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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。

マルコさんとの会談から数日、暁は平和な日々を送っていました。黄昏は更に拡大し、ライデン社の工場も建設できて兵器開発、生産力が飛躍的に向上しました。

ドルマンさんを中心としたドワーフチームの皆さんも意気揚々と生産活動に取り組んでいます。

変化があったと言えば、館内部で働く人にメイドが十数人追加されたことですかね。

ことの発端は半年前、ロウから『大樹』の影響範囲が更に拡大したと報告を受けたことです。更なる収益のために農園の大規模な拡張を行うことになりましたが、人員が圧倒的に不足しています。

これまでは難民を受け入れていましたが、黄昏の発展や暁の大幅な人員拡大で難民受け入れだけではどうにもならないくらい人手が不足していました。

私は現状を打破するために、マーサさんやシスターの伝手をフルに活用して奴隷を買い漁ることにしました。

帝国では未だに奴隷制度があり、借金等の理由で奴隷として扱われている人が大勢居ます。しかも大抵は冷遇され、人としての扱いを受けていない。

私はその点に着目しました。扱い方次第で彼らは有望な人材となるからです。取り敢えず五百人ほど買い漁りました。

どれも貴族に酷使されて捨てられた人々、すなわち心が折れて後がない。裏切られる心配はありません。

「衣食住は全て私が用意します。もちろん快適な居住環境、綺麗な衣服、充分な食事と言う意味です。また、働きに応じて相応の報酬を出します。わたしたはあなた方を奴隷として扱うつもりはありません。黄昏、或いは暁の一員として扱います」

集められた奴隷達は彼らは痩せ細り、明らかに健康を害した人も多数含まれていました。

だから最初に綺麗な衣服を支給して暖かく充分な食事を提供、必要なものにはロメオ君達医療班の治療も施しました。

その後体力の回復を待って適性に応じて仕事を割り振りました。その時です。

「シャーリィお嬢様……シャーリィお嬢様ではございませんか!?」

痩せ細ったお婆さんが私に近寄りながら名前を呼びます。直ぐにベルが前に出ました。

「まちな、婆さん。お嬢を知ってる口か?」

「知っているも何も……メリルでございます!嗚呼、このような奇跡がありましょうか!」

ベルの質問に涙を流しながら答えるお婆さんを見て、私も幼い頃の記憶が甦りました。

「メリル……婆や!?」

「嗚呼、お嬢様!」

「何だお嬢、知り合いか?」

「はい。ベル、直ぐにロウを連れてきてください。確認しますから」

「おう」

そして。

「メリル!?メリルなのか!?」

「アンタぁあっ!」

しかと抱き合う二人。メリルはアーキハクト伯爵家の奉公人の一人で、ロウの奥さんでもあります。

私達姉妹の面倒を良く見てくれて、私達も婆やと呼んで懐いていました。あの日に亡くなったと思っていました。

「私だけではございません。奥さまが私達を逃してくれたのでございます。再びお嬢様とお会いできて、旦那とも再会できるなんて……奴隷となっても生き抜いた甲斐がありました」

婆や以外にもアーキハクト伯爵家に所縁がある人物な数人居て、もちろん全員私の手元に起きました。もう二度と失わないように。

で、婆やは回復したら他のメイド達と一緒に奉公人として私に仕えてくれるようになりました。

「お帰りなさいませ、お嬢様。ささっ、此方へ。足元を清めねば」

「婆や、自分で出来ますから」

「なりません。どのようなお立場でも、お嬢様はアーキハクト伯爵家のご令嬢であることに変わりはありません」

椅子と水桶を用意したメリルの力説に負けて私は椅子に座り、メリルは私のサンダルを脱がせて足を洗ってくれています。

……何だか恥ずかしい。

「お召し物もお嬢様に相応しいものを着ていただきたいのですが……エーリカちゃんの力作でありお気に入りと伺いましたのでそこは我慢します」

村娘スタイルは気楽で良いんですよね。黄昏を視察する時はいつもこれですよ。

「ささっ、お召し物も」

「着替えくらいは自分で出来ますよ?」

花よ蝶よと育てられた他の貴族令嬢とは違います。

お母様は優しくも厳しいお方でしたし、私自身家事に関心を寄せていましたから身の回りのことは自分でしていました。

「そうではありますが、婆や達にもお仕事をさせていただかないと困ります」

数人のメイドさん達がやって来て、半ば強制的に着替えをさせてしまいました。

貴族令嬢らしく。婆やの言葉の真意も分かります。カナリアお姉様との交流が始まった以上、貴族関連の仕事は増えていますし、既に数人の有力貴族との面会も済ませています。

もちろん皆さんカナリアお姉様が信頼する方々ばかりで、お父様と旧知の方も居ました。

必要ならばと考えていたシェルドハーフェン制覇も本格的に狙い始めましたし、アーキハクト伯爵家の再興も視野に入れなければいけません。

……そう言った意味では、ここでメリル婆やとの再会出来たことは幸いでした。セレスティンでは出来ない女性特有のサポートをお任せできますし、何より館全体が華やかになりましたからね。

婆やとメイドさん達によってネグリジェに着替えた私はそのまま寝室へ向かいます。

「婆や、今日はもう休みます。近日中にレイミが来てくれますので楽しみにしていてください」

「レイミお嬢様とお会いできる日が楽しみです。シャーリィお嬢様、ご無理をなさらずに」

「ありがとう。では、おやすみなさい」

「御休みなさいませ」

メリルとの再会、そして伯爵家に所縁のある人員を数人増やすことが出来たのは有難い。

これから抗争は熾烈になるでしょう。様々な陰謀が襲い掛かるのは目に見えています。そんな情勢の最中、信頼できる人材ほど貴重な存在はありません。

婆やと再会して半年、すっかり元気になって公私ともに支えてくれる彼女には感謝しかありません。

レイミには婆やの件を伝えていませんし、今から楽しみですね。

「アスカ、一緒に寝ましょう」

「……ん」

当たり前のように私の部屋に居たネグリジェ姿のアスカを招いてベッドへ潜り込み、アスカを抱きしめて私は目を閉じました。

……この子も小さいままです。フェンリルと人間では成長速度が違うのでしょうか?気になりますが、些細なことなので気にしないことにしました。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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