その後中也同行のもと、ポートマフィアへ帰還。
首領執務室で、準幹部蘭堂の異能で拘束の上交渉
その後、零と中也は1日の休息の為、零宅へと帰宅
────ふぅ、と玄関前で息を整えた後、ドアを開ける。
「ただいま。」その声に答えるものは居ない。居ないはずだったのだ。
「あら、遅かったじゃない。お友達かしら。いらっしゃい」そう返す女性らしき声があった。
零は動揺した。聞いたその声は聞き覚えがあったからだ。
「何故貴女がここに居るの…」零の顔にはとてつもない動揺と焦り。冷や汗さえも見える。
トラウマだ。
過去にあった恐怖がまた零の脳内へとフラッシュバックしているのだ。
「何故ここに?当たり前じゃない。私は貴女の”義母さん”なのだから。」
「違う違う違う!貴女とはもう縁を切った!またあの奴隷の様な生活を私にさせる気か!」
「奴隷?何を言っているの?あれは躾。何にも出来無い貴女を買ってここまで育てたのはこの私よ?他の誰でも無い。」
「零、此奴誰だ?手前ぇ一人暮らしじゃなかったのか?」流石に疑問を抱いた中也は零に問う
零は目を瞑り過去の事を語り始めた。
──────マフィアに入る数年前、私は暫く身寄りも無く1人で暮らしていた。そんな私は人身売買を主とする組織捕まり此奴に買われた。
そこまでは何ともなかった。けど、こいつに買われた後は地獄のような日々だった。此奴は夫と娘、息子の4人暮らしだった。
さっきも言ったけどまぁ、奴隷をも同然だよね。
日常的な暴力の支配。
理不尽な生活。
それが普段の生活であった。
身体中は傷だらけ。体の傷は消えることは1日もなかった。気に食わない事があったら、父親に髪を捕まれ真夏の酷暑、真冬の極寒関係なく外に出された。出されたかと思えば、母親に何故家事も終わっていない中呑気に外にいると言われ無理やり中に戻され夏には熱湯を冬には氷水をかけられた。
まぁ、子供たちは優しかったよ。良くしてくれた。
外に出された時、意識が朦朧としていたらマフィアに拾われて、一家とは縁を切った訳だ。
そう言って零は目を開けた。
その話を聞いた中也はふと納得した。
首領執務室から出る前に森鴎外から聞いていたのだ。
『零君は前線には立たず殆どは貿易関連の任務しかしていない。体の傷は過去に…マフィアに入る前に義理の親から付けられたものだ。』
この言葉を思い出した。
───此奴だったのだ。此奴が妹を苦しめた張本人だったのだ、と。
「手前が…」殆ど無意識的に発した中也の、兄の言葉
その声に反応した義理の親、否元義理の母親が聴く「ん?そういえば君、この無能ちゃんにそっくりだけど、身内の子?」
“無能ちゃん”それが過去の零の呼び名であった。
───聞き慣れた私のあだ名。
零には異能がある。勿論それで人なんて簡単に殺せる。だけど、しなかった。
したくなかったのだ
もう二度と目の前で人が死ぬのを見たくなかったから
お願いだからもう二度と私に人を殺させないで──
コメント
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とても面白かったです!