伝おうか?」
目「いやいやッ!申し訳ないです。」
阿「この図書室、広くて大変でしょ。場所、教えてあげるから。」
先輩だから、遠慮したけど、本当は全然場所分かんないし。阿部さんは、良い人そう。
目「じゃあ、お言葉に甘えて、お願いします。」
阿「OK。じゃあ、まずこれからね。あ、半分持つよ。」
目「ありがとうございます。」
阿部さんは俺の仕事が全部終わるまで、1つずつ丁寧に場所や仕事を教えてくれた。時々、話をしながら楽しく初日の図書委員の仕事を遂行した。
阿部さんは本が好きで、この学校を選んだのも、このバカ広い図書室目当てだったらしい。いかにも真面目、って感じ?
ようやく俺の仕事が終わって一息。
目「本当に助かりました。俺1人だったら一生終わってなかったと思います。ありがとうございました、」
阿「いえいえ、役に立てたなら良かったよ。目黒くん?だっけ、この学校の図書委員、結構忙しいんだよ、どんまい笑」
目「そういう阿部さんも図書委員じゃないですか笑」
阿「俺は本が好きだから良いの笑」
目「じゃあ俺も本好きになります。…おすすめとか、あります?」
阿部さんと話してるのは心地よかった。このままずっと話してたい、って思って、変な理由を付けて阿部さんとの時間を増やしている自分が居た。
阿「おすすめか…、あ、例えば…、」
阿部さんと沢山話して、気付けばもう周りは暗くなってきていた。
阿「あ、そろそろ塾の時間だ。ごめんね、目黒くん、また、今度。」
阿部さんが塾に向かおうとする姿を見て、阿部さんとまだ一緒に居たい、と思った。
目「…あの、」
阿「…?」
目「…連絡先、交換しませんか。」
阿「勿論!」
連絡先に表示される名前を確認して読み上げた。
目「…阿部、亮平さん。」
阿「あ、さっき上の名前しか言ってなかったね、はい、阿部亮平です笑」
目「阿部さん、また会いましょう。俺、楽しかったです。」
阿「俺も、とっても楽しかったよ。俺、基本放課後図書室に居るから、目黒くんも来てよ。」
目「絶対来ます、毎日。」
阿「まぁ、無理しない程度にね笑」
目「…はい笑」
阿「じゃあ、また明日。」
目「また明日。」
図書室に来れば阿部さんに会える。今日知り合ったばっかりだけど、それを思うと学校が楽しみで仕方なかった。