テラーノベル
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「知佳を本当に家に閉じ込めてしまおうかと、俺は何度も考えた。でも知佳は毎日キラキラした笑顔を俺に向けて、どんどん可愛くなるし。作ってくれる料理だって素晴らしく美味い。そんな知佳を困らせてしまうと思うと、閉じ込めるなんて無理だった」
こ、これは褒め殺しというやつなのだろうか。
私は本当に普通の一般女性に間違いないのに、こうも褒めちぎられると、流石にそわそわしてしまう。
「でも、ベッドでは顔を赤くしながら強請る可愛い知佳を、俺だけが知っていて……夜だけは俺が知佳を独占できるのが嬉しかった。知佳はいつも本当に可愛くて、可愛くて」
「じゅ、潤の気持ちはもう分かったからっ!」
ストップ、と私は口元にあった潤の手をぱっと握った。
潤はハッとした表情をして、眼鏡では隠せない不安げな表情を覗かせていた。
そこで私はやっと分かった。
潤は不安だった。
私も不安だった。
お互いこんなにも好きで、十年前別れてしまったことをずっと悔やんでいた。
再会して、契約結婚しても、どこかまた別れてしまう可能性を拭い去ることができなかった。
私達に足りなかったのは、愛じゃない。
きっと、自分自身を信じられる自信。
それを与えるのは自分自身ではなく、潤には私。
私には潤しかいない。
そうして、私は本当の意味で変われるのだと分かった。
「潤、あのね。私は過去もこの先も、死ぬまで愛する男の人は潤だけでいい。私は契約結婚をやめて別れても、もう一度、潤に告白しようと思っていたの。私の方がずっと未練がましい人間です」
真っ直ぐに潤に伝える。
今なら私の想いは、淀みなく潤の心の真ん中に届くと思った。
握っていた潤の指先をトンと、私の心臓の上に置いた。それは先日、潤が「手に入らない」と指差した場所と同じ。
「知佳……」
「だから……潤。私が今から告白したら、今度こそ私を本当の花嫁さんにしてくれる?」
なんて無茶苦茶なお願い。
さっきまで別れようと思っていたのに。
でも、万華鏡のようにクルクル変わる気持ちのすべての根っこは、潤が好きだということ。
それだけは絶対に変わらない。
そんな思いを込めて潤を見つめると、潤の唇が微かに震えたあと──
「当たり前だろうっ。俺はもう、目的と手段を間違えない」
力強く言ったあと、潤の瞳には心に宿る強い自信があった。
さっきまでの不安げな潤はどこにもいない。私の気持ちが伝わったのだと思った。
「本当の私はとてもわがままで、お姉さんでいなくちゃならないって空回りしたり、クールを装っていたり、いっぱいいっぱいになって混乱することもあるの。そんな私だけれど、本当に潤だけが好き。大好き。十年後も、五十年後も、潤のそばにいさせてくださいっ……!」
「──だめだ」
「えっ」
潤はそこで眼鏡を外した。
ありのままの潤に見つめられて『だめだ』と言われて、体を固くするが、次の瞬間には素顔で微笑む潤がいた。
「百年後も、千年後だって、俺はずっと知佳をお嫁さんにする。知佳、俺に永久に愛させてくれ」
そうだ。
潤の愛は重い。
それが私には心地よい。
潤の愛によって堕とされるのが私の喜び。全部理解した今の私は、潤の愛を真っ直ぐに受け止められる。
私は潤を愛するために変わっていける。
自分のために変われる。
クールな私も、姉である私も、焦っちゃう私も、潤は愛してくれる。心の奥底から愛される自信が溢れる。
潤の愛そのものを受け止めるかのように、潤に抱きつく。
「うん。潤、千年後も結婚しようね」
「今から楽しみだ」
二人でおでこをくっつけて微笑みあい、静かに距離が縮まる潤と私の唇。
唇が重なり合ったとき、ピアノの演奏が終わり──
パチパチと大きな拍手が湧き起こった。
それはまるで、皆が私達の本当の結婚を祝福してくれているみたいだと、潤の体を強く抱きしめるのだった。
コメント
1件
あああ第39話読み終えたよ〜!!😭💕💕 潤くんの「閉じ込めたくなる」発言から始まって、二人の不安が完全に溶けて「千年後も結婚しようね」って…もう無理、心臓もたん!!🥺💘 お互い「別れたくない」って根っこは同じで、ただ自信が足りなかっただけって気づくシーン、めっちゃエモい。そして潤くんが眼鏡外して素顔で「永久に愛させてくれ」って…重いけどそれが心地いいって知佳さん分かってる〜!!✨ ラストの拍手で祝福される演出も最高でした。完璧なハッピーエンド、お腹いっぱいです…ごちそうさまでした!!🌸
#執着
猫とろ
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#初恋
金子りさ
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