_いえもん side_
一瞬地震が止まった隙に俺は一気に馬人との距離を詰める。剣を振り上げそれを敵の左胸にめがけて振り下ろ……せなかった。
ボキボキッ
突然右の脇腹に強い痛みを感じる。思わずその部分を見ると、大きな石が俺の右腹に食い込こんでいた。
ドサッ
鈍い音から、自分が石によって吹き飛ばされ、そのまま地面に激突したことを悟る。慌てて立ち上がろうと体に力をいれる。
いえもん「ぃ゙だっ」
石が食い込んでいる右の腹の中が、きしむように痛む。痛みは息をするたびに強まり、石と皮膚の間からドクドクと紅い血が滝のように流れ出てくる。そこからも火であぶられたような鋭い痛みが走っている。
馬人「チョロっw ほんのちょっと油断してみせただけなのに、それでうまくいくと思ったw?」
いえもん「何を…し……た?…」
徐々に呼吸が浅くなり、寒さを感じる。薄れていく意識の中で、馬人の返答が聞こえる。
馬人「俺様の_力__」
最後まで聞き取れずに俺の意識が切れた。
_めめんともり side_
いえもんが馬人にめがけて剣を振りあげる。その時、彼と馬人の右側にあった人の頭くらいの石が浮かび、彼に向かって飛んできた。私は止めようとしたが間に合わず、石は深く彼の右腹に食い込でしまった。それは飛んできた勢いのまま彼を左に吹き飛ばす。
ドサッ
彼が地面に激突した。その間も地震は続き、私を取り囲む。
いえもん「ぃ゙だっ…」
彼は起き上がろうとするが、痛みが酷いのかそれは叶わない。横たわった彼の腹と口から凄まじい量の血が吐き出されている。
馬人「チョロっwほんのちょっと油断してみせただけなのに、それでうまくいくと思ったw?」
馬人が煽る。
いえもん「何を…し……た?」
馬人「俺様の能力で石を飛ばしたんだよ。勝てると思ったのに、完敗してどんな気持ち…ってあれ?死んだ?え?もう?」
馬人は、彼のあまりの弱さに戸惑っているようだ。痛みつけて弄ぶために力加減したつもりだったのだろうが、加減の基準が人外のそれである。あの攻撃は人間なら誰だって致命傷を負うだろう。
馬人「なぁ。お仲間死んじゃったみたいだけど_」
馬人は、自身の視線を彼から私がいる方向に向ける。
馬人「?!」
めめ「ダークチェーン」
否、私が「いた」方向に目を向けた。馬人はそこに私がいないことに驚く。その隙に魔法を放った。そう、馬人がいえもんに気を取られている間に地震が起きている場所から抜け出したのだ。馬人はそのことにようやく気づいた。しかし、時すでに遅し。暗黒色の鎖が馬人に巻き付き、拘束する。
めめ「ダークウォール!」
間髪入れずに次の魔法を繰り出す。こいつはさっさと仕留めておいた方が安全だ。ありったけの魔力を魔法に込める。
馬人「なぜだ?!なぜ抜け出せ_」
めめ「貴方、自分を強いと思っていたでしょう?自分より弱い者をいくつも倒して、傲慢になって。自分より強い者はいない、戦ったら誰にでも勝てると。そう思うのは無理もありません」
馬人はその顔を痛みと恐怖に歪ませる。
めめ「だって自分より強い者と戦うことは生きてて一度しかありませんから。戦ったら最期、その者に殺されて、生き物としての生が終わります」
めめ「…別にいつでも地震から抜け出すことはできました。魔法を使うことによって。いえもんさんに自分より強い物との戦いの経験を積ませたかったので、しませんでしたが」
めめ「もし次があれば、自分より強い物と二回戦えるといいですね」
馬人がガクリと脱力し動かなくなった。その顔は最期まで恐怖が描かれていた。
今回はここまでです。いえもんさん、どうなってしまうんでしょう…←元凶 右腹に石が食い込むという、非常にグロいですね。補足としては、レイラーさんはまだ犬人と戦っています。あとダークウォールは、一回敵に当たったら終わりではなく、少し効果が持続します。それくらいですかね。
それじゃあ今回はここまでで!また来てね!
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