_レイラー side_
師匠達の元へ向かう。少し走った後、遠目に師匠と息絶えた馬人が見えた。どうやら勝ったようだ。私は安心しながら師匠と合流する。と同時に、おぞましい量の血を出して倒れているいえもんの姿を見つける。
レイラー「いえもんさん!?」
めめ「レイラーさん!いえもんさんが馬人の攻撃を受けました。回復お願いします!」
慌てていえもんに寄ると、馬人の死亡を確認した師匠も彼の元に寄って来る。
レイラー「分かりました!」
私は返事をしながら彼の状態を確認する。右の脇腹に大きな石が食い込んでいて、そこから出血していることが分かった。
私はその石を退けて、損傷部を観察する。皮膚が剥がれ中の筋肉が丸見えだった。とても傷が深く、血のせいではっきりと見えないが恐らく骨も折れているだろう。
レイラー「エリアサーチ」
私は空間魔法を彼の右腹の範囲に使う。これは本来索敵に使われる魔法だが、今回は応用して、体内にある骨の破片を探すために使う。傷の状態からして、勢いよく石がぶつかったので、骨が折れ砕けていると思ったからだ。
予想通り、いくつかの破片があったので、私はその場所を覚えておく。魔法をやめると、私は覚悟を決めて、患部に手を入れた。辺りに漂う鉄の臭いが一層濃くなる。グチュグチュと生暖かい感触の中を探ると、骨の破片の硬い感触を見つけた。それを掴み、これ以上周りの肉を傷つけないように慎重に抜き出す。一つを体内から出すと、記憶を頼りにそのまま他の破片も取り除いていく。
一通りできたと思うので、もう一度魔法を使い、取り残しがないかを確認する。本当は魔法を使いながら破片を取り出すこともできたが、私の魔力量だとそれは厳しいので諦めた。
どうやら他に体内には破片がないようなので、最後に光魔法で細胞を回復させる。
レイラー「ライトヒール」
傷口が金色の光に包まれ、徐々に元の形を成していく。少し経って魔法をかけ終わると、傷口が完全に塞がれて、最早怪我の跡形もない綺麗な皮膚が現れた。
レイラー「終わりました。もう命の危険はありません。ただ、私の実力だと体内の骨までは再生できないので、暫くは休養が必要そうです」
めめ「死なないのなら良かったです。色々とありがとうございました」
ほっと肩の荷が取れたような顔で言われた。
レイラー「喜んでもらえたなら私も嬉しいです」
めめ「私が光魔法が使えていたら、わざわざレイラーさんに回復してもらわなくて済んだので…」
レイラー「師匠はどんなに修行しても闇魔法以外が取得できなかったので仕方ありませんよ」
レイラー「もしそうだとしても、師匠は闇属性のほとんど全ての魔法を習得しているじゃないですか!魔力量だって人間とは思えないほど多いですし、凄すぎます!」
それを聞いた師匠は、すごく困ったような、申し訳なさそうな顔をする。
…いつもそんな顔をする。恐らく魔力が少ない私に対して申し訳なく思っているのだろう。
師匠は、誰よりも一生懸命魔法を練習して、誰よりも闇魔法の高みに登りつめて、同時に誰よりも他の属性魔法ができないということに悩んで苦しんできた人だ。報われない努力が多い中で、せめて報われた努力だけでも認めて欲しい。たとえそれが生まれ持った才能があったからだとしても、努力なしでは開花しないものだ。これ以上苦労する必要がないほど師匠は苦しんできたのだから、変な遠慮なんかしないで誇って欲しい。
……そう強く思ってしまうのは、私のわがままだろうか………
その思いを深く話すことはしない。今はまだ師匠の負担になるからだ。だからこうして様子を伺う。師匠が少しでも自分を認めることができるようになる日まで…
ここで切ります!いえもんさんが助かって良かったです。死亡フラグ立ちすぎですね。主人公なので、序盤ではやられないでしょうが。え?なになに?メタすぎだって?終盤まで生きているか言ってないからセーフセーフ!((((
今回の補足です!骨を取り除く時に、細菌などが入るかもと、後になって気づきました。面倒くさくなって書き直しはしませんでしたが。←嘘だろおい!? 後から光魔法によって滅菌されてることにします!これは意外と理にかなっているのでは?と思う今日このごろです。
それじゃあ今日はここまでで!また来てね!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!