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めちゃめちゃ待たせた挙げ句全く仏英じゃないです英仏ですごめんなちゃi((((
とある日。
彼は自分の目の前から姿を突然消してしまった。
必死に探したけれど、彼は何処にもいなくて。
彼を探して歩き回っている最中、今朝新聞の記事に書いてあった四文字が、ふと頭に蘇る。
『 パリ陥落 』
「……は?」
驚きのあまり、それを見た時の一言目がそれだった。
血の気が引くのを感じた。貧血か、と言う程に目眩がする。
目の前が暗くなった。
「どうして、どうして ッ」
彼はタフだ。
これは長く一緒に居てわかったことだ。
だが、彼は自身を過大評価している傾向にある。
これも同様、長く見ていて分かったことだ。
だから彼は『マジノ線』に期待をし過ぎてしまった。
自分が作り出した産物を、信じ過ぎてしまった。
それが敗因だ。
英吉利は思わず溜息をつき、そして項垂れた。
両目から一滴の涙が零れる。
それが地につくのを見届け、英吉利は立ち上がった。
泣いてばかりじゃあ、彼は……
きっと帰ってこない。
だから自分が助けてやらなきゃいけない。
古くからの盟友、仏蘭西を。
あれからどれほどの月日が経ったのだろう。
どれだけ探しても、彼は見当たらなかった。
無茶をして敵陣にまで乗り込んだというのに、成果はゼロだ。
「……もう会えないのでしょうか」
一人悲しげに呟いたその言葉は、遠い空に吸い込まれただけだった。
「ドイツに上陸するぞ」
あれから更に時間が経った。
最初は押され気味だったソ連も、いつの間にか反撃し始めていた。
本領発揮、というやつか。
「港から一番近いのは…ノルマンディーか?」
〝 ノルマンディー 〟
その言葉に、英吉利は思わず顔を上げた。
あまりにも聞き馴染みのある言葉だったからだ。
その様子を見て、米国は苦笑し「じゃあそこでいいか」と呟いた。
あまりにも適当な決め方だったが、英吉利は今そんなことは気にならなかった。
フランス本土に上陸する。
もしかしたら、彼に会えるのかもしれない…
そんな思いが頭を駆け巡る。
その後も米国が何かを話し続けていたが、全くと言っていい程耳に入ってこなかった。