「国王様、勇者パーティーを連れてまいりました」
「ふぁ〜⋯。ねぇカーラ、眠いのです⋯」
「何を言っているのだナナ!王の前なのだからしっかりせねば!」
「⋯うるさい」
「何用でしょうか?」
「コルマゼオ、お前たちを呼んだのは他でもない。勇者ソウマに変わって魔物の残りを倒して欲しいのだ」
「僕達が⋯ですか?」
この4人、ソウマが転生して城からいなくなったことは知っていたが、今まで魔物の残りを勇者が1人で片付けていることは知らないようだ。
なにせ王がその事を隠していたのだから。
「ソウマがいなくなるまではやつに任せていたのだがな」
だがここまで危機に陥ると言うしかない。
「な⋯⋯⋯⋯!」
まさかともに戦っていた戦友にその後を任せていたなんて、思ってもみなかっただろう。反応は大きかった。
「待て!なら我らがパーティーを解散させられたのはどうしてなのだ?!⋯ですか?」
「カーラの言うとうり、ナナ達と一緒に戦っていたら楽ちんだったのです⋯」
「それはだな⋯⋯」
「まさか僕たちがいなくてもすぐ終わるとお思いだったのですか?!」
「⋯⋯⋯」
「めんどくさいな。正直に言ってよ、王様」
「ソラ!貴殿まで王になんて口を!!」
ソラは、うるさい、と言うような目で一瞬睨んだ。
いつも声が一回り大きいため、口数が少ない彼にとってカーラは苦手なタイプの女性だ。
「⋯実は貴族の間で噂されていたのだ」
「噂?」
「貴殿らが知っての通り、魔王は勇者ソウマが倒し、世界は平和となった」
ふぅ。と、一息ついてから王は言った。
「だが、今度は魔王を倒した強靭な力で、我々が蹂躙されるのではないかと危機感を持ち始めたのだ」
「「「「⋯⋯!」」」」
確かにこの国の貴族は欲が強く、面倒なことは全て勇者に押し付けていた。自覚があるのならそう考えるのも無理はない。
それでも、
「それだけでソウマを魔物討伐に押し付けたのですか?!」
「仕方がなかろう!そうすれば名誉がより早く取り戻せると思ったのだ!」
「ナナ達だけ無責任⋯なのです⋯」
「ま、討伐が嫌であいつが転生したならきっと仕返ししに来るだろうね」
「確かに⋯ソラがソウマのパンを食べた時は、しばらくソラのもとにパンは来なかったですね」
「そ、そんなことでやり返すやつだったのか?」
「まあ、小さな事も見逃さない真面目な勇者と言ったところなのだ」
「ナナもそう思うのです⋯!」
少し意味が違いますね⋯。そう思いつつ、コルマゼオは話をもどす。
「とにかく、いなくなったソウマの変わりに討伐しに行けば良いのですね?」
「おお!やってくれるか。感謝するぞ」
今度こそ一安心だ。この話を耳にした城の人達は皆そう思っただろう。だがこの後、
『ガタッ(ドアを勢いよく開ける)』
「国王様!!大変です!!!」
「! 何事だ!?」
兵士のある報告により、
城にいる全員が24時間フル活動する事になる。
コメント
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やだなに最後の衝撃のブラック発言、何やらかしたんだソウマは…っ! 次回も楽しみにしてます! 頑張ってください!